歯痛(歯の痛み)の原因は?今すぐできる対処法も紹介【歯科医師監修】
歯痛(歯の痛み)は虫歯のほかにも、歯周病や知覚過敏などが原因になります。本記事では歯痛が起こる仕組みや、歯が痛くなる原因、すぐにできる対処法などを解説します。
古川雄亮
大阪心斎橋矯正歯科 院長。歯学博士。東北大学歯学部卒業。九州大学大学院歯学府博士課程(歯科矯正学専攻)修了。日本矯正歯科学会所属。歯医者お悩み.com管理人。直近の研究実績「カンボジアのHIV感染感児におけるCD4細胞数と口腔内衛生管理の関連性について(2019, Scientific Reports)」。代表記事「ボリビアにおける歯科医療の実態とは?」。
歯痛(歯の痛み)は、虫歯などの歯科疾患が一般的ですが、歯ぐきや歯以外の部分が原因で起こる場合もあります。
「なんで歯が痛くなるの?」
「痛みを和らげるにはどうしたらいい?」
このような疑問を解決しながら、歯痛の仕組みや原因、歯が痛いときの対処法などをご紹介。歯の痛みが気になる方は必見です。
歯痛が起こるのは、硬い歯の内側にある組織である「象牙質(ぞうげしつ)」が関係しています。
虫歯などで象牙質が露出すると、象牙質の内側にある神経が刺激されて、痛みが生じます。
さらに歯の中心部には「歯髄(しずい)」と呼ばれる神経があるため、損傷が内側の歯髄まで達すると、我慢できない痛みが出ることも少なくありません。また損傷した部分は炎症を起こすため、痛み・熱・腫れが出ることもあります。
ほかにも細胞から痛みのもとになる「プロスタグランジン」という物質成分が、より痛みを強める要因になっています。
急に歯が痛み、しかもその原因がわからないと不安が募りますよね。そこでここでは、考えられる歯痛の原因を5つ紹介します。
虫歯
虫歯は、虫歯菌が出す酸によって歯が溶かされる病気です。初期のうちは表面のエナメル質が溶かされる程度なので、初期症状はほぼ出ません。
しかしそのまま進行するとエナメル質のさらに内側の象牙質まで溶かされ、冷たいものや甘いものがしみ、さらに歯髄(歯の神経)まで達すると、ズキズキと激しい痛みが発生します。
歯周病
歯周病由来の歯の痛みが発生しているケースもあります。歯周病は歯を支える骨(歯槽骨)が歯周病菌によって破壊される病気。初期は症状がないまま進行し、歯茎からの出血や歯のぐらつきなどの症状がみられたころには、すでに中等度まで進行してしまっていることも多い病気です。
もしブラッシングするたびに歯茎から出血する、口臭がキツくなったなどの自覚症状があれば、早めにクリニックに相談してみましょう。
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知覚過敏
何らかの原因でエナメル質が傷ついて象牙質が露出し、知覚過敏が発生することがあります。知覚過敏は熱いものや冷たいものがしみるため、虫歯と勘違いしがちですが、症状が一過性である点が虫歯との違いです。
また、歯ぎしりによって歯の神経が敏感になり、知覚過敏が発生することもあります。眠っている間の歯ぎしりで知覚過敏が発生しているケースもあるため、「朝起きたときにあごが疲れている」といった症状がある場合は、クリニックで歯ぎしりについて相談してみるとよいでしょう。
口腔内の炎症や傷
歯ぎしりや食いしばりによって歯周組織に炎症が起きたり、口腔内に傷がついたりすると、歯痛として症状に現れることがあります。歯ぎしりや食いしばりは顎関節症や頭痛、肩こりにつながる可能性もあるため、自覚症状があればクリニックに相談してみましょう。
親知らず
親知らずが原因で痛みが生じているケースもあります。親知らずは真っ直ぐ生えている分には問題ないですが、斜めに生えていたり、一部歯茎に埋まっていたりすると、周囲の神経を圧迫したり、虫歯になりやすくなったりします。
もし親知らずが生えている周辺が痛い場合は、抜歯も選択肢に入れてクリニックで相談してみましょう。
非歯原性歯痛
歯や歯茎に異常がないのに痛みを感じる「非歯原性歯痛(ひしげんせいしつう)」と呼ばれる症状があります。こちらが原因の場合、抜歯や治療をしても良くならないため、慎重な対応が必要です。
非歯原性歯痛として分類されるのは、以下のような歯痛です。
筋・筋膜性歯痛
神経障害性歯痛
神経血管性歯痛
上顎洞性歯痛
心臓性歯痛
精神疾患による歯痛
特発性歯痛
筋肉や精神疾患が原因になるケースもあるため、自己判断せずに歯科クリニックで相談しましょう。
一般的な方法から変わった方法まで、歯の夜間痛に対処できる方法を紹介していきます。
痛み止め(鎮痛剤)を使う
歯の痛みが中程度であれば、市販薬の痛み止め(アセトアミノフェン、イブプロフェン)での対処が可能です。一番早く簡単な対処方法でしょう。市販薬で痛みがおさまらない場合、早めに歯科医院を受診しましょう。
患部を冷やす(アイシング)
アイシングは薬の服用と同様、歯の痛み対策として一般的な方法です。アイシングの方法は、ビニール袋などに入った氷をタオルに包んで数時間毎に15〜20分あてることです。当て過ぎは血流を悪くし、かえって治りを悪くするだけなのでほどほどに。
枕の高さを上げる
頭部を高くすれば血流を少なくすることができます。タオルなどを使用して少しだけ枕を高くしましょう。枕を高くしすぎると気道が塞がれますので、注意しましょう。
塗り薬(軟膏)を使う
痛みを麻痺させる塗り薬も市販で売られていますが、お薬の成分により小さい子供には使うことができない場合があります。
塩水でうがいする
塩水は抗菌作用があり、炎症を和らげる効果を期待できます。歯や歯茎周りの歯垢除去にも有用です。
過酸化水素でうがいする
歯周病の痛みに特に効果的だと言われていますが、過酸化水素の入っている洗口液を使うことも有用です。小さい子供の痛みにはオススメできない対処法です。
痛みや炎症を抑える食材を摂る
痛みや炎症を抑える食材をとることで、歯痛を和らげることができます。具体的な成分や効果は以下の通りです。
食材 | 成分 | 効果 |
ペパーミントティー | メントール | 痛みを麻痺させる |
クローブ | ユージノール | 痛みや炎症を和らげる |
ニンニク | アリシン | 強い抗細菌作用・痛みの緩和 |
ペパーミントティーは子供にも使いやすく、飲んだり噛んだりすることで痛みを和らげます。ニンニクは生の状態で使い、歯が痛む箇所で噛むことで効果が出ます。苦手な方はクローブなどの材料がよいでしょう。
歯の痛みに関してよくある質問は以下です。
夜になると歯が痛いのはなぜ?
歯の痛みを和らげるツボは?
歯痛に効く市販薬はありますか?
夜になると歯が痛いのはなぜ?
夜になると歯が痛くなる原因は4つ考えられます。
横になり上半身への血流が増すから
夜になると歯の痛みへの注意が散漫になるから
副交感神経の影響で血流が促進されるから
1日の終わりでお口周りの筋肉が疲労しているから
夜に横になると血管が拡張して、歯の神経が圧迫され痛みを感じます。
また夜の体はリラックスモードになり、副交感神経の働きによって血行が良くなることも痛みの理由です。
歯の痛みを和らげるツボは?
口の下にある承漿(しょうしょう)というツボは、歯の痛みを和らげてくれます。
下唇と顎の間で、中央のくぼんだ部分を、親指で3〜5秒ほど押すとよいでしょう。
歯痛に効く市販薬はありますか?
歯痛で市販薬を利用する場合は、バファリン・ロキソニンなど普段飲み慣れている痛み止めを使いましょう。
痛みが気になる場合は、クリニックにも相談することも大切です。
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歯痛が気になる場合は、なるべく早くドクターに相談しましょう。
また、歯痛の原因は歯ぎしりや食いしばりにあることがあります。その場合、歯科クリニックなどで歯ぎしり・食いしばり対策のマウスピース(ナイトガード)を処方してもらうことで、改善が見込めることも。
歯ぎしりや食いしばりの根本原因は、噛み合わせの悪さにあることがあります。歯並びを改善することで噛み合わせ、食いしばりが改善し、歯痛もなくなるケースもあるので、歯ぎしりや食いしばりに悩んでいる方は、歯科矯正も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
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参考記事
※歯痛を和らげる方法は、海外の医療記事を参考に記載しました。
▷ How to get rid of a toothache at night
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