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歯科矯正
最終更新日:2024年2月15日

表側矯正とは?メリット・デメリットや裏側矯正との違い

表側矯正は歯の表側に矯正装置(ブラケットやワイヤー)を装着して歯を移動させていく矯正治療方法です。

本記事では表側矯正のメリット・デメリット、裏側矯正との違いを解説します。

「矯正は表側と裏側どっちがいい?」
「目立たない表側矯正はあるの?」

こんな疑問をお持ちの方は必見です。

【本記事の要点】

  • 表側矯正は値段の安さや適応範囲が広いメリットがある一方で矯正装置が目立つデメリットがある

  • 目立ちにくさを重視するなら裏側矯正を選ぶ方法があるが費用が高額

  • 表側矯正にも目立たない色や素材(プラスチックやセラミック)でできた矯正装置を用いた方法がある

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歯科医師

西尾万樹

東京表参道矯正歯科 院長。北海道医療大学歯学部卒業。2018年歯科医師免許取得。旭川医科大学病院口腔外科にて研修後、矯正歯科勤務。2020年コスメコンシェルジュ取得。

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表側矯正とは?

表側矯正

表側矯正は、歯の表側にブラケットという四角い装置をつけ、そこへワイヤーを通して、ワイヤーが引っ張る力によって歯並びを整えていきます。

「ワイヤー矯正」や「ブラケット矯正」とも呼ばれ、最もオーソドックスで一番歴史のある矯正方法です。

表側矯正が向いている人

表側矯正は、以下のような方に合った矯正方法です。

  • 矯正費用をできる限り抑えたい人

  • 装置中の見た目はそこまで気にしない人

  • 矯正中滑舌が悪くなるのを避けたい人

  • 顔面衝突のリスクがあるスポーツをしていない人

矯正費用をできる限り抑えたい人

詳しくは後ほど紹介しますが、表側矯正は歯科矯正の中でも比較的安いです。そのため矯正費用をできるだけ抑えたい人は、表側矯正を検討してみましょう。

矯正中の見た目をそこまで気にしない人

矯正装置をつけた状態の見た目が気にならない人も、表側矯正に向いた人と言えるでしょう。矯正装置を表側と裏側どっちにつけるかは、見た目をどのくらい重視するかで決定することが多いからです。

歯の表面に装置がつくのが気になる人は、歯の裏側につける裏側矯正や、装置が透明で目立たないマウスピース矯正を検討してみましょう。

矯正中滑舌が悪くなるのを避けたい人

人前で説明している女性

表側矯正は矯正中の話しにくさが気になる人にもおすすめ。装置が舌に当たりにくいため滑舌への影響は少ないです。

顔面衝突のリスクがあるスポーツをしていない人

表側矯正は歯の表面に装置がつきます。球技やボクシングなどで口元に衝撃が加わると、装置によって口腔内が傷つく可能性があります。

ただし顔面衝突のリスクがあるスポーツをしていても、装置の上から装着するマウスピースによって、口腔内が傷つくのを防ぐ方法もあります。

表側矯正のメリット

表側矯正には以下のようなメリットがあります。

  • 比較的値段が安い

  • 滑舌への影響が少ない

  • ブラッシングが行き届きやすい

  • 適応範囲が最も広い

歯の裏側に装置をつける裏側矯正と比較しながら紹介します。

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比較的値段が安い

表側矯正は、歯の裏側に矯正装置をつける裏側矯正と比べて値段が安い傾向にあります。費用を抑えて歯科矯正を行いたい人にとって大きなメリットです。

滑舌への影響が少ない

「表側矯正は喋りにくい」「滑舌が悪くなる」と言われることがありますが、舌に矯正装置があたる裏側矯正と比較すると喋りやすいです。

一方で表側矯正でも、特に矯正装置がついた直後は、今までと同様に喋れないことがストレスに感じることはあるでしょう。ただし一般的に1週間から1ヶ月ほどで慣れるのがほとんどです。

また、表側矯正は食事中も矯正装置に舌があたることがないため、比較的違和感なく食べることができるでしょう。

歯磨きが行き届きやすい

食事の際に矯正装置と歯の間に食べかすが挟まっても、表側矯正なら汚れの位置を目視しながら歯磨きができます。裏側矯正と比較するとブラッシングが細部まで行き届きやすいでしょう。

適応範囲が最も広い

ほかの矯正方法では対応できる症例が限定される場合があります。その点、表側矯正は適応範囲が最も広く、ほとんどの歯並びに対応できます。

表側矯正のデメリット

表側矯正にはメリットだけでなく以下のようなデメリットもありますので、理解しておきましょう。

  • 矯正装置が目立つ

  • 口が閉じにくい

  • 引っかかった食べかすが目立つ

  • 口内炎ができる

矯正装置が目立つ

表側矯正は歯の表側に矯正装置がつくので、裏側矯正と比べて目立ちやすい点がデメリットです。

見た目を気にする方や矯正していることを知られたくない方には、向いていない矯正方法と言えます。

口が閉じにくい

表側矯正は矯正装置が唇側につくため、口元にボリュームが出て突き出たような印象になることも。

さらに唇に矯正装置が引っかかって、口が閉じにくい状況になることもあります。口がしっかり閉まらないことで口の中が乾燥し、口臭が発生してしまうリスクもあるので、気をつけてください。

引っかかった食べかすが目立つ

ワイヤー矯正は表側・裏側どちらにも言えることですが、食事をすると歯と矯正装置の間に食べ物が引っかかりやすいです。

表側矯正の場合は矯正装置に食べかすが挟まると目立ちますが、鏡で確認しなければ気づけません。特に外食する際などは、食事を終えたらできるだけ早くお手洗いに行き、食べかすが引っかかってないか確認するのがおすすめです。

口内炎ができる

表側矯正は矯正装置によって口腔内が傷つき、口内炎を起こしやすいです。特に矯正開始から間もない頃は、並びがガタついている歯の表面に装置がついた状態。出っ歯や八重歯など前に出ている部分は口の中の粘膜に装置が当たりやすく、傷ついて口内炎ができてしまいます。

表側矯正で口内炎ができやすいのは、主に唇や頬の内側です。対処法や予防法としては、ワックス(歯科矯正用粘膜保護剤)をブラケットに貼る方法があります。ワックスは装置をつけた際に歯科医院からもらえることが多いです。

▼矯正用ワックス

矯正用ワックス

ここまで紹介した表側矯正のメリット・デメリットをまとめると以下の通りです。

表側矯正のメリット

表側矯正のデメリット

比較的値段が安い
滑舌への影響が少ない
ブラッシングが行き届きやすい
適応範囲が最も広い

矯正装置が目立つ
口が閉じにくい
引っかかった食べかすが目立つ
口内炎ができる

画像リンク

表側矯正の値段相場と期間の目安

表側矯正器具と歯科クリニックの予約

表側矯正の気になる値段相場と期間の目安は以下の通りです。

値段相場は30万~130万円程度

表側矯正の値段相場は、前歯のみなど部分的に整える部分矯正か、奥歯から歯並び全体を整える全体矯正かによって異なります。全体矯正と比較すると部分矯正の方が2分の1程度値段が安いです。

ただし自分の歯が部分矯正で治せるかどうかは、ドクターに診断してもらう必要があります。

  • 表側矯正の部分矯正:30万〜60万円程度

  • 表側矯正の全体矯正:60万~130万円程度

ワイヤー矯正には、表側矯正以外に裏側矯正とハーフリンガル矯正もありますが、最も安い値段で行えるのが表側矯正です。

以下の表はワイヤー矯正の種類別の値段相場です。

全体矯正

部分矯正

表側矯正

60万〜130万円

30万〜60万円

裏側矯正

100万〜170万円

40万〜70万円

ハーフリンガル矯正

80万〜150万円

35万〜65万円

期間の目安は2ヶ月~3年程度

表側矯正の期間の目安も、部分矯正か全体矯正かによって異なります。全体矯正よりも部分矯正の方が歯を動かす距離が少ない分、期間が短い傾向にあります。

  • 表側矯正の部分矯正:2ヶ月~1年程度

  • 表側矯正の全体矯正:1~3年程度

また、矯正方法によっても期間は異なり、ワイヤー矯正の中では表側矯正が最も短期間で済む傾向があります。

以下の表はワイヤー矯正の種類別の期間(目安)です。

全体矯正

部分矯正

通院頻度

表側矯正

1〜3年程度

2ヶ月〜1年程度

1ヶ月に1回

裏側矯正

2〜3年程度

5ヶ月〜1年程度

1ヶ月に1回

ハーフリンガル矯正

2〜3年程度

5ヶ月〜1年程度

1ヶ月に1回

目立たない表側矯正もある

審美ブラケットを使ったワイヤー矯正

最近では、従来、表側矯正のデメリットとされていた「目立ちやすさ」を解消する種類も登場しています。これまで表側矯正の見た目がネックになっていた方も、抵抗感を軽減できるでしょう。

ただし一般的な金属製のメタルブラケットとワイヤーを用いた表側矯正と比較して、目立たない矯正装置は値段が高くなる傾向にあります。

以下の表は、ワイヤー矯正に用いられるブラケットとワイヤーの種類別の値段(目安)です。

矯正装置の種類

特徴

費用目安

メタルブラケット

最も一般的な金属製

30万〜80万円

ハイブリッドブラケット

目立ちにくく手頃な値段

35万〜80万円

プラスチックブラケット

目立ちにくく手頃な値段

60万〜90万円

ジルコニアブラケット

美しく強度に優れる

65万〜100万円

セラミックブラケット

歯の色調と近く目立ちにくい

65万〜100万円

ホワイトワイヤー

白く目立ちにくいワイヤー

+10万円

目立たないブラケット

ハイブリッドブラケット(審美ブラケット)

ブラケットとはワイヤーを通すために歯の1本1本につける小さな矯正装置のこと。一般的なメタルブラケットだけでなく、セラミックやプラスチックを使用したものなどさまざまな種類があります。

白色や透明タイプのブラケットを選ぶことで矯正装置が目立ちにくくなります。ただし素材によって特徴もさまざまで、金属製と比較して強度が下がったり費用がかさんだりするデメリットも。

メリットとデメリット双方を理解して、納得した上で選ぶようにしましょう。

目立たないワイヤー

ホワイトワイヤー

ワイヤーも一般的な金属製のワイヤーのほか、ホワイトワイヤーがあります。ホワイトワイヤーはワイヤーを白く目立ちにくくしたものです。銀色のワイヤーを白く塗装したものと、ロジウムという白い金属でコーティングしたものの2つに分けられます。

白色や透明のブラケットと合わせて使用することで、より目立たない表側矯正ができるでしょう。

ただし白く塗装したホワイトワイヤーは、使用状況によっては塗料が剝がれてしまうこともあります。

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表側矯正に関するよくある質問

ここからは表側矯正に関するよくある疑問にお答えします。

表側矯正と裏側矯正どっちがいい仕上がりになる?

表側矯正より裏側矯正の方が仕上がりが劣ると誤解している人も少なくありません。

確かに裏側矯正には表側矯正に比べてドクターの高度な技術が必要です。しかし、しっかりと経験やトレーニングを積んだドクターであれば仕上がりの違いはありません。

後悔しないためには複数のクリニックで納得いくまでカウンセリングを受けて、信頼できるドクターを選ぶようにしましょう。

表側矯正中にキスはできる?

パートナーがいる人にとって、表側矯正中にキスができるかどうかも気になるポイントではないでしょうか。結論からいうと、表側矯正中でも基本的には問題なくキスはできます。

ただし矯正装置の尖っている部分で舌などが傷つく可能性があるので注意が必要です。不安な場合は、あらかじめ矯正装置がついていることを伝え、パートナーにも表側矯正について理解してもらうことをおすすめします。

矯正女子をかわいいとする風潮も高まっている?

カラーゴムで矯正装置のおしゃれを楽しむ

以前は歯科矯正をしていたら「気付かれたくない」とネガティブに捉えられてきましたが、近年ではそのイメージが変化してきています。「かわいい女子は歯列矯正をしている」といわれることも。

目立たない歯科矯正が普及してきたことは、大人が歯科矯正を受けるハードルが下がった要因の一つです。表側矯正のワイヤーを隠さない女性や、矯正を受けていることをオープンにする芸能人も少なくありません。

また、最近はカラーゴムで矯正装置のおしゃれを楽しむ人も。「ワイヤーがむしろかわいい」「歯並びを治している女性は美意識が高い」など、ポジティブな価値観も高まってきています。

「目立たない表側矯正」という選択肢もある

表側矯正は、これまで目立ちやすいことがデメリットとされてきました。しかし最近は目立たない素材の矯正装置もあります。表側矯正の見た目が気になる方は、このような目立たない種類の矯正装置を検討してみてはいかがでしょうか。

また、目立たない矯正がしたいならほかにもマウスピース矯正という選択肢も。どの矯正方法にもそれぞれメリットとデメリットがありますので、よく理解した上で選ぶことが大切です。

まずはお近くのクリニックに足を運んで、あなたの歯並びにはどの矯正方法が最適か、ドクターに相談してみてください。

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