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歯科矯正
最終更新日:2024年3月8日

妊娠中の歯科矯正はNG?もし矯正中に妊娠が発覚したら中断?

妊娠中の矯正top

妊娠中に歯科矯正を行ってもいいのか悩んではいませんか。妊娠中は何が起こるか予測できないものの、歯科矯正ができないわけではありません。ただし、妊娠中の歯科矯正ではいくつかの注意が必要です。本記事では妊娠中の歯科矯正について詳しく解説します。妊娠中の方、妊娠希望中の方もぜひ参考にしてください。

吏帆子さんアイコン
歯科医師

太田 吏帆子

鶴見大学歯学部卒業。卒後、東京歯科大学にて研修。一般歯科、矯正歯科勤務。

妊娠中はいくら体調がよくても、途中で何が起こるか予測がつきません。

「そもそも妊娠したら歯科矯正はできるの?」
「矯正をはじめると赤ちゃんに何か影響があるのでは」

このような不安を抱えている方も多いでしょう。結論から言うと、妊娠中でも矯正治療は可能です。ただし、妊娠中の歯科矯正は気をつけるべき点がいくつかあります。

本記事では妊娠中に歯科矯正を行う上での注意点や気になる疑問について解説します。現在、歯科矯正中で妊娠を希望している方や妊娠が発覚した方、妊娠前に矯正治療を終えたい方はぜひ参考にしてください。

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妊娠中でも矯正治療は可能

妊娠中の女性

妊娠中は胎児に与える影響から、食べるものや服用する薬などに制限がかかります。歯科矯正治療も「やってはダメなのでは?」と考えている人がいるかもしれません。

結論から言うと、妊娠中でも矯正治療は可能です。マウスピース矯正 Oh my teethでも、実際に矯正中に妊娠され、妊娠中も治療を継続し、無事マウスピース矯正を完了されたユーザーがいます。

しかし、妊娠中は何が起こるか予測できません。状況によっては治療方針を変えなければならない場合もあります。

そのため、矯正中に妊娠したら早いタイミングで歯科クリニックへ報告することが大切です。妊娠中に歯科矯正をはじめる場合も、必ずその旨を伝えましょう。

妊娠中に歯科矯正する注意点

妊娠中の矯正治療では、以下の点に注意が必要です。

①レントゲン撮影を避ける

マウスピース矯正 Oh my teeth 導入クリニックにおけるレントゲン撮影の様子

歯科矯正では、治療計画を立てたり、計画通りに治療が進んだかを確認したりするために、数回にわたりレントゲンを撮影します。

とくに矯正開始前のレントゲン撮影は、治療計画を立てる際の大切な資料になるため、行われることが多いです。

妊娠中のレントゲン撮影はできるだけ避けるのがベターですが、歯科用レントゲンは腹部から離れている上、防護用エプロンも着用するため、胎児への影響はほとんどないと言われています。

しかし、中には妊娠中の患者に対してレントゲン撮影を行わない方針の歯科クリニックもあります。レントゲン撮影後に妊娠した場合は問題ありませんが、妊娠中にレントゲン撮影を行う場合は必ず歯科医師に相談してください。

②麻酔を避ける

歯科矯正における処置の中には、麻酔が必要なものがあります。例えば「アンカースクリュー」と呼ばれるチタン製のネジを埋め込む場合です。

アンカースクリューを埋め込むのは治療初期であることが多いので、矯正治療中に妊娠した場合は問題ありません。しかし、妊娠中に歯科矯正をはじめる場合は、アンカースクリューのような麻酔が必要な処置があるか確認しましょう。

局所麻酔は胎児への危険性がほとんどないと言われていますが、安定期に行うようにするなど、担当医と相談する必要があります。

③抜歯の時期に注意

妊娠中に矯正しても大丈夫?レントゲンや抜歯など注意点を解説

抜歯をともなう歯科矯正の場合、抜歯は初期段階で行うことが多いです。矯正中に妊娠した場合の多くは既に抜歯を終えている状態であるため、とくに問題ありません。

また、妊娠中でも抜歯は可能です。抜歯後に飲む痛み止めや化膿止めも、胎児への影響が少ないものが処方されます。

ただし、妊娠初期は薬剤の投与に注意が必要である上、悪阻(つわり)など心身にかかるストレスも大きいため、抜歯はおすすめできません。

歯科矯正で抜歯が必要となった場合は、安定期以降が望ましいです。急に体調が変化する可能性もあるため、抜歯の時期は歯科医師としっかり相談しましょう。

④虫歯・歯周病の予防が必須

妊娠中は虫歯・歯周病のリスクが上がります。なぜなら、妊娠中は女性ホルモンの急激な増加によって歯周病の原因菌が増殖するほか、唾液の自浄作用が低下して口腔内環境が悪化しやすいためです。

妊娠中の歯周病は低体重児出産や早産のリスクを高めるため、予防が欠かせません。歯科矯正を行っている期間は矯正装置がつくことで歯磨きがしにくくなるため、デンタルフロスを使うなど、妊娠前よりも丁寧なケアを心掛けましょう。

歯科矯正のうち、マウスピース型の矯正装置を装着する「マウスピース矯正」は、歯磨きのときに矯正装置を取り外せるため、ブラッシングなどのケアがしやすいです。

⑤処置時の体勢に注意

妊娠中に矯正しても大丈夫?レントゲンや抜歯など注意点を解説

治療中は矯正装置の調整や治療経過のチェックなどを行う際、歯科治療用のベッドに横たわることがあります。

妊娠後期にあたる妊娠8ヶ月(28週)以降は仰向けになると仰臥位(ぎょうがい)低血圧症候群による死産のリスクが上がるため、左側を下にするのが望ましいです。

妊娠中に矯正治療を受けた人の声

妊娠中の女性

実際に妊娠中に矯正治療を受けた人の声を紹介します。

自然とカフェインを含む飲料を我慢できた

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マウスピース矯正の場合、マウスピースを装着中は水・炭酸水・白湯以外は口にできません。コーヒーなどカフェインが入った飲み物も自然を控えることになるため、妊娠期に好都合という人もいるようです。

調整が辛い

つわりがひどいと、矯正装置の調整時、口の中に器具を入れられるのも辛いことがあります。またお腹が大きくなると、仰向けの体勢が辛いこともあるでしょう。

食べられるものが少ない

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ワイヤーを調整したり、新しいマウスピースに交換したりした直後は歯が痛みやすく、噛み締めなければならない食材を食べるのが難しいことがあります。さらにつわりがあると、食べられるものが制限されてしまいます。

後戻りしてしまった

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矯正治療では、歯を動かす期間が終わった後、きれいになった歯並びを固定する期間(保定期間)が必要です。妊娠前に矯正期間は完了しても、保定期間中に妊娠し、リテーナー(保定装置)を長時間つけられず後戻りしてしまうケースもあるようです。

人とあまり会わない時期にできる

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矯正治療では矯正装置を歯につけるため、見た目が気にする人もいます。その点、産休を取る場合は「妊娠中に人と会う機会が少なくなるのが好都合」という人もいるようです。

妊娠中の歯科矯正でよくある質問

妊娠中に矯正しても大丈夫?レントゲンや抜歯など注意点を解説

妊娠中の歯科矯正に関して、よくある質問を紹介します。

歯科矯正の開始は妊娠前と出産後どっちがいいですか?

歯科矯正を開始するベストなタイミングは人によって異なります。

妊娠前の歯科矯正はレントゲン撮影や抜歯などを避ける必要がなく、計画通りに治療を進めやすいです。しかし、矯正中に妊娠した場合は、悪阻の影響などで治療を中断することがあります。

実際に歯磨きで気持ち悪くなったり、矯正装置をつけていることに耐えられなくなったりする人は少なくありません。そのまま治療を継続できる人もいますが、体調を考慮し、歯科医師と相談した上で治療を続けることが大切です。

一方、産後はお母さんの身体の回復、赤ちゃんの成長度合いに個人差があるため、すぐに矯正をはじめるのは難しいです。最短でも2〜3ヶ月ほど経ってから矯正開始を検討したほうがよいでしょう。

また、産後の歯科矯正は赤ちゃんを家族に預ける必要があるため、定期的な通院が難しくなる人もいます。 赤ちゃんを連れて通院したい場合は、事前に可能かどうかを歯科医院に確認しておきましょう。

悪阻が激しいときでも続けられますか?対策は?

悪阻が激しいときでも、本人の希望があれば矯正治療は続けられます。

ただし、悪阻がひどい状態で矯正治療を続けると、口腔内に異物が入り込む不快感から余計に具合が悪くなることがあります。

悪阻が激しいときは無理をせず、治療を一時的にお休みするのがおすすめです。どうしても治療を続けたい場合は歯科医師に相談しましょう。

マウスピース矯正の場合は、矯正装置の装着時間を短くする、奥歯の部分をカットしてもらうなどの対策をとってもらえます。

妊娠前に矯正治療を終える方法はありますか?

妊娠中に矯正しても大丈夫?レントゲンや抜歯など注意点を解説

妊娠中は体調の変化が起こりやすい時期であるため、「可能であれば妊娠前に矯正治療を終わらせたい」という人も多いでしょう。しかし、歯科矯正は虫歯治療と異なり、ある程度の期間を要します。

具体的な治療期間は症例により異なりますが、目安としては以下の通りです。

全体矯正

部分矯正

表側矯正

1〜3年程度

2ヶ月〜1年程度

裏側矯正

2〜3年程度

5ヶ月〜1年程度

ハーフリンガル矯正

2〜3年程度

5ヶ月〜1年程度

マウスピース矯正

1〜3年程度

2ヶ月〜1年程度

歯科矯正は各種検査を行い、治療方法を決めてから矯正装置の作成に取り掛かります。そのため、相談へ行った当日から治療を開始することはできません。

歯科クリニックによっては最初の相談から矯正開始まで1〜2ヶ月かかるケースもあるため、妊娠前に歯科矯正を終えたい場合は、なるべく早い段階で矯正相談に行くことが大切です。

矯正相談の際は、今後妊娠の可能性があることも伝え、本当に今矯正開始すべきなのか、それとも産後にすべきなのかを歯科医師に相談してみましょう。

   マウスピース矯正 Oh my teethの部分矯正プランは、最短2ヶ月(※)。マウスピース矯正キットお届けまでは最短10日です。
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※治療期間には個人差があります。「最短2ヶ月」に保定期間は含まれません。マウスピース矯正キットが自宅に届くまでの期間は契約状況や矯正シミュレーション作成・承認状況などによって前後します。最短10日とは、無料診断当日に契約し、矯正シミュレーション作成に進んだ場合の例です。

妊娠中の歯科矯正の費用は?治療期間で変動しますか?

妊娠中に矯正しても大丈夫?レントゲンや抜歯など注意点を解説

歯科矯正の費用は矯正方法により異なります。

全体矯正

部分矯正

表側矯正

60万〜130万円

30万〜60万円

裏側矯正

100万〜170万円

40万〜70万円

ハーフリンガル矯正

80万〜150万円

35万〜65万円

マウスピース矯正

60万〜100万円

10万〜40万円

歯科矯正は基本的に保険適用外となるため、妊娠しても費用が大きく変わることはほとんどありません。

ただし、通院のたびに調整料や観察料が発生する場合は、妊娠中のトラブルなどで治療期間が延びると、それに合わせて料金が高くなる可能性があります。

一方、最初に提示される総額以外の費用が発生しない「トータルフィーシステム」の歯科クリニックで治療を行う場合は、治療期間が変動しても一律の料金で歯科矯正が行えます。

   マウスピース矯正 Oh my teethの矯正プランは33万円と66万円の2種類。治療期間に関わらず料金は一律です。矯正プラン料金以外の費用が発生することは基本的にありません。
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※マウスピースを破損・紛失した場合などは追加費用が必要です。

痛み止めを飲んでも問題ありませんか?

妊娠中は自己判断で市販薬を飲むことは絶対にやめてください。胎児へ影響が及ぶ恐れがあります。

必ず矯正担当医や産婦人科の担当医に相談し、妊娠中でも服用できる薬を処方してもらいましょう。

途中でお休みすることはできますか?

矯正治療を一旦お休みすることは可能です。実際にマウスピース矯正 Oh my teethでも、悪阻のため、日中のマウスピース装着をお休みしながら矯正を進めたユーザーがいます。

矯正を無理に続けることでストレスがかかるとよくありません。継続が難しいと感じるならば、早めに担当医に相談しましょう。

分娩時に矯正装置をつけたままでも大丈夫ですか?

基本的に分娩時は矯正装置をつけたままでも問題ありません。

ただし、マウスピース矯正のような着脱式の矯正装置の場合は、分娩時の噛み締めにより破損するリスクがあります。心配な方は取り外してから出産に臨んだほうがよいでしょう。

妊娠中に矯正をした人の症例

ここでは、妊娠中にOh my teethのマウスピース矯正で歯並びが改善した人の症例を紹介します。

妊娠中に矯正しても大丈夫?レントゲンや抜歯など注意点を解説
  • 年代・性別:30代前半女性

  • 総額:33万円 (税込)

  • 期間:5ヶ月

  • 備考:非抜歯/部分矯正/研磨処置込

矯正開始後に妊娠され、体調が安定するまでマウスピースの装着時間を調整しながら矯正を完了されたユーザーの症例です。治療期間は5ヶ月です。

妊娠中に矯正しても大丈夫?レントゲンや抜歯など注意点を解説

妊娠中に歯科矯正を検討している方は歯科医師にご相談

妊娠中に矯正しても大丈夫?レントゲンや抜歯など注意点を解説

歯科矯正は妊娠中でも可能ですが、レントゲン撮影や麻酔は胎児への影響が懸念されるため、避けるのがベターです。

安心して治療を続けるためにも、妊娠が発覚したら早いタイミングで歯科医師に報告しましょう。

また、妊娠中は悪阻をはじめ、体調が急に変化する可能性が高いです。体調が優れない場合は無理をせず、歯科医師と相談して治療を一時中断するなどの対応をとりましょう。

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