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最終更新日:2025年7月3日

矯正に抜歯が必要な理由は?4本抜くのはもったいない?後悔しない判断軸を解説

矯正に抜歯が必要な理由は?4本抜くのはもったいない?後悔しない判断軸を解説

矯正治療を考えるときに、「歯を抜く必要があるのか?」と不安になる方は多いのではないでしょうか。

実際、歯列矯正で抜歯が行われるケースはありますが、すべての人に必要なわけではありません。中には「4本抜いた」と聞いて驚いたり、「抜歯で後悔した」という声に不安を感じたりする方も。

この記事では、歯科矯正に抜歯が必要な理由や該当ケース、後悔を避けるためのポイントなどについて丁寧に解説します。

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歯科矯正ブログ編集チーム

木村真由美

Oh my teethでのマウスピース矯正を経て、2021年6月に株式会社Oh my teethにジョイン。マウスピース矯正経験者としてOh my teethのオウンドメディア「歯科矯正ブログ」にて記事を更新中。ミッションは「歯並びに悩むすべての方に歯科矯正の確かな情報をお届けすること」。

歯科矯正で抜歯が必要なケース3つ

矯正治療で抜歯を行う主な理由は、歯を並べるスペースを確保するためです。歯とあごの大きさのバランスがよい状態は、歯がきれいに並びます。しかし、あごが小さいと歯はきれいに並びません。

抜歯矯正のイメージ

たとえば、3人掛けの椅子に4人が座ろうとする場合のように、限られたスペースに歯を並べるのは困難です。同じように歯科矯正でも、スムーズに治療を進めるに抜歯が必要になるケースがあります。

歯科矯正で抜歯が必要なケース3つ

歯科矯正で抜歯が必要なケース3つ

歯科矯正で抜歯が必要になるかどうかは、歯並びやあごの状態によって異なります。以下のケースでは、治療の効果を最大化するために抜歯が必要になることがあります。

あごが小さくて歯が並びきらない・叢生の場合

スペース不足により歯並びがガタガタになっている場合、抜歯で整えることがあります。叢生(そうせい)は、歯が正常に生えるスペースが足りず、前後にズレたり重なり合ったりしている状態です。

このような状態では、歯をきれいに並べるための空間を確保する必要があり、抜歯が必要と判断されることがあります。

出っ歯や口ゴボを改善する場合

出っ歯や口ゴボを改善する場合は、前歯を内側に引っ込めるために抜歯が必要です。歯を後方に下げるスペースが確保できないと、前歯は理想的な位置に移動できません

結果として、横顔の印象やEラインの改善のために抜歯を行うケースが多くあります。

上下のあごのズレや噛み合わせに問題がある場合

あごの前後バランスや噛み合わせが大きくずれている場合、抜歯で調整することがあります。

たとえば、受け口や開咬、交叉咬合など、噛み合わせの異常がある場合、抜歯によって上下の歯列のバランスを整え、理想的な咬合に近づけることが可能です。

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なお、上記以外にも、親知らずの位置が矯正後の歯並びに悪影響を与えると判断された場合や、過剰歯(余分な歯)があるケースでは、抜歯を検討することがあります。

ただし、これらは特殊な症例であり、多くの方にとっては先述の3つが代表的なケースといえるでしょう。

抜歯矯正でよくある「後悔」の声とその原因

口元を気にする女性

矯正治療で抜歯を選択したあと、「やっぱり抜かなければよかったかも…」と後悔する声も少なくありません。ここでは、実際によく聞かれる後悔の内容と、その原因を3つ紹介します。

口元が引っ込みすぎる

抜歯矯正でよく聞かれるのが、「口元がへこみすぎて顔つきに違和感を抱くようになった」という声です。

特に口ゴボを改善するために抜歯を行い、前歯を大きく内側へ移動させた場合、口元が予想以上に引っ込んでしまい、「老けて見える」「イメージと違う」と感じることがあるようです。

これは治療前の横顔分析や、歯の位置決めが不十分な状態で治療を進めたことが主な原因として考えられます。

同じような後悔をしないためには、治療開始前に専門的な審美分析(Eラインや側貌写真など)を行っておいたり、歯科医師と歯の位置についてしっかりと相談したりすることが大切です。

ほうれい線が目立つ

抜歯後に前歯が下がることで、頬部のボリュームが減り、ほうれい線が目立つようになったと感じる人もいます。

これは骨格や筋肉のバランスによるもので、全員に起こるわけではありませんが、もともと頬の脂肪が少ない人や年齢的にたるみが出やすい人は、抜歯矯正の影響で口元の支えが失われ、影の入り方が変わることがあります。

矯正治療終了後に表情筋トレーニングやマッサージを行うことで改善が期待できますが、そうならないためにも、顔の変化について不安がある場合は、歯科医師に遠慮せずに相談することが重要です。

痛みや腫れがある

痛みや腫れに対して強い不安を持っている場合は、抜歯矯正で後悔することも考えられます。抜歯は麻酔をしっかりと効かせるため、術中に痛みはほとんどありません。しかし、麻酔が切れてからは多少の痛みをともなうことがあります。

痛みの感じ方には個人差があるため、強い痛みが生じると後悔してしまう可能性があるのです。

特に抜歯後の注意点を守れない場合は、痛みや腫れが出やすくなります。痛み止めと抗生物質の服用方法や抜歯後の運動、入浴を避けるなど、ドクターの指示に従うことが大切です。

抜歯矯正で顔は変わる?変わらない?

抜歯矯正で顔は変わる?変わらない?

抜歯矯正によって顔が変わることはありますが、それはケースバイケースです。変化が起こるかどうかは、もともとの歯並びや骨格、治療計画の内容によって異なります

なかには、横顔が整ってバランスが良くなったと感じる方もいれば、逆に「口元がへこんだ」「顔がこけたように見える」と違和感を抱く方もいます。

変化が起こりやすいのは、もともと前歯の突出が強い場合や、骨格的に口元が出ている場合です。こうしたケースでは、前歯を大きく下げることでEライン(鼻先〜顎のライン)が整い、見た目が改善することが多いです。一方で、あごの骨格や皮膚の厚み、筋肉のつき方によっては、期待と異なる印象を受けることも。

つまり、「顔が変わる」という現象は全員に起きるわけではなく、事前の分析と設計によってコントロールできる部分があるのです。

見た目の変化に不安がある場合は、矯正前にEラインの確認や横顔の変化予測など、審美面に配慮したカウンセリングを受けることが大切といえるでしょう。

4本抜歯はやりすぎ?本数による違いと判断基準

矯正治療の内容によっては「上下左右で合計4本の歯を抜く」という選択がされることもあります。そのため、「4本も抜くなんてやりすぎでは?」と不安に感じる方もいるでしょう。

しかし、4本抜歯は矯正治療では決して珍しいケースではなく、骨格や歯列の状態によっては最もバランスの良い選択肢となることもあります。ここでは、4本抜歯が必要になるケースと他の抜歯パターンとの違い、判断基準について解説します。

4本抜歯が必要になるケース

4本抜歯は、上下左右の第一小臼歯(前から4番目の歯)を1本ずつ抜くパターンが多く、スペース不足の解消と全体のバランス調整を目的に行われます。

歯式

たとえば、上下どちらのあごにも歯が並びきらないほどスペースが足りなかったり、前歯の突出が強い場合などは、均等にスペースを作る必要があるため、左右上下の4本抜歯が選択されやすくなります。

また、第一小臼歯や第二小臼歯は歯列の中央付近にあるため、抜歯しても前歯と奥歯の機能に影響が出にくく、歯列全体の調整がしやすいという利点があります。

4本抜歯以外のパターンは?

矯正治療において、必ずしもすべての人が4本抜歯を行うわけではありません。たとえば、上顎だけが前に出ている場合は、上の小臼歯2本のみを抜歯するケースもあります。

また、スペース不足が軽度であれば、歯と歯の間に少しすき間をつくる処置や、奥歯を後方に移動させる方法で非抜歯を選ぶことも可能です。

このように、歯科矯正では抜歯の本数や場所が一律ではなく、顎の大きさ・歯並びの状態・治療ゴールに応じて柔軟に設計されます。

本数の判断基準と後悔しないためのポイント

抜歯の本数や部位は、歯科医師による精密な検査と診断をもとに決定されます

一般的にはセファログラム(頭部X線)や模型分析などを通じて、顎と歯のバランス、前歯の傾き、顔貌への影響などを総合的に評価したうえで、最適な抜歯計画が立てられます。

ただ、健康な歯を抜くという決断には慎重さが求められるため、治療前に複数の歯科医師に相談(セカンドオピニオン)を受けるのも有効です。

また、抜歯の有無で仕上がりにどのような違いがあるのか、顔つきや機能面への影響はどれほどかなど、具体的に確認してから判断することで、後悔のリスクを大きく減らすことができます。

抜歯の有無で後悔しないために知っておきたいポイント

痛みが出ている様子の画像

矯正で抜歯を選ぶかどうかは、治療の完成度を左右する大きな分岐点です。治療後に「抜かなければよかった」「やっぱり抜けばよかった」と後悔しないためには、事前に確認すべきポイントがあります。

ここでは、後悔を避けるために知っておきたい3つのポイントを紹介します。

複数のクリニックでカウンセリングを受ける

1つのクリニックだけで決めず、2〜3カ所で意見を比較するのがおすすめです。同じ歯並びでも、治療方針や抜歯の必要性の判断は医院によって異なることがあるからです。

非抜歯を強調する医院もあれば、しっかりスペースを取るために抜歯を推奨する医院もあります。複数の視点を聞くことで、自分にとって本当に納得できる治療法を見極めやすくなり、結果的に後悔のリスクも減らせるでしょう。

セファロ分析など事前検査の確認をする

歯科矯正を行う際は、候補の歯科クリニックで精密な検査に基づいた診断があるかを確認しましょう。

特に重要なのが「セファロ分析」と呼ばれる頭部X線写真の評価です。これは、顔の骨格や歯の角度、上下顎の位置関係を立体的に把握するための検査で、顔貌バランスに配慮した治療設計には欠かせません。

もし検査が簡易すぎる、もしくは分析結果の説明がない場合は注意が必要です。後悔しないためにも、根拠のある診断に基づいた治療計画であるかを確認しましょう。

Oh my teethでは、日本矯正歯科学会の認定医が在籍し、セファロ分析などの精密検査をもとに顔貌や噛み合わせまで考慮した診断を無料で行っています。「本当に抜歯が必要なのか、自分に合った治療法を見極めたい」と考えている方は、ぜひ無料診断を活用してみましょう。

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抜歯後の見た目や機能の経過を確認しておく

矯正後にどう変化するのか、見た目や噛み合わせのシミュレーションを見せてもらいましょう。

最近では3DシミュレーションやAIによる治療後予測を提示するクリニックも増えており、見た目の変化や口元の印象を事前に確認することで、「こんなはずじゃなかった」というギャップを防げます。

また、見た目だけでなく、「噛みにくくならないか?」「発音に支障は出ないか?」といった機能面の説明も含めて確認しておくことが大切です。

マウスピース矯正 Oh my teethの矯正シミュレーション(スマホでいつでも確認できます)

矯正シミュレーション
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歯科矯正で抜歯を避ける方法はある?

インプラントアンカーを埋め込んだ歯型模型

抜歯した歯は元に戻せないため、なかには抜歯せずに矯正治療を受けたいという方もいるでしょう。抜歯せずに歯を並べるスペースを確保する方法はいくつかあります。

ここでは、抜歯を避けるにはどうしたらよいか、対処法と治療方法を紹介します。

①拡大床による歯列拡大

非抜歯矯正では、「拡大床」が用いられるケースがあります。拡大床とは、あごの成長を利用して歯列を拡大する矯正器具です。一般的には子どもの歯科矯正治療で用いられますが、あごの骨を広げる方法として、大人にも利用されるケースがあります

拡大床はプレート状で、真ん中にネジがある設計になっています。このネジを回してプレートを徐々に広げることで、歯列をほお側(側方)に移動させていく仕組みです。

歯並びやあごの骨の状態にもよりますが、拡大床によって歯列の幅を広げられれば、歯を並べるスペースが確保できるため、抜歯を避けられる可能性があります。

②アンカースクリューによる後方移動

アンカースクリューとは、チタン製の小さなネジです。アンカースクリューを歯槽骨(歯を支える骨)に埋め込み、そこを支点にして矯正力をかけることで、従来の歯科矯正よりも効率的な歯の移動が可能になります

拡大床が歯列をほお側(側方)に拡大するのに対し、アンカースクリューは歯列を後方に移動する目的で使用されます。

③IPR(ディスキング・ストリッピング)

IPR(ディスキング・ストリッピング)とは、歯の表面をうすく削り、移動スペースを確保する方法です。軽度や中程度の歯並びのずれであれば、歯と歯の間をほんの少しヤスリがけするだけで、抜歯せずに済む可能性があります。

研磨処置で削る範囲は、1ヶ所・1回あたり最大0.5mm程度です。そのため理論上、合計で4~6mm程度歯の移動スペースを確保できることになります。

なお、エナメル質の厚みは1〜1.5mmですが、個人差があるため歯や歯列の状態にあわせて削る量を調整しながら処置を行うのが一般的です。マウスピース矯正では、必要に応じてIPRを行うことがあります。

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歯科矯正の抜歯に関するよくある質問(FAQ)

ここでは矯正のための抜歯にまつわる質問をご紹介します。

矯正抜歯は保険適応?値段はどれくらい?

矯正を目的とした抜歯は、基本的に保険適用外になります。

必要な費用は各部位によって違い、以下が抜歯の費用相場です。


1本あたりの費用

乳歯

地方自治体の負担により自己負担は0円

前歯・小臼歯

1,500~3,200円

奥歯・親知らず

3,000~10,000円

歯科矯正の抜歯

5,000~15,000円

抜歯する場合、矯正装置をつけるのはいつ?

矯正装置をつけるタイミングは、抜歯が終了してから行われることが多いです。しかし矯正後のほうが抜歯が容易になる場合は、矯正装置をつけてから抜歯が選択されることもあります。

矯正で抜歯するかどうかは歯科医師と相談して決めよう

矯正治療において、抜歯をするかどうかの判断は、見た目・噛み合わせ・顔のバランス・将来的な安定性など、複数の要素を総合的に考慮して行われる重要な判断です。

そのため、インターネットの情報や体験談だけで「自分には抜歯が必要だ」「抜かなくて済みそう」と自己判断するのは危険です。歯や顎の状態は一人ひとり異なるため、専門的な検査・診断のうえで判断する必要があります。

Oh my teethでは、日本矯正歯科学会の認定医が、専門的な分析をもとに治療方針を提案しています。抜歯が必要かどうか、治療後にどんな見た目になるのかが気になる方は、まずは無料診断を受けてみるのがおすすめです。

不安や疑問を抱えたまま矯正を始めるのではなく、しっかりと医師と相談しながら納得した上で進めることが、後悔しない矯正治療への第一歩です。

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