Oh my teeth
マウスピース矯正
最終更新日:2025年10月8日

マウスピース矯正の研磨処置(IPR・ディスキング)とは?リスクや必要な症例を紹介

マウスピース矯正の研磨処置(IPR・ディスキング)とは?リスクや必要な症例を紹介
マウスピース矯正では、歯をきれいに並べるために「歯の表面をわずかに削る処置(研磨処置)」を行う場合があります。
これは「IPR(アイ・ピー・アール)」や「ディスキング」と呼ばれる方法で、抜歯をせずに歯を動かすスペースを確保するためのものです。
「歯を削る」と聞くと不安に感じるかもしれませんが、研磨処置は安全性が高く、正しく行えば虫歯や知覚過敏のリスクもほとんどありません。
本記事では、この研磨処置(IPR・ディスキング)について不安を抱く方に向けて、目的やリスク、必要となる症例についてわかりやすく解説します。
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歯科医師

西尾万樹

東京表参道矯正歯科 院長。北海道医療大学歯学部卒業。2018年歯科医師免許取得。旭川医科大学病院口腔外科にて研修後、矯正歯科勤務。2020年コスメコンシェルジュ取得。
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※累計2万人以上とは、2020年5月~2023年10月の歯型スキャン体験ユーザーの合計数です。

研磨処置(IPR・ディスキング・ストリッピング)とは

Oh my teethでも行うケースがある「研磨処置」。専門用語としては「IPR」「ディスキング」「ストリッピング」と呼ばれます。
IPRは「InterProximal Reduction」の略語で、直訳すると「隣接歯間の削減」。
歯と歯の間を少しずつ削り、矯正治療で歯が移動するスペースを確保する方法です。

どのくらい削るの?

「歯を削る」と聞くと「虫歯になっていない健康な歯を!?」と怖がる方もいらっしゃいますが、研磨処置は0.1mm単位で少しずつ歯を削る処置です。
また、研磨処置で削るのは、歯の一番外側の「エナメル質」と呼ばれる組織のほんの数ミリ。イメージとしては「削る」というより、「歯を磨く」「整える」と考えてもらってよいでしょう。

研磨処置の目的

研磨処置は冒頭でも紹介した「研磨処置は歯の移動スペースを確保する」を含め、以下のような目的で行います。

歯の移動スペースを確保するため

研磨処置では1ヶ所・1回あたり最大0.5mm程度歯の表面を削ります。
そのため理論上、合計で4~6mm程度歯の移動スペースを確保できることになります。
なお、エナメル質の厚みは1〜1.5mmですが、個人差があるため歯や歯列の状態にあわせて削る量を調整しながら処置を行うのが一般的です。

噛み合わせを整えるため

研磨処置は理想的な噛み合わせを実現するために行われることもあります。
たとえば上下の歯の大きさがアンバランスな場合、噛み合わせが乱れてしまうことがあります。
そこで歯と歯の間を少しずつ削り、大きさを整え、理想的な噛み合わせに導きます。

後戻りを防ぐため

研磨処置は、矯正治療完了後の後戻りを防ぐ効果もあります。
後戻りとは、矯正治療できれいに並んだ歯が、再び動いてしまって並びが乱れてしまう現象。
なぜ研磨処置でこの後戻りを防げるのかというと、歯と歯はお互いが接触することで支え合っているためです。
研磨処置で隣り合う歯と歯が接触する部分が広くなり(接触点→接触面になる)、お互いを強く支え合えることで後戻りを防ぐ効果があります。
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研磨処置の方法

研磨処置では以下のような器具を使用して歯の表面を少しずつ削ります。
  • 研磨処置用のヤスリ
  • 研磨処置用のバー
  • 研磨処置用のディスク(円盤状の器具)
ヤスリは手動でも使用できる器具ですが、バーやディスクはタービンを用いるため、虫歯治療の「キュイーン」という音が苦手な方は不安になるかもしれません。
ただし虫歯治療のように歯を深く削る訳ではありません。いずれも少しずつ削れるよう調整可能な器具です。
研磨処置で痛みが発生するとしたら、歯ぐきに器具が当たった際の「チクチク」とした程度のものです。

研磨処置のリスク

マウスピース矯正で自分に研磨処置が必要とわかると、
「健康な歯を削っても大丈夫?」
「虫歯になりやすくなったりしみやすくなったりしたらどうしよう」
と不安になることがあります。筆者も研磨処置を経験しているので、その気持ちはとてもわかります。
しかしこれまでの研究結果や論文で、研磨処置を行うことで虫歯になりやすくなるという報告はされていません。
むしろ研磨処置で歯の再石灰化(歯の表面にカルシウムやリン酸を戻すはたらき)が促され、虫歯に強くなったという報告もあります。
また、歯の表面を削ると知覚過敏になってしまうイメージを持たれる方もいらっしゃいますが、こちらも心配は不要です。
なぜなら知覚過敏が起こるのは、歯の象牙質が露出してしまうため。象牙質とはエナメル質の内側にある層で、研磨処置ではそこまで歯を削ることはありません。

研磨処置の費用目安

研磨処置は3,000〜5,000円程度の費用がかかるのが一般的です。ただしトータルフィー(あらかじめ矯正費用の総額を提示する料金システム)を採用しているクリニックの場合、研磨処置費用が総額に含まれていることがあります。
マウスピース矯正 Oh my teethは、研磨処置費用が矯正プラン料金に含まれています。追加で費用が発生することはありませんのでご安心ください。
マウスピース矯正 Oh my teethでは研磨処置費用のほか、アタッチメントの取り付け・取り外し費用も矯正プラン料金に含まれます。アタッチメントについて詳しくは「マウスピース矯正のアタッチメントはなぜ必要?取れた場合の対処法や注意点も解説」をご覧ください。

研磨処置が必要なケース(症例)

マウスピース矯正で研磨処置が必要かどうかは、ドクターが総合的に判断します。
一概には言えませんが、たとえば上下の歯、あるいはいずれか片あごの前歯が前方に出ている場合、研磨処置によって歯の移動スペースを確保することがあります。いわゆる出っ歯の改善のためです。
一方、出っ歯の度合いが大きいと、研磨処置では歯の移動スペースが確保しきれないことがあります。その場合は、次のセクションで紹介するような方法(抜歯・拡大床)が採用されることがあります。
こちらの記事 では、Oh my teethのマウスピース矯正の症例を紹介しています。
研磨処置を行ったかどうかも下記のように記載していますので、参考にしてください。
  • 総額:33万円 (税込)
  • 期間:3ヶ月
  • 備考:非抜歯/部分矯正/研磨処置込

研磨処置以外の方法

研磨処置はおもに歯の移動スペースを確保するために行われる処置です。
歯科矯正で歯の移動スペースを確保する方法は、研磨処置以外に以下のような方法もあります。

抜歯

歯を抜歯して移動スペースを確保します。
抜歯するのは前から4番目(第一小臼歯)か前から5番目(第二小臼歯)で、一般的には4番目を抜歯することが多いです。
矯正治療の抜歯は、歯のガタつきが大きい難症例の場合に行われることが多いです。抜歯すると移動スペースを大きく確保でき、歯をきれいに並べやすくなるためです。
歯科矯正の抜歯についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

拡大床

拡大床とは、歯がきれいに並ぶスペースを、歯列を拡大することで確保する装置です。
プレート状の矯正装置で真ん中にネジがあり、ネジを回すとプレートが広がるようになっています。
拡大床を装着して少しずつネジを回し、歯列を拡大します。
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研磨処置が必要かどうかはどうすればわかる?

マウスピース矯正を行う場合、一般的に以下の2つのパターンで研磨処置を行います。
  • 治療計画を立てる際に研磨処置を組み込む(矯正スタート前に処置を行う)
  • 治療経過を見ながら必要に応じて研磨処置を行う(矯正途中で処置を行う)
そのため矯正開始前に研磨処置が必要かどうかがわかるケースと、治療過程で研磨処置が必要であると判断されるケースがあります。
  Oh my teethでは、矯正のシミュレーション結果を提示する際に、研磨処置が必要かどうかをお伝えします。1か所あたりどのくらい削るのかもあらかじめ提示しますので、ご安心ください。
▲実際に筆者がOh my teethの矯正シミュレーションで提示されたもの。前歯が大きく出ている部分を中心に、1か所あたり0.4〜0.5mm程度の研磨処置を受けました。
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研磨処置は非抜歯矯正で多く用いられる方法

研磨処置は、そこまで恐れる必要はありません。抜歯をせずに矯正を行う場合に用いられる処置で、多くの歯科クリニックで行われています。
研磨処置が必要であるにもかかわらずスキップした場合、シミュレーション通りに正しく歯は動きません。歯と歯の間にスペースがないため、移動している歯をほかの歯がブロックするためです。
「でも、やっぱり歯を削るのは不安……」
そんな場合、Oh my teethでは事前にドクターがオンラインで説明することも可能です。LINEで24時間ご相談も受け付けていますので、気軽に呼びかけてみてくださいね。
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