マウスピース矯正ができない6つの例|適応外の歯並びと代替治療法を解説

「私の歯並びはマウスピース矯正できない例に当てはまる?」「できない人だと言われたときはどうしたらいいの?」と悩んでいませんか?
マウスピース矯正は、ワイヤー矯正と比較すると対応できる症例が限られるため、適応外と診断される人は少なくありません。
本記事では、マウスピース矯正が「できない例」と「できる例」を解説します。さらに、マウスピース矯正が難しいと診断された場合に検討できる、他の矯正方法も紹介。
「矯正で失敗したくない」という方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次
- マウスピース矯正ができない「6つの例」とその理由
- ①重度の歯周病がある|歯を動かすと悪化のリスクあり
- ②あごの骨格に問題がある|骨を動かすことはできない
- ③歯を大きく動かす必要がある|回転や移動が難しい
- ④インプラントが複数入っている|動かせない歯が障害に
- ⑤埋伏歯(埋まっている歯)がある|可動範囲が制限される
- ⑥自己管理が難しい生活習慣|装着時間が守れないと失敗のリスクが大きい
- マウスピース矯正ができる5つのケース
- マウスピース矯正ができない場合の治療法2選
- ①目立たない「裏側矯正」「白いワイヤーとブラケットの矯正」を検討する
- ②外科手術の後にマウスピース矯正をする
- マウスピース矯正できない例でよくある疑問(FAQ)
- Q.マウスピース矯正で出っ歯は治せる?
- Q.マウスピース矯正で八重歯は治せないの?
- Q.マウスピース矯正で前歯だけ治すことはできる?
- Q.マウスピース矯正に年齢制限はある?
- Q.マウスピース矯正で失敗を防ぐ方法はある?
- あなたの歯並びはマウスピース矯正できない例に当てはまる?
マウスピース矯正は多くのメリットを持つ治療法ですが、万能ではありません。以下のような歯並びや口内環境はマウスピース矯正ができない可能性があります。
重度の歯周病がある|歯を動かすと悪化のリスクあり
あごの骨格に問題がある|骨を動かすことはできない
歯を大きく動かす必要がある|回転や移動が難しい
インプラントが複数入っている|動かせない歯が障害に
埋伏歯(埋まっている歯)ある|可動範囲が制限される
自己管理が難しい生活習慣|装着時間が守れないと失敗のリスクが大きい
以下で詳しく解説していきます。
①重度の歯周病がある|歯を動かすと悪化のリスクあり

マウスピース矯正を含 む全ての矯正治療において、重度の歯周病に罹患しているとできない可能性があります。
歯周病は、歯の周辺組織である歯茎が腫れたり、歯を支えるあごの骨が溶けたりしてしまう病気です。
歯周病が進行し、歯茎の炎症や歯槽骨の吸収が進んでいる状態で矯正力を加えると、以下のようなリスクがあります。
歯周病の症状が悪化する
歯の揺れが大きくなる
最悪の場合、歯が抜け落ちてしま う
そのため、中等度~重度の歯周病に罹患している場合は、矯正治療を始める前に、まず歯周病治療を優先し、歯周組織が健康な状態になってから、改めて矯正治療の可否を判断します。
②あごの骨格に問題がある|骨を動かすことはできない

あごが前に突き出しているような、先天的な骨格が原因で、歯並びが乱れることがあります。以下のようにあごの骨格が原因の不正咬合は、マウスピース矯正での治療は難しいです。
著しい出っ歯(上顎前突)
著しい受け口(下顎前突)
顔の歪みを伴う顎変形症
マウスピース矯正は主に歯を動かす治療法であり、あごの骨そのものを大きく変えることはできません。
このような骨格性の問題が大きい場合は、外科手術を伴う「外科的矯正治療」が必要となる可能性が高い です。
③歯を大きく動かす必要がある|回転や移動が難しい

マウスピース矯正は、歯全体を覆うマウスピースで少しずつ歯を動かしますが、その特性上、以下の動きは不得意な場合があります。
歯を垂直方向に大きく動かす(挺出・圧下)
歯根を含めて大きく角度を変える(トルクコントロール)
歯を大きく回転させる
抜歯によってできたスペースに歯を長距離移動させる
これらの動きが必要な症例は、マウスピース矯正だけでは計画通りに歯を動かすことが難しく、治療期間が長期化したり、十分な効果が得られなかったりする可能性があります。ワイヤー矯正の方が効率的であると言えるでしょう。
④インプラントが複数入っている|動かせない歯が障害に

インプラントとは、歯を失ったあごの骨にインプラント体(フィクスチャー)を埋め込み、人工の歯根を作る治療法です。
インプラントは顎の骨に直接結合しているため、天然歯のように矯正力で動かすことができません。
お口の中にこれらの動かせない歯が複数存在する場合、歯を移動させるスペースが制限されたり、矯正計画そのものが立てられなくなったりすることがあります。
⑤埋伏歯(埋まっている歯)がある|可動範囲が制限される
埋伏歯とは、歯茎やあごの骨の中に埋まっていて、正常に生えてきていない歯のことです。マウスピースは歯の表面(歯冠)に装着して力を加えるため、歯冠が完全に埋まっている埋伏歯には直接作用させることができません。
埋伏歯を正しい位置に動かすには、多くの場合、歯茎を切開して装置を取り付け、引っ張り出す処置(開窓牽引)が必要となり、これはマウスピース矯正では行えません。
埋伏歯の状態によっては、抜歯やワイヤー矯正との併用が必要となります。
⑥自己管理が難しい生活習慣|装着時間が守れないと失敗のリスクが大きい
マウスピース矯正が可能な歯並びでも、生活スタイルが原因でマウスピース矯正ができない場合もあります。マウスピース矯正の成功は、以下のような患者さんの協力に大きく依存します。
毎日20時間以上装着する
セルフケアをしっかり行う
指示通りに通院する
マウスピースを破損・紛失した際はすぐに連絡する
これらの自己管理が難しい場合、計画通りに歯が動かず、計画通りに歯が動かないリスクがあります。そのため、自己管理に自信がない場合は、ワイ ヤー矯正を勧められることもあるでしょう。
「自分はズボラだからマウスピース矯正は無理そうだな」と諦めるのは早いです。マウスピース矯正の中には、サポート体制が充実しているものもあります。
たとえば マウスピース矯正 Oh my teethは、あなたが毎日20時間以上の装着ができるように、LINEでサポートします。毎朝LINEで前日の装着時間を報告しなければならないので、「ズボラでも続けられた」というユーザーが多いです。
あなたの歯並びがマウスピース矯正に適合しているかどうかは、まずは無料スキャンでチェックしてみてくださいね。
一方で、マウスピース矯正が非常に効果を発揮しやすいケースも多く存在します。以下に代表的な例を挙げます。
歯の重なりや捻じれが比較的少ない軽度から中程度の歯のガタガタの歯並び(叢生)
軽度から中程度のすきっ歯(空隙歯列)
骨格的な問題が少なく、歯の傾きが主な原因の軽度の出っ歯(上顎前突)や受け口(下顎前突)
以前の矯正治療後に歯並びが戻ってしまった場合の再治療
全体ではなく、気になる一部分だけを整えたい場合(部分矯正)
ただし、これらのケースでも、噛み合わせや歯周組織の状態など、総合的な判断が必要です。必ず歯科医師の診断を受けましょう。

歯科医師がマウスピース矯正だけでは治療ができない歯並びであると判断したときには、ワイヤー矯正を勧めます。
マウスピース矯正で対応できない症例で無理にマウスピース矯正だけで治療をしてしまうと、治療効果が出なかったりトラブルが起きたりする可能性が高まるからです。
そのため無理やりマウスピース矯正ができる歯科医院を探すのではなく、以下の治療法を検討することで、理想の自分に近づくことができます。
①目立たない「裏側矯正」「白いワイヤーとブラケットの矯正」を検討する
マウスピース矯正と同様に見た目を気にする方には、裏側矯正や白いワイヤーとブラケットの矯正という選択肢があります。
裏側矯正は、歯の裏側(舌側)に矯正装置を装着するため、正面左右からはほぼ矯正装置が見えません。また、白いワイヤーとブラケットを用いたワイヤー矯正は、金属の装置を使用した場合よりも目立ちにくくなります。
歯科クリニックによって取り扱っている装置が異なるため、気になる方は事前に確認しましょう。