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マウスピース矯正
最終更新日:2024年10月20日

マウスピース矯正の仕組みを歯科医師が徹底解説!なぜ歯が動くの?

マウスピース矯正の仕組みを歯科医師が徹底解説!なぜ歯が動くの?

マウスピース矯正に興味はあるものの、「マウスピースを装着しているだけで本当に歯並びが動くの?」という疑問から、矯正をはじめていいのか迷ってはいませんか。

そこで本記事では、歯科医師がマウスピース矯正の仕組みについて、歯の構造を踏まえながら徹底解説します。

これを読めば、マウスピース矯正の仕組みだけでなく、マウスピース矯正でどのような歯並びが改善できるかも理解できます。現在、マウスピース矯正を検討している方はぜひ参考にしてください。

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歯科医師

西尾万樹

東京表参道矯正歯科 院長。北海道医療大学歯学部卒業。2018年歯科医師免許取得。旭川医科大学病院口腔外科にて研修後、矯正歯科勤務。2020年コスメコンシェルジュ取得。

歯並びの動き方が事前にわかるマウスピース矯正
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マウスピース矯正で歯が動く仕組み

歯が動く仕組み

歯科矯正はワイヤー矯正とマウスピース矯正の2種類に大きく分かれますが、実は歯が動く原理はどちらも同じです。

歯の周りには、歯根を支える「歯槽骨(しそうこつ)」、歯根と骨の間でクッションの役割を果たしている「歯根膜」があります。歯科矯正では、この歯根膜の働きを利用して歯を動かします。

マウスピース矯正で歯が動く仕組みは以下の通りです。

①歯に矯正力がかかる

矯正用のマウスピースは現在の歯並びにぴったり合うものではなく、わずかにずれが生じるように設計されています。なぜなら、このずれによって歯に矯正力がかかるからです。

マウスピースによって歯に矯正力がかかると、歯根が力をかけられた方向に向かって引っ張られます。すると、片側の歯根膜は伸びて厚みが増し、もう片側の歯根膜は圧迫されて縮まった状態となります。

②歯根膜が幅の調整をはじめる

歯根が引っ張られると、引き伸ばされた歯根膜側には骨をつくる「骨芽細胞」、圧迫されて縮んだ歯根膜側に骨を溶かす「破骨細胞」が現れます。これは、歯根膜が「一定の厚さをキープしようとする」特性を持つためです。

③歯が移動する

それぞれの細胞により骨が吸収・形成されると、伸び縮みしていた歯根膜が元の幅に戻り、歯が歯槽骨の中でゆっくりと移動します。

④1~3を繰り返す

マウスピース矯正では3Dスキャナーで歯型をとり、治療計画を立てます。その後、形の異なるマウスピースをいくつか製作し、段階に応じて順番に装着します。そのため、歯の移動が完了したら、新しいマウスピースを装着して繰り返し歯を動かします。交換の目安は10〜14日程度です。

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マウスピース矯正とワイヤー矯正の仕組みの違い

表側矯正(ワイヤー矯正)

前述の通り、歯が動く原理はマウスピース矯正もワイヤー矯正も同じです。しかし、歯に圧力をかける仕組みは矯正方法により異なります。

マウスピース矯正は歯並びと矯正装置のズレ、ワイヤー矯正はブラケットに通したワイヤーの弾性力を利用して歯に適切な力をかけます。

一般的にワイヤー矯正とマウスピース矯正では、ワイヤー矯正のほうが歯にかかる圧力が強く、矯正中に痛みを感じやすいです。

しかし、ワイヤー矯正は圧力が強くかかる分、歯を移動させるスピードが比較的早く、同じ程度の歯並びであればマウスピース矯正よりも治療期間が短くなることが多いです。

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マウスピース矯正の治療の流れ

マウスピース矯正の一般的な流れは以下の通りです。

  1. 初診・検査

まず、歯科医院で初診・カウンセリングを受け、レントゲン撮影や口腔内写真撮影、歯型採取などの検査を行います。この際、虫歯・歯周病の有無などを確認し、現在の歯の状態を正確に把握します。

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  1. 治療計画の立案

検査結果をもとに、歯科医師が個々の症例に合わせた治療計画を立てます。この段階で、治療期間や費用、予想される結果などについて説明を受けます。

  1. マウスピースの作製

治療計画に納得すれば契約に進み、締結後にマウスピースの作製が行われます。

3Dスキャンデータを石膏模型をもとに、コンピュータ上で歯の動きをシミュレーションし、段階的なマウスピースを作製します。なお、マウスピース矯正ブランドによっては、製造場所が海外にあるケースもあります(インビザラインやZenyumなど)。

  1. マウスピースの装着(矯正開始)

作製されたマウスピースを装着して、歯並びを改善していきます。歯科医師から正しい装着方法や注意点について説明を受け、それに従って治療を進めることが大切です。

  1. 定期的な通院とマウスピースの交換

10日~2週間ごとにマウスピースを交換します。定期的に歯科医院に通院し、治療の進行状況を確認します。

また、Oh my teethのように、原則通院がいらないマウスピース矯正もあります。その場合は、チャットツールなどのオンラインで進捗管理を行います。

  1. 治療終了・保定

目標の歯並びに達したら治療終了です。その後、歯の位置を維持するための保定装置(リテーナー)を装着します。

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マウスピース矯正のメリット・デメリット

矯正種類:マウスピース矯正

マウスピース矯正のメリットには、矯正装置が目立たず、自由に取り外せるため日常生活への支障が少ない点が挙げられます。また、ワイヤー矯正よりも痛みを抑えられるのも特徴です。

一方、デメリットとしては、自己管理が必要なため装着時間を守る責任が患者さん側にあること、重度の歯列矯正には適さない場合があることなどが挙げられます。

これらのメリットとデメリットを考慮し、自身の生活スタイルや矯正の目的に合わせて選択することが重要です。

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マウスピース矯正の仕組みに関するよくある質問

マウスピース矯正の仕組みに関するよくある質問

マウスピース矯正もワイヤー矯正も歯を動かす仕組みは大体同じですが、適応できる症例数はワイヤー矯正のほうが圧倒的に多いです。なぜなら、マウスピースだけで細かい調整を行うのは難しいからです。

しかし、近年では研究が進み、以前よりもさまざまな症例に対応できるようになってきています。状態にもよりますが、現在では歯並びがでこぼことした叢生や、噛み合わせに問題がある不正咬合の改善にもマウスピース型矯正を用いることができます。

ここでは、マウスピース矯正の仕組みに関するよくある質問を紹介します。

マウスピース矯正で歯の傾きはどのように改善するのですか?

矯正用のマウスピースは、あくまでも歯根膜の働きを利用して歯を動かす矯正器具です。そのため、歯の傾きを改善するのは難しい場合があります。

そこで、マウスピース矯正の補助器具として使用されるのが「アタッチメント」です。アタッチメントは歯科用のプラスチック素材でつくられた突起物で、歯の表面につけてマウスピースを装着することにより、特定の歯にかかる矯正力を細かく調整できます。

マウスピース矯正ではアタッチメントの装着がセットで行われることが多いです。アタッチメントは長方形・傾斜付長方形・楕円形など、さまざまな種類があり、目的に応じて使い分けられます。

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マウスピース矯正はどのぐらい微調整ができますか?

マウスピース矯正ではアタッチメントを活用することで、適応できる症例の幅を広げることができます。

重度の歯並びの乱れなど、状態によっては対応できない場合もありますが、歯の根っこから傾斜をなおす、抜歯によってできたすき間を埋める、奥歯を噛んだときに前歯にすき間ができる「開咬(かいこう)」を改善するなどの微調整が可能です。

Oh my teethでは、歯のさまざまな動きに対応するためアタッチメントを装着することがあります。Oh my teethの場合、アタッチメントの費用も矯正プラン料金に含まれています。

マウスピース矯正で噛み合わせはどのように改善するのですか?

矯正用マウスピースは上下の歯並びを整えることに特化した矯正器具であるため、症例によっては歯並びしか整えられず、噛み合わせは改善できない場合があります。

そこで、噛み合わせを整えるために行われるのが、「ゴムかけ」と呼ばれる処置です。ゴムかけとは、医療用ゴムで上下の歯をつなげ、噛み合わせを改善する治療方法です。

ゴムかけの方法は4種類あり、出っ歯や受け口など、どのような歯並びを改善するかでやり方が異なります。アタッチメントと同様に、マウスピース矯正を行う際は勧められることが多いです。

マウスピース矯正のブランド別で仕組みに違いはありますか?

マウスピース矯正はOh my teethをはじめ、インビザライン、キレイラインなど、さまざまなブランドがありますが、歯を動かす仕組みに違いはありません。どのブランドのマウスピース矯正も、歯並びと矯正装置のズレを利用して歯を動かします。

ただし、ブランドによって適応可能な範囲、マウスピースの装着時間、型採りの回数やタイミングは異なります。

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マウスピース矯正は仕組みを理解して適切に行うことが大切

マウスピース矯正は近年登場した新しい矯正方法ですが、歯を動かす原理はワイヤー矯正と同じです。そのため、適切に治療を続ければ、ワイヤー矯正と同様の効果を見込めます。

ただし、マウスピース矯正は自身での着脱が可能であるため、自己管理が非常に重要です。マウスピース矯正は仕組み上、マウスピースを装着している間のみ歯を動かせます。

装着方法や時間を守らずに続けていると、計画通りに治療が進まなくなることがあるため、マウスピース矯正を行う場合は仕組みを理解して、適切に治療を行いましょう。

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