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歯科矯正
最終更新日:2023年10月10日

口呼吸から鼻呼吸に矯正するメリット!歯並びに与える影響も解説

口呼吸は鼻呼吸に矯正したほうがいいのでしょうか?本記事では口呼吸の治し方や歯並び(口ゴボ)との関係、鼻呼吸に切り替えるメリットを解説します。

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歯科医師

西尾万樹

東京表参道矯正歯科 院長。北海道医療大学歯学部卒業。2018年歯科医師免許取得。旭川医科大学病院口腔外科にて研修後、矯正歯科勤務。2020年コスメコンシェルジュ取得。

「子供が口呼吸で歯並びへの影響が気になる」
「鼻呼吸になれば口ゴボは治る?」
「市販の口閉じテープは効果ある?」

こう悩んでいませんか?

顎の発達過程にある子供にとって、口呼吸が歯並びに与える影響は大きいです。

本記事では、鼻呼吸に矯正するメリットや口呼吸の原因、歯並びとの関係を解説。さらに口呼吸を治すためのトレーニング方法も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。

【本記事の要点】

  • 口呼吸は口まわりの筋肉のバランスが乱れ歯並びの悪化につながる

  • 口呼吸から鼻呼吸に切り替えると虫歯・歯周病・口臭リスクの低下や風邪をひきにくくなるといったメリットがある

  • すでに口呼吸が習慣になっている場合、歯科クリニックや耳鼻科、耳鼻咽喉科などへの相談がおすすめ

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口呼吸かどうかをチェックする方法

口を開けて眠る子供

まずはあなたやあなたのお子様が口呼吸かどうかを、以下の項目でセルフチェックしてみましょう。

【口呼吸セルフチェック】

  • 特に意識していないと口がぽかんと開く

  • 朝起きたときに喉が痛いことが多い

  • 慢性鼻炎などで鼻が詰まっていることが多い

  • 口臭がある

  • 就寝中よくいびきをかく

  • 風邪をひきやすい

  • 食事中の咀嚼音が気になる

  • 会話中唾がよく飛ぶ

上記の項目に当てはまる場合、口呼吸になっている可能性があります。

口呼吸で歯並びが悪くなる原因

口が少し空いている子供

歯並びが口呼吸につながっていることもあれば、そもそも口呼吸が歯並びに悪影響を与えて顔つきまで変わっていることもあります。なぜ口呼吸で歯並びが悪くなるのかというと、口まわりの筋肉のバランスが乱れるからです。

口まわりの筋肉のバランスが乱れる

口呼吸が習慣になっていると、舌が正しい位置に収まりにくくなります。

そもそも鼻呼吸が習慣になっていると、舌は上あごにあるくぼみに収まっています。これが舌の正しいポジションと言えます(下のイラストの赤丸に舌先が収まっている状態)。

舌の正しいポジション

しかし口呼吸は口が開いた状態になり、舌が下に落ちてしまいます(低位舌)。この状態は、口まわりの筋肉のバランスが乱れることにつながります。

具体的には、舌の圧力よりも頬の圧力が優位になり、歯が内側に押されることに。その結果、出っ歯・乱ぐい歯(歯が並びきらず重なっている状態)・開咬(噛み合わせたときに上下の歯の間に隙間が開く状態)などにつながってしまいます。

口ゴボにつながる

「口ゴボ」とは、口元が前にモコっと出ている状態を指したもの。口ゴボの原因として代表的なのが、出っ歯や上下のあごのバランスの乱れです。

口呼吸は口まわりの筋力のバランスが乱れる原因になり、さらにそこで指しゃぶりなどの悪習慣が重なると、出っ歯になったり、あごの正常な発達を妨げたりすることも。その結果、口ゴボにつながってしまいます。

以下に口ゴボの特徴を挙げますので、気になる人はセルフチェックをしてみてください。

【口ゴボの特徴】

  • 横から見ると、唇が鼻の高さと同じくらい前方に出ている

  • 口を閉じると人中(鼻の下)が長く見える

  • 横顔の輪郭がぼんやりしている(あごがないように見える)

  • 口を閉じるとあごに梅干しのようなシワができる

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口呼吸から鼻呼吸に矯正するメリット

鼻から息を吸う子供

すでに口呼吸によって歯並びが乱れている場合、口呼吸をなおすだけで歯並びが改善するとは考えにくいです。しかし幼い頃から口呼吸などの悪習慣を矯正すれば、本格的な歯科矯正なしで歯並びが改善できることもあります。

口呼吸などを矯正することで歯並びを改善に導く子供の歯科矯正は、3歳から5歳ごろなど、早めに治療を行うのが大切です。

また、口呼吸をなおすと虫歯や歯周病リスクが下がる、口臭予防になる、風邪をひきにくくなるといったメリットも。そのため、たとえ歯並びが改善しなくても、鼻呼吸にシフトしたほうがいいと言えるでしょう。

【口呼吸から鼻呼吸に矯正するメリット】

  • 虫歯や歯周病リスクが下がる

  • 口臭予防になる

  • 風邪を引きにくくなる

  • 発音がしっかりする

  • 顔の印象が変わる

虫歯や歯周病リスクが下がる

口呼吸が習慣になっていると、口腔内が唾液で満たされにくくなります。そもそも唾液には自浄作用や殺菌作用があり、虫歯や歯周病の原因菌の活性を抑える働きを持ちます。

口呼吸から鼻呼吸にシフトすると、口をしっかり閉じられるようになり、口腔内が唾液で満たされやすくなります。その結果、唾液による自浄作用や殺菌作用も十分に働きやすくなり、虫歯や歯周病リスクが下がるのです。

口臭予防になる

唾液の自浄作用や殺菌作用は、口臭の原因菌の活性を抑える働きもあります。そのため口呼吸から鼻呼吸にシフトすると、口腔内が唾液で満たされるようになり、口臭リスクも抑えられます。

風邪を引きにくくなる

鼻は優秀な器官です。

空気中に浮遊する細菌・ウイルスや、アレルギーの原因となるダニやハウスダストも、鼻毛や鼻の粘膜が除去してくれます。また、冬の冷たい空気も、いったん鼻を通ることで温められ、さらに湿度も加わり、喉や肺への刺激を軽減してくれます。

しかし口呼吸では細菌やウイルス、冷たく乾燥した空気が、直接気道に入ってしまいます。鼻呼吸に切り替えることで風邪を引きにくくなるのは、このようなメカニズムが関係しています。

発音がしっかりする

口呼吸が習慣になると、舌が下に落ちやすくなります(低位舌の状態)。低位舌では、上の歯の内側に舌をつけるのが難しくなります。

その結果、タ行・ナ行など、上の歯の内側に舌をつける必要がある言葉の発音が難しくなり、滑舌が悪くなる原因に。しかし口呼吸から鼻呼吸に切り替えれば、舌が正しいポジションに収まり、発音もしっかりできるようになります。

顔の印象が変わる

口呼吸が癖になっていて口がポカンと空いた状態になると、口唇の力が弱くなります。その結果、歯並びが乱れたり噛み合わせが悪くなったりすると顔の筋肉のバランスが崩れ、顔の印象が変わってしまうことも。たとえば噛みやすい右側ばかりで噛んでいたのが改善されると、左右の印象がアンバランスになっていたのも改善されることがあります。

また、歯並びが原因で口呼吸になっていた場合、矯正治療によって歯並びが整い、鼻呼吸がしやすくなります。鼻呼吸に切り替えることで口を閉じられるようになり、顔全体の印象が変わることがあります。

口呼吸になってしまう原因

指しゃぶりをする子供

口呼吸になる原因としては、鼻炎やアレルギー疾患、アデノイド肥大、口まわりの筋力不足などが挙げられます。ここから詳しく解説します。

【口呼吸の原因】

  • 鼻炎やアレルギー疾患

  • アデノイド肥大

  • 口まわりの筋力不足

  • 歯並びの悪さ

  • 口まわりの悪習慣

鼻炎やアレルギー疾患

慢性鼻炎などのアレルギー疾患があると、鼻詰まりが起きて鼻呼吸ができない状態になりやすいです。

すでにアレルギー疾患の治療を受けていて、鼻詰まりが解消されていれば問題ないでしょう。しかしそうではない場合、常に鼻が詰まった状態になりやすく、口呼吸になってしまうのはある意味仕方のないことと言えます。

アデノイド肥大

アデノイドは喉の奥の上部(上咽頭)にあるリンパ組織のかたまりです。アデノイド肥大では、2歳ごろからアデノイドが大きくなり、6歳ごろにピークを迎え、8〜10歳ごろには小さくなっていきます。

アデノイド肥大の症状としては以下のようなものがあり、口呼吸もその一つです。

  • 鼻詰まり

  • 口呼吸

  • お口がぽかんと開いた状態

  • 睡眠時無呼吸(いびき)

口まわりの筋力不足

口まわりの筋肉(口輪筋)の力が不足していると、口を閉じる力が弱くなります。その結果、しっかり意識を向けないと口を閉じられなくなり、口がぽかんと開いた状態に。

口まわりの筋力不足の原因としては、あまり咀嚼しなくてもいい食習慣などが考えられます。

歯並びの悪さ

歯並びの悪さが口呼吸の原因になっているケースもあります。たとえば出っ歯で口が閉じにくい状態ですと、自然と口が開きやすくなり、その結果口呼吸になることがあります。

口まわりの悪習慣

口まわりの悪習慣が原因で、口をきちんと閉じられずに口呼吸になってしまうケースもあります。たとえばあごがまだ柔らかい子供の時期に頬杖をつく癖があると、あごの形が変形し、口が閉じにくくなる原因に。

このほか、舌で前歯を押したり、指しゃぶりをしたりすることが出っ歯につながり、結果的に口呼吸の原因になってしまう可能性もあります。

口呼吸の治し方

ガムを噛む子供

口呼吸から鼻呼吸に切り替えることにはさまざまなメリットがあります。お子様やご自身の口呼吸が気になる場合は、ガムを噛む、舌のトレーニングといった方法で鼻呼吸に切り替えてみてください。

【口呼吸の治し方】

  • ガムを噛む

  • 舌のトレーニングを行う

  • 口呼吸対策グッズを使用する

  • 歯科矯正治療を受ける

ガムを噛む

口呼吸の原因の一つには口まわりの筋力の低下があります。口まわりの筋力を鍛える方法としては、ガムを噛むのも効果的です。

口まわりの筋力向上を目的としてガムを噛む際は、いつもより大袈裟に口を動かして噛みましょう。筋肉が大きく動かされ、よい刺激になります。

舌のトレーニングを行う

舌のトレーニングを行うことで、舌を正しい位置に引き上げるのもいい方法です。そこでおすすめしたいのが、福岡県のみらいクリニック 今井一彰院長が考案した「あいうべ体操」です。

大きく「あ」「い」「う」と口を動かし「べ」で舌を思い切り下に伸ばしましょう。これを1セットとし、食後10セット、1日合計30セット続けます。まずは1ヶ月続けていくと、徐々に舌の筋力がつき、舌が正しいポジションに収まるようになるでしょう。

参照: あいうべ体操 | 福岡のみらいクリニック

口呼吸対策グッズを使用する

口呼吸対策グッズとして、テープやマスクなどが販売されています。このようなアイテムを使用するのも、口呼吸を改善する一つの方法と言えるでしょう。

ただしこのような市販のグッズを使用する前に、ドクターに相談するのがベターです。特に幼い子供に使用する場合、誤って呼吸ができなくなるリスクも考えなくてはなりません。

歯科矯正治療を受ける

出っ歯などが原因で口が閉じにくく、口呼吸になっている場合、歯科矯正治療によって歯並びが整うことで、口呼吸から鼻呼吸に切り替えやすくなります。

歯並びが原因で口呼吸になっているかどうかをチェックする方法の一つに、口を閉じたときの状態を見る方法があります。口を閉じたとき、顎に梅干し状のシワができる場合、歯並びの乱れが原因で口まわりに無理に力を入れないと口が閉じられないことがわかります。

このセルフチェック方法を使って、無意識に口が空いてしまう原因が「歯並び」なのか「癖」なのか、ぜひ確かめてみてください。

口呼吸の矯正はどこに相談したらいい?

歯医者に来た子供

すでに口呼吸が習慣になっている場合、自宅で自力で鼻呼吸に矯正するのは困難であることも多いです。口呼吸を医療機関に相談する際は、歯科クリニックや耳鼻科、耳鼻咽喉科に相談してみましょう。

歯科クリニック

口呼吸と同時に歯並びも気になっている場合は、矯正歯科クリニックを受診して相談してみましょう。

子供の年齢や歯並びの状態にもよりますが、MFT(口腔筋機能療法)などで口まわりの悪習慣が改善されると、本格的な歯科矯正をしなくても歯並びが改善することもあります。

耳鼻科や耳鼻咽喉科

鼻詰まりが原因で口呼吸になっている場合は、耳鼻科や耳鼻咽喉科、小児科などに相談してみましょう。鼻詰まりが改善されれば、自然に鼻呼吸にシフトできることもあります。

またアデノイド肥大が不安な場合も、耳鼻科や耳鼻咽喉科、小児科のドクターに診てもらいましょう。

口呼吸に関するよくある疑問

最後に口呼吸に関するよくある疑問にお答えします。

口を開けて寝るのを治す方法は?

起きているときであれば意識して鼻呼吸をするように気をつけることができますが、寝ているときは口呼吸だと無意識に口が開いてしまいます。

寝ているときに口が開かないようにするには、睡眠時に市販の口閉じテープを唇に貼るのが有効です。ただし鼻詰まりや睡眠時無呼吸症候群などのある方・幼い子どもは、呼吸ができなくなる可能性があるため、まずはドクターに相談してください。

また枕の高さが高すぎる・低すぎる場合も口が開いた状態になります。口を開けて寝るのを治すためには、専門店などで相談しながら自分の体型に合った枕を選ぶのがおすすめです。

口呼吸はどれくらいで治る?

口まわりの筋力不足が原因で口呼吸になっている場合、個人差はありますが、先ほど紹介した「あいうべ体操」を1日30セットを1ヶ月程度毎日続けることで、舌と口まわりの筋肉が鍛えられ口呼吸が改善してくるでしょう。

歯並びの悪さが原因で口呼吸になっている場合は、歯科矯正治療が必要になるため、歯並びの状態や矯正方法によって改善するまでの期間は異なります。歯科矯正にかかる平均的な期間の目安は1〜3年程度です。

口呼吸が気になるなら早めに相談を

笑顔の親子

口呼吸は口まわりの筋力のバランスを崩す要因となり、結果的に歯並びに悪影響を与える原因にもなり得ます。特にあごの発達過程にある子供の場合、口呼吸による歯並びへの影響は大きいと言えるでしょう。

お子様の口呼吸や歯並びが気になる場合は、早めにクリニックを受診して相談するのがベターです。適切な治療を受けられれば、本格的な歯科矯正治療を始める前に、歯並びが改善できることもあります。

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