PBMオルソとは?原理やメリット・デメリット、費用を紹介
矯正をしたいけれど、「期間が長くて嫌だ」「痛みがあると聞くので怖い」といった理由で躊躇している方も多いのではないでしょうか?
そんなハードルを下げてくれるのが今回紹介するPBMオルソです。PBMオルソは、インビザラインと併用することで矯正期間を短縮したり矯正治療中の痛みを軽減する効果があります。
今回は、つじむら歯科医院 の辻村 傑先生監修のもと、PBMオルソとは何か、その原理やメリット・デメリット、費用などを紹介します 。
マウスピース矯正になかなか踏み出せない方は、ぜひ最後までご覧ください。
辻村傑
神奈川歯科大学を卒 業後、1995年につじむら歯科医院を開院。南カリフォルニア大学やUCLAカリフォルニア大学ロサンゼルス校でも学び、南カリフォルニア大学ではアンバサダーなども務める。また、インディアナ大学では客員講師を務めたり、同大学から顎顔面頭蓋部臨床解剖の認定医として認められたりしている。医師業のほかにも歯科衛生士の教育や歯科医師同士の情報交換の場を提供することに力を入れており、日本の歯科界のボトムアップを精力的に行う。
目次
PBMオルソとは、香港を拠点とするPBM Healing社が展開する光加速矯正装置です。その名前からもわかるように、歯に光を照射し矯正スピードを早めます。マウスピース矯正のインビザラインと併用されることが多く、治療期間の短縮だけでなく、矯正治療中の痛 みの軽減も期待できます。
PBMオルソの原理
PBMオルソは、低レベル光である近赤外線光を歯の周辺組織に照射し細胞エネルギーを活性化させます。
歯科矯正は歯の周りにある骨や組織に圧力をかけ、歯を1ヶ月に1ミリ程度動かしていきます。その結果、細胞が圧力をかけられている間は、一時的に細胞本来の働きが弱まってしまうのです。しかし、この細胞に光を照射することで細胞内にあるミトコンドリアが活性化します。ミトコンドリアが活性化すると、歯を移動させて治癒しようとする力が強まり、歯が動く速度が早まります。
ちなみに、PBMはフォトバイオモジュレーションの略で、光によって細胞を活性化させることを表します。歯科分野だけでなく、他の医療分野でも用いられている方法です。
たとえば、フォトバイオモジュレーションにより骨折した箇所の細胞を活性化させることで、治癒速度を高めたりします。
光工学プロセスに基づいた光線療法の一種です。この治療では、光源を皮膚の近くに置くか、皮膚に接触させて光エネルギーを皮膚に浸透させます。その結果、損傷した組織や患部のミトコンドリアに作用し、フォトバイオモジュレーションを引き起こします。このプロセスにより、疼痛の緩和、炎症の制御、免疫調節、組織再生の促進といった有益な治療効果が得られます。
PBMオルソの使用方法
使用方法は写真のようにマウスピース型のPBMオルソを、1日1回上顎4分、下顎4分の計8分装着するだけです。
PBMオルソには、矯正期間の短縮や矯正に伴う痛み、歯槽骨の減弱を軽減させるなどのメリットがあります。それぞれ解説していきます。
矯正期間の短縮
PBMオルソは、マウスピース矯正の治療期間を2分の1程度に短縮できます。
インビザラインは、通常1週間~10日ほどでマウスピースを交換します。1枚のマウスピースで動かせる歯の移動距離は約0.25~0.35mmで、マウスピース交換を1年半〜3年程度続けながら徐々に動かしていきます。
しかし、PBMオルソを併用すると、交換サイクルが最短3日となるのです。その結果、通常の矯正期間の2分の1である9ヶ月~1年半に短縮することができます。
矯正を早く終わらせたい方や、入学式や結婚式など特別なイベントに間に合わせたい方などにおすすめです。
矯正治療の痛み軽減
PBMオルソの光は、低光量の近赤外線です。この赤外線の照射は、炎症を抑制し、痛みを軽減する効果があります。この効果により、インビザライン装着時の歯の移動に伴う痛みを軽減できるのです。またこの光により歯周組織の活性化が行われるため、歯槽骨の減弱を最小限に抑える効果も期待されます。
PBMオルソには、費用が高額である点や継続的な使用が必要などのデメリットがあります。それぞれ解説していきます。
費用が高額
PBMオルソは保険適用外の治療法のため、費用が高額になります。PBMオルソ自体の費用は110,000円程度ですが、これとは別に、併用するインビザラインの費用や定期通院の費用が別途かかります。
継続的な使用が必要
1日8分の短い装着時間ではありますが、毎日装着しなければなりません。継続的な使用を怠ると、効果が出にくくなります。
PBMオルソの実際の症例を紹介します。
今回は、PBMオルソとは何か、メリット・デメリット、症例を紹介しました。
PBMオルソはインビザラインと併用することで矯正期間を短縮できる点が最大のメリットです。ただし、保険適用外の治療法で費用が高額になる点や、毎日継続的な使用ができない場合は効果が出ないなどのデメリットもあるので留意しておきましょう。