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最終更新日:2024年9月9日

歯石は自分で取れるって本当?その方法やリスクについても解説

歯石は自分で取れるって本当?その方法やリスクについても解説

「歯石は自分でも取ることはできるの?」
「歯石を自分で取るにはどうしたらいいの?」

このように、歯石のセルフケアでお悩みはありませんか?

そこで本記事では、歯石を自分で取る方法やその危険性について解説。

「自分で歯石を取りたいけど危なくないのかな?」と疑問を感じている方は、最後までご覧ください。

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歯科矯正ブログ編集チーム

木村真由美

Oh my teethでのマウスピース矯正を経て、2021年6月に株式会社Oh my teethにジョイン。マウスピース矯正経験者としてOh my teethのオウンドメディア「歯科矯正ブログ」にて記事を更新中。ミッションは「歯並びに悩むすべての方に歯科矯正の確かな情報をお届けすること」。

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そもそも歯石とは?

歯石は自分で取れるって本当?その方法やリスクについても解説

まずは、歯石とはどのようなものなのか解説していきます。一緒に知識を深めていきましょう。

歯石は歯垢(しこう・プラーク)が石灰化したもの

もともと柔らかかった歯垢が石灰化で石のようになり、歯の隙間などに蓄積されたものが歯石です。

唾液に含まれるカルシウムやリン酸が歯垢に沈着すると、石灰化を起こして硬くなります。

みがき残しなどで除去されなかった歯垢は、2週間ほどで歯石になるといわれます。歯垢が石灰化してしまうと、通常のデンタルケアでは除去できません。

歯石を予防するためには、歯垢を溜めないこと、そして歯垢が石灰化して硬くなる前に除去することが重要なポイントです。

歯石には2つの種類がある

歯石には種類があり、下記のように大きく2つに分けられます。それぞれ、形成される場所や特徴も異なりますので、確認していきましょう。

歯石の種類
  • 歯肉縁上歯石(しにくえんじょうしせき)

  • 歯肉縁下歯石(しにくえんかしせき)

「歯肉縁上歯石」とは、歯茎のラインに沿って歯の表面に付着している歯石のこと。

色は白やクリーム色など白乳色です。比較的まだ柔らかい状態の歯石なため、早めにケアをすれば歯みがきなどで除去できます。

一方の「歯肉縁下歯石」は、歯周病が進行し歯と歯茎の溝深くに形成される歯石のこと。色は歯肉縁上歯石の白乳色とは大きく異なり、黒褐色をしています。

また、歯肉縁下歯石はすでに硬くなってしまっているため、歯みがきなどのセルフケアでの除去は困難です。

歯石を取らないとどうなるの?【3つの危険性】

歯石は自分で取れるって本当?その方法やリスクについても解説

歯石は虫歯のようにすぐに痛みなどが出ないため、ケアの重要性が低くなりがち。

しかし、歯石を取らずに放置していると、次にあげるようなリスクにつながるため注意が必要です。

歯石の放置で考えられる危険性
  • 虫歯になりやすい

  • 歯周病を引き起こす

  • 口臭の原因になる

虫歯になりやすい

歯石自体が虫歯の原因になることはない、といわれます。しかし、歯石の周りに歯垢が付着すると虫歯のリスクが高くなるため、歯石の放置はおすすめできません。

歯石が付着したままだと歯の表面は凸凹しており、歯石の周りに歯垢がつきやすく細菌の温床となるためです。歯垢1mg中には約1〜2億個の細菌が存在しており、歯垢の別名は「細菌の塊」とも呼ばれているほど。

歯垢がつき虫歯になりやすい環境を作らないようにするためにも、歯石のケアを行いましょう。

歯周病を引き起こす

歯周病とは、細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患のこと。歯石を形成する歯垢の中の細菌により歯茎に炎症が起き、やがては歯を支える骨を溶かしていく疾患です。

また、歯周病は口腔内の炎症で毒性物質が歯肉の血管から全身に入り、重篤な疾患を引き起こすリスクファクターとなります。

【歯周病が原因となって起きる代表的な疾患】
  • 糖尿病

  • 早産・低体重児出産

  • 肥満

  • 心筋梗塞

  • 脳梗塞

  • 誤嚥性肺炎 など

一般的に、歯周病は高齢になればなるほど罹患率が高くなる疾患です。

しかし、厚生労働省の「 令和4年 歯科疾患実態調査結果の概要」によると、20代後半から30代でも歯周病の罹患率は30%を超え、約3人に1人は歯周病に罹患しています。

若年層でも歯周病になるリスクはあるので、歯石のケアをして歯周病予防をしましょう。

口臭の原因になる

歯石を放置すると歯茎の健康状態が悪化し、腫れたり炎症を起こしたりしやすくなり口臭の原因になります。歯茎が炎症を起こすと血液や浸出液が出て、不快な臭いを発生させるためです。

さらに、歯茎の炎症が悪化し歯周病まで進行してしまうと、歯茎からは膿も出はじめるため強烈な口臭となります。

歯周病菌は、強い悪臭を放つメチルメルカプタンを大量に産生します。このメチルメルカプタンは、硫化水素よりも強い悪臭があるといわれるほど。

適切なデンタルケアと歯石除去を行って、口臭予防を心がけましょう。

歯石は自分で取れるの?

歯石は自分で取れるって本当?その方法やリスクについても解説

ソーシャルメディアで「爪で歯石を取った」といった情報を目にして、「歯石は自分でも取れるの?」と疑問に思われている方が多いのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、歯石は自分で取ることはできます。ただし、歯石除去のセルフケアにはリスクがあることを覚えておきましょう。

歯石を自分で取るには「スケーラー」が必要

歯石のセルフケアには、通販サイトや薬局などで販売されている「スケーラー」と呼ばれる器具を使用します。

スケーラーの先端には、釣り針のように曲がった金具がついているのが特徴です。最初は下の歯からはじめて、見えやすい箇所から歯石を除去していきます。

歯石を除去するときは必ず鏡を見ながら行い、金具を歯茎側からあてて上へ動かしながら除去するのがポイントです。

スケーラーを使って歯石を自分で取る手順

次に、スケーラーを使って自分で歯石を取る手順を解説します。

歯石のセルフケアをされる方は、下記の手順を参考に歯石除去を進めていきましょう。

自分で歯石を取る手順
  • 歯を磨くスケーラーをアルコールで消毒する

  • 下の前歯からスケーラーを使って歯石を除去する

  • 水で口をすすぎ、見える範囲で残っている歯石を複数回に分けて除去していく

  • 最後にもう一度、歯を磨く

先ほどもお話しした通り、歯石除去のセルフケアにはリスクがともなうため、おすすめしないという声が多いのも事実です。

次の章では、歯石を自分で取る危険性について解説しますので、確認してみましょう。

自分で歯石を取らないほうがいい3つの理由

歯石は自分で取れるって本当?その方法やリスクについても解説

歯石を自分で取ろうとすると、下記のようなトラブルが起きやすいことから、セルフケアは推奨されていません。

  • 歯や歯茎にダメージを与えてしまう

  • 完璧に歯石を除去できない

  • 歯石ができやすくなってしまう

それぞれの理由を下記にまとめましたので、セルフケアを考えている方は参考にしてください。

自分で歯石を取らないほうがいい理由

詳細

歯や歯茎にダメージを与えてしまう

スケーラーは先端が尖っているため、間違った角度で使用すると歯茎を傷つけてしまう。

完璧に歯石を除去できない

歯肉縁下歯石は硬いうえに歯と歯茎の間の奥深くに蓄積されているため、自分では取りきれない。

歯石ができやすくなってしまう

歯石の取り残しがあると、歯の表面がザラザラしてしまいそこに歯垢が溜まりやすくなる。

歯石の除去はクリニックでするのがおすすめ

歯石は自分で取れるって本当?その方法やリスクについても解説

歯石のセルフケアで起こるリスクを回避するためにも、歯石除去は専門的な知識と高い技術を持つプロにお任せしたほうがいいでしょう。

クリニックでの歯石除去とセルフケアの違い

クリニックでは歯石の付着状態に合わせて器具を使い分けている点が、セルフケアとの大きな違いです。

クリニックで歯石除去する際には、主に次のような器具を使用しています。

歯石除去に使用される器具

概要

ハンドスケーラー

手で動かしながら歯石を除去し、歯間や歯と歯茎の境目など、細部に渡る歯石除去が可能。

超音波スケーラー

25,000〜50,000Hz/秒ほどの周波数の超音波振動を利用して、硬くなったなった歯石を粉砕して除去する。

エルビウムヤグレーザー

超音波スケーラーよりも効率が高いとされ、光エネルギーによる蒸散の効果を利用して歯肉縁下歯石の除去が可能。

研磨用ブラシ

研磨ブラシで歯の表面をきれいに研磨し滑らかにすることで、歯垢や歯石の再沈着を防ぐ。

歯石除去の費用

健康保険が適用されて3割負担の場合は、3,000〜4,000円が費用の相場です(※目安として参考にしてください)。

保険適用で歯石除去をすると数回に分けて通院しなけらばならず、面倒に感じた経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

しかし、歯科医師は歯石除去をした後の経過を診察する必要があるため、複数回の通院が必要なのです。

また、一気に歯石を取ると歯茎が腫れてしまうリスクがあります。そのため、数回に分けて歯石を取らなければならないという保険診療上のルールがあることを理解しておきましょう。

なお、自由診療で歯石除去をする場合は、クリニックによって値段設定が異なりますが、10,000〜20,000円が相場の目安となります。

歯石除去の頻度

クリニックでの歯石除去は、1年間に3〜4回行うのが望ましいとされています。

定期的に歯石除去をして口腔トラブルを未然に防ぐことで、結果として労力も費用も抑えられる、と前向きに捉えましょう。

歯石の沈着を予防する3つの方法

歯ブラシ

日ごろからデンタルケアに気を使っていても、歯石の沈着を100%防ぐことはできません。

それでも、次にあげる3つの予防法を心がけることで歯石をつきにくくすることは可能ですので、実践していきましょう。

歯石の予防法
  • 歯みがき

  • デンタルフロスの使用

  • クリニックでの定期的なクリーニング

歯みがき

丁寧な歯みがきが、もっとも基本的な歯石予防です。歯垢は粘着性がありネバネバしていてうがいをする程度では除去できないため、ブラッシングでの除去がマストです。

ただし、歯垢が硬く石灰化してしまうと、ブラッシングでは落とせません。個人差はあるものの、一般的に歯垢は2〜3日ほどで石灰化がはじまり、2週間ほどで歯石になるといわれます。

歯石予防をするには、歯垢が柔らかいうちにブラッシングで落とし、歯垢から歯石にならないようにすることがポイントです。

デンタルフロスの使用

歯石予備軍である歯垢を落とすためには、歯みがきとデンタルフロスの併用をおすすめします。

通常のブラッシングでは歯間など細かい箇所まではアプローチできず、歯垢や食べかすなどをすべて落とせません。

日本歯周病学会会誌でも、歯みがきだけでは汚れを58%しか取れないところ、デンタルフロスを併用することで1.5倍の86%まで除去率が上がると発表されています。

クリニックでの定期的なクリーニング

歯石のセルフケアはむずかしくリスクもともなうため、定期的にクリニックで歯石除去するのが効率的です。

定期的に通院することで歯石ができてもすぐに除去できるため、歯石がつきにくくなり良好な口腔環境を維持できます。

また、定期的に歯科医師のチェックを受けることで、歯周病が進行するのも防げます。

歯石に関してよく聞かれる質問|FAQ

FAQ

Q1:クリニックで歯石を取るのは痛くないですか?

歯石除去の処置自体は、痛いものではありません。

しかし、付着している歯石の量が多い・歯茎が炎症を起こし腫れている・歯茎が下がっているといった場合は、痛みを感じることもあります。

Q2:歯磨き粉で歯石は取れますか?

歯磨き粉に歯石を取る効果は期待できません。

ただ、フッ素配合の歯磨き粉はエナメル質をコーティングする働きがあり、歯垢がつきにくくなるため、歯石の形成予防につながります。

Q3:リステリンなどのマウスウォッシュは歯石を溶かす効果はありますか?

リステリンなどのマウスウォッシュは、歯周病菌などの殺菌作用は期待できますが、歯石を溶かし除去する効果はありません。

ただし、ジンククロライド(塩化亜鉛)が配合されているマウスウォッシュは、歯垢や歯石の沈着を予防する働きがあります。

歯石はクリニックできれいに除去してもらおう

歯石の除去はスケーラーを使用すれば、自分でできないことはありません。

しかし、セルフケアでは歯茎や歯の表面にダメージを与えてしまい、炎症を起こしたり逆に歯石がつきやすくなったりする危険性があります。

専門的かつ高い技術が求められる歯石除去は、クリニックで除去してもらうのがベストです。歯石の沈着を防ぐためにも定期的に通院して、クリーニングを受けましょう。

なお、よりよい口内環境を保つためには、歯並びを矯正するのも方法の一つです。デンタルケアを入念にしていても歯石がつきやすい場合、歯並びが原因であることも考えられます。

「歯並びから改善して、口腔環境を整えていきたい」という方は、歯科クリニックで診断を受けてみてはいかがでしょうか。

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