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歯科矯正
最終更新日:2024年5月1日

藤田ニコルさんも行ったセラミック矯正が「絶対ダメ」「やばい」と言われる理由とは?

藤田ニコルさんは歯をセラミックで矯正!歯科矯正との違いも解説

「にこるん」こと藤田ニコルさんが、前歯をセラミック矯正したことを公表しました。これを受け、SNS上で歯科医師がセラミックは絶対ダメなどと発信し話題に。本記事では芸能人を中心に人気のセラミック矯正の概要や、歯並びのビフォーアフターを紹介します。

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歯科医師

西尾万樹

東京表参道矯正歯科 院長。北海道医療大学歯学部卒業。2018年歯科医師免許取得。旭川医科大学病院口腔外科にて研修後、矯正歯科勤務。2020年コスメコンシェルジュ取得。

「にこるん」の愛称で知られるタレントの藤田ニコルさんが、自身のSNSで前歯のセラミック治療が完了したことを公表しました。

しかしこの報告に対して、SNS上では歯科医師をはじめ「絶対ダメ」「やばい」など、さまざまな意見が寄せられ、炎上のような状態になりました。

本記事では藤田ニコルさんが行ったセラミック治療がどんなものなのか、SNS上で指摘されたリスクとは何なのかを解説します。

セラミック矯正に興味のある方や、歯科矯正との違いを知りたい方はぜひ参考にしてください。

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藤田ニコルさんがセラミック治療の完了を報告

藤田ニコルさんのセラミック矯正ビフォーアフター

タレントの「にこるん」こと藤田ニコルさんが、自身のSNSアカウントでセラミック治療を行ったことを報告しました。テレビ番組内では実際のビフォーアフター写真も公開され、変化に驚く声もありました。

その一方、SNS上では歯科医師から以下のような反応がありました。

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このほかにも、さまざまな意見が寄せられ、ご本人もラジオ(「藤田ニコルのあしたはにちようび」10月15日放送分)で発言している通り「プチ炎上状態」に。

なぜこのような事態になったのでしょうか。

セラミックは絶対ダメ?やばい?治療報告が議論を巻き起こした理由

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藤田ニコルさんのセラミック治療完了報告が「プチ炎上」したのには、以下のような理由が考えられます。

「セラミック治療は危険だ」という意見

藤田ニコルさんが行ったのは、自分の歯を削ってセラミックの被せ物を被せる治療方法。短期間で歯並びも歯の色も整えられるメリットがあります。

しかし健康な歯を大きく削ったり、場合によっては神経を抜いたりする必要も。この点をリスクとし、「安易にセラミック治療を選択するのはよくない」と指摘する歯科医師がいました。

「矯正ではない」という意見

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後ほど詳しく紹介しますが、セラミック治療は、歯並びを整える目的で行われる場合「セラミック矯正」と呼ぶことがあります。しかし、歯をワイヤーやマウスピースを使って移動させる矯正治療とは異なります。

今回藤田ニコルさんがセラミック治療のことを「セラミック矯正」と呼んだことで「ファンが矯正治療と勘違いする可能性がある」との指摘が寄せられました。

「若い人に広めないで」という意見

藤田ニコルさんが「セラミック治療で歯がきれいになった」と発信することで、若者への影響を懸念する意見も寄せられました。

これは、「若いうちに後々のリスクを考えずに健康な歯を削ってしまう人が増えるのではないか」という指摘です。ニコルさんの若者への影響力がうかがえますね。

19歳のときに前歯をセラミックに

藤田ニコルさん

藤田ニコルさんは 「人志松本の酒のツマミになる話」(フジテレビ 11月4日(金)放送分)で、自身の歯並びについて言及。以前は前歯が出ていて、八重歯もあったことを話し、歯並びが気になりはじめたきっかけとして、CM撮影の際、自分の歯並びをレタッチ(編集ソフトで加工・修正)されたことを挙げました。

その際「歯並びをキレイにしてないと迷惑かけちゃうんだ」と感じ、19歳のときに前歯をセラミックにしたと告白。ただそのときは元々の歯並びを生かし、前歯2本の大きさはそこまで変えなかったのだそう。

しかし撮影などで「微笑んでください」とリクエストされる度、前歯の大きさが気になるようになり、今回前歯2本を短くする治療に踏み切ったのだそうです。

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メリット・デメリット双方を理解することが重要

藤田ニコルさんがセラミック治療を行ったことは、ご本人の選択です。周囲がその選択に対し批判することではないでしょう。

ニコルさん自身もラジオ(「藤田ニコルのあしたはにちようび」10月15日放送分)で「(すでにセラミック治療を)やっちゃった人に対して『セラミックは絶対ダメだ』と言われても・・・」と心境を吐露。自分はまだ耐えられるけど、他の人はそう言われると辛いと思う、とセラミック治療をしている人の心境も慮っていました。

またニコルさんは「(矯正治療で)何年か経って歯がきれいになっても、その時仕事がなかったら何も意味がない」「(デメリットも)覚悟してやりました」と説明。今回の炎上に関して「確かに私も一言(「みんなはちゃんと考えてね」などという言葉が)足りなかったのかもしれない」と振り返りました。

ニコルさんも述べているように、セラミック治療はメリット・デメリットをしっかりと理解した上で選択することが大切です。また、セラミック治療だけでなく、歯科矯正治療にもリスクや副作用があります。こうした医療行為には、何かしらリスクが伴うものです。

あなたももし現在、セラミック治療を検討中なのであれば、セラミック治療についての正しい知識を得る必要があります。

次の項から、セラミック治療の特徴やメリット・デメリットを紹介するので参考にしてくださいね。

芸能人に人気の「セラミック治療」とは?

芸能人に人気の「セラミック治療」とは?

セラミック治療とは、自分の歯を削ってセラミックの被せ物をする治療方法。自分の歯を動かさずに見た目を綺麗にする審美歯科の補綴(ほてつ)治療です。

自分の気になる前歯数本を削り、セラミックの被せ物を被せます。セラミックは透明度が高く、自分の歯と同じように馴染みやすい特徴があります。

今回の藤田ニコルさんのように、歯並びの乱れの改善のためにセラミック治療を行うこともありますが、事故で前歯が欠けた時、見た目を綺麗にする目的で行われることもあります。

歯科矯正治療ではない

セラミック治療は、歯科の業界でいえば審美歯科の補綴治療です。ただし補綴治療を歯並び改善の方法として使っているため、「セラミック矯正」「スピード矯正」と言われることもあります。

むしろ歯科クリニックでも患者がイメージしやすいように、「セラミック矯正」という言葉を使うことは珍しくありません。

セラミック矯正は歯科矯正とどう違う?

セラミック矯正と歯科矯正との違い

歯並びの乱れが気になっている場合、セラミック矯正と歯科矯正とどっちがいいのだろうと悩む人も多いです。

そこでここでは、セラミック矯正と歯科矯正はどう違うのか解説します。

歯科学的に違う

セラミック矯正と歯科矯正は歯科学的に違います。セラミック矯正は被せ物をする補綴治療で、歯科矯正は自分自身の歯を動かす治療です。

以下の日本矯正歯科学会公式ホームページの引用も参考にしてください。

矯正歯科治療って何?

悪い歯ならびや噛み合わせを、きちんと噛み合うようにして、きれいな歯ならびにする歯科治療です。しかし、きれいな歯ならびにするために、歯を削って「差し歯」にすることは、基本的にはありません。矯正装置を通じて、歯やアゴの骨に力をかけてゆっくりと動かして、歯ならびと噛み合わせを治していきます。歯がふぞろいだったり、上下のアゴの歯ならびがお互いにちゃんと噛み合わない状態を、専門的には「不正咬合」といいます。

出典元:日本矯正歯科学会

治療の目的が違う

セラミック矯正の目的は、自分の理想の歯の形や色、並び方にすることです。噛み合わせの治療を目的として行われません。

歯科矯正治療の目的は歯並びの美しさ(審美性)だけでなく、噛み合わせの調節なども含まれます。噛み合わせが原因で顎関節症や頭痛、肩こりなどの症状が起こっている場合、矯正治療をして噛み合わせを調整することもあります。

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セラミック矯正のメリット・デメリット

セラミック矯正のメリット・デメリット

セラミック矯正はメリット・デメリットを十分理解した上で選択することが大切です。

メリット

セラミック矯正のメリットは以下の通りです。

  • 治療が短期間で終わる

  • 歯の形、色、大きさが自分の思い通りになる

  • 後戻りの心配がない

治療が短期間で終わる点は、歯科矯正とは異なる大きなメリットと言えます。歯科矯正治療は部分矯正でも2ヶ月〜1年程度かかりますが、セラミック矯正は2ヶ月半程度で治療が完了します。

また、セラミック矯正は歯並びを美しく見せられるだけでなく、同時に理想の色や大きさにも整えられます。そのため、人前に立つことが多い芸能人の歯並びや歯の色の改善方法として人気です。

さらに、矯正治療後のリスクである後戻り(再び歯が動いてしまう)も、セラミック矯正では起こりません。

デメリット

セラミック矯正はメリットがある一方で、以下のようなデメリットもあります。

  • 健康な歯を削る

  • 場合によっては神経を抜かなければならない

  • 天然歯に比べて歯と歯茎との境目に歯垢が溜まりやすい

  • メンテナンスが必要

  • 欠けることがある

セラミック矯正は、天然の歯を削り、それを土台にしてセラミックの被せ物を被せます。歯並びの乱れによっては神経を抜いて削る必要があり、歯の寿命が短くなることにつながります。

またセラミックの歯は天然歯と比べると歯と歯茎の境目に歯垢が溜まりやすく、結果的に虫歯や歯周病リスクが高まります。神経を抜いた歯は痛みを感じないため、虫歯になっていることに気づけないリスクも。

セラミックの被せ物は半永久的にもつものではなく、メンテナンスが必要です。硬いものを食べると欠けることもあるので、注意しましょう。

セラミック矯正の詳しい内容は、下記の記事もあわせて参考にしてください。

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セラミック矯正を選ぶ前に知っておきたいこと

セラミック矯正を選ぶ前に知っておきたいこと

セラミック矯正は、簡単に「綺麗な歯を手に入れられる」「芸能人のような白い歯になりたい」という理由で注目されやすいです。ホワイトニングや矯正と同じような感覚でセラミック矯正を行う人もいます。

ここではセラミック矯正を選択する前に知っておきたいことを紹介します。

保険適用ではない

そもそも保険適応になる治療は、病気や問題の解決のための治療です。セラミック矯正は見た目を改善するための審美歯科なので、保険適応ではありません。

そのため保険は効かず、全額自己負担になります。

素材・歯科医院によって値段が変わる

セラミック矯正は1本4万〜7万円が相場です。ただし「セラミック矯正」と一言に言っても材料には種類があり、それぞれで相場は異なります。

たとえばセレッククラウン、セラミッククラウン、オールセラミッククラウン、ラミネートベニア、セラミックインレーなどがあります。

また、前述したようにセラミック矯正は保険適用外のため、歯科医院によっても料金設定が異なります。さらに被せ物の値段だけでなく、歯を削ったり、診療をしたりする値段のことも考慮に入れる必要があります。

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一度削った歯は元に戻らない

歯科治療道具

一度削った歯は元に戻りません。歯を削れば削るほど、寿命は短くなります。

口腔内を健康に保ちたいのであれば、削らないことに越したことはありません。またセラミック矯正で被せ物を入れたことで、噛み合わせが変わる可能性もあります。

このようなリスクも踏まえた上で、セラミック矯正を受けるか検討する必要があるでしょう。

部分矯正という選択肢もある

歯科矯正治療は長くかかることから、セラミック治療を選択する人もいます。ただしセラミック治療は歯を大きく削る場合があります。それが怖いのであれば、歯科矯正治療の部分矯正も検討してみてください。

部分矯正とは歯科矯正治療の中でも、前歯のみなど、気になる部分だけ動かす矯正方法です。適応できる歯並びは限定されますが、気になる部分だけ短期間で治療することも可能です(2ヶ月程度〜が目安)。

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セラミック矯正と歯科矯正で迷ったら

あなたはどっち

自分の歯並びは歯科矯正治療をした方がいいのか、セラミック矯正でも治るのか、自己判断はできません。まずは歯科医院に相談に行くことが大切です。

ただし今回の藤田ニコルさんの件のように、クリニックによっては「セラミック矯正は絶対危険だ」と言われることもあります。そのため一軒だけでなくいくつかのクリニックに相談することをおすすめします。

セラミック矯正に対応しているクリニックとそうでないクリニック、いずれにも相談に行き、メリット・デメリットを踏まえて検討できるとベストでしょう。

歯並びの状態によっては、セラミック矯正が向かない場合もあります。歯科矯正治療とセラミック矯正双方を十分理解し、納得のいく治療を選択してくださいね。

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