開咬になる原因は?放置してはいけない7つの理由
「麺類を食べるとき、前歯で噛み切れない」
「前歯が閉じられないから笑顔が不自然」
前歯が噛み合わない症状である「開咬」に悩む人は、少なくありません。
食べ物が上手く噛み切れなくて食事が楽しめなかったり、笑うときや話すときに口元が気になったり、コンプレックスを感じてしまいますよね。
そこで本記事では、開咬で悩まれている方に向けて、開咬の原因から放置してはいけない理由をまとめて解説していきます。
前歯の噛み合わせを治してコンプレックスを克服したい方は、治療方法も説明していますので、ぜひ参考にしてください。
木村真由美
Oh my teethでのマウスピース矯正を経て、2021年6月に株式会社Oh my teethにジョイン。マウスピース矯正経験者としてOh my teethのオウンドメディア「歯科矯正ブログ」にて記事を更新中。ミッションは「歯並びに悩むすべての方に歯科矯正の確かな情報をお届けすること」。
目次
- 開咬(かいこう)とは?
- 開咬の原因
- 幼少期の指しゃぶり
- 骨格の遺伝
- 舌癖(ぜつへき)
- 口呼吸
- 親知らず
- 顎関節症
- 関節リウマチ
- 開咬を治療すべき7つの理由【放置するリスク】
- 奥歯に負担がかかる
- 咀嚼障害・嚥下障害につながる
- 滑舌が悪くなる
- 顎関節症が発症・悪化する
- 虫歯・歯周病・口臭につながる
- 免疫力が低下する
- コンプレックスが生まれる
- 開咬の治療方法と費用【歯科矯正・外科手術】
- ワイヤー矯正|全体矯正
- マウスピース矯正|全体矯正
- 外科的矯正|外科手術+歯科矯正
- 子どもの開咬の治療方法
- 開咬を治療したあとに注意すべき点
- 後戻りを防ぐリテーナーを装着する
- 舌癖を治す
- 舌のトレーニングをする
- 開咬の治療は保険適用になる?
- 保険適用になるケース
- 保険 適用にならないケース
- 開咬についてよくある質問|Q&A
- Q1:奥歯を削れば開咬は治りますか?
- Q2:歯並びは悪くないので開咬の治療はしなくても大丈夫ですか?
- 開咬を改善するためにまずはクリニックに相談しよう
開咬とは、奥歯で噛んでも前歯の上下にすきまが空いている状態のことです。
不正咬合の一種で「オープンバイト」とも呼ばれます。(※不正咬合:歯並びや噛み合わせ良くない状態の総称)
公益社団法人日本矯正歯科学会の矯正歯科治療の診療ガイドラインによると、開咬の発現頻度は5.37%とされています。およそ20人に1人の割合で開咬が生じる計算です。
開咬の人は前歯が噛み合わないため、食べ物を上手く噛み切れません。そうなれば結果として、胃腸に負担がかかり健康にも悪影響を与えてしまいます。
開咬はさまざまなリスクをはらむため、早期治療が重要です。
「奥歯は噛んでいるのに前歯が噛み合わない」「前歯で食べ物を噛み切れない」といった症状が出たら、 まずは歯科クリニックを受診しましょう。
マウスピース矯正Oh my teethでは、開咬について歯科医師に直接相談できます。
相談や検査代は一切不要ですので、「矯正するとは決めていない」段階の方も、ぜひお話をお聞かせください。
開咬の原因は多様で、先天的要因や後天的要因など複数の原因が考えられます。ここでは代表的な原因を7つ紹介しますので、一つずつ見ていきましょう。
幼少期の指しゃぶり
骨格の遺伝
舌癖
口呼吸
親知らず
顎関節症
関節リウマチ
幼少期の指しゃぶり
幼少期における指しゃぶりは、開咬の代表的な原因の一つです。
指しゃぶりをしながら指で前歯を押し続けた結果、歯並びが悪くなり開咬を引き起こします。
しかし、指しゃぶりによる開咬は指しゃぶりの習慣をやめさせることで、自然に改善されていくこともあります。
4~5歳を過ぎても指しゃぶりをしていて歯並びに影響が出ているときは、早めに歯科医師に相談しましょう。
骨格の遺伝
あごの骨の形に異常があると、開咬を引き起こすことがあります。
もし両親や兄弟に開咬の人がいる場合、骨格の遺伝が原因の可能性が高いです。
反対に血縁関係者の中に開咬の人がいない場合には、開咬の原因は後天的な理由が考えられます。
あごの骨の成長とともに少しずつ症状が出るため、大人になってから開咬の症状が出る人も少なくありません。
舌癖(ぜつへき)
舌の癖は、開咬を引き起こす後天的要因の一つです。
たとえば、舌を前歯に押し付けたり前歯の間に舌を挟んだりする癖が原因で、開咬になることがあります。
開咬の症状を悪化させないためにも、正しい舌の位置を意識することが大切です。
口呼吸
口呼吸が習慣化すると唇や口腔内、口周りの筋肉のバランスが崩れ、開咬の原因となります。
しかし、慢性鼻炎や副鼻腔炎などが原因で鼻がつまり、鼻呼吸ができないケースも考えられます。
そういった場合には、開咬の治療と並行して耳鼻咽喉科での治療も必要です。
親知らず
開咬の原因には、親知らずも関係しています。親知らずが生えてきた結果、奥歯の噛み合わせの高さが上がり、あごの位置が変わってしまうことがあるからです。
また、親知らずが斜めや横向きで生えてきて歯並びを圧迫する場合も、開咬の原因になりえます。
親知らずが歯並びに影響を与えているときは、抜歯する必要性があるかドクターに相談してみましょう。
顎関節症
顎関節症になりあごの関節機能が低下してしまうと、上下の前歯を正常に噛み合わせるのが困難になることがあります。
特に10代後半から20代の女性に多い症例で、大人になってから開咬を発症する代表的なケースです。
また開咬と顎関節症は、互いに影響を与え合う関係だといわれます。
理由は、顎関節症が開咬の原因になるだけでなく、その反対に開咬が顎関節症を発症させたり悪化させたりすることもあるためです。
関節リウマチ
関節リウマチも開咬を引き起こす原因の一つです。
あごの関節にリウマチが発症すると、痛みとともに下顎頭(下あごの骨の一部)が変形します。
そして、下顎頭が変形した結果、噛み合わせに影響が出て開咬を引き起こすことがあります。
関節リウマチの持病がある方は主治医とよく相談したうえで、開咬の治療を進めていきましょう。
開咬は治療せずに放置すると、下記のような健康被害やトラブルを引き起こします。
なぜ開咬は治療すべきといわれるのか、一緒に確認していきましょう。
奥歯に負担がかかる
咀嚼障害・嚥下障害につながる
滑舌が悪くなる
顎関節症の併発・悪化する
虫歯・歯周病・口臭につながる
免疫力が低下する
コンプレックスが生まれる
奥歯に負担がかかる
開咬によって奥歯だけでしか噛めない状態が続くと、奥歯に過度な負担がかかります。
その結果、歯が破損しやすくなり最悪の場合、抜歯をしなくてはいけないケースもあります。
奥歯を失ってしまうと咀嚼機能や消化機能の低下を招き、健康寿命を縮める恐れもあります。
咀嚼障害・嚥下障害につながる
噛み合わせが悪く奥歯だけでしか食べ物を噛み砕けないため、咀嚼障害につながります。
実際、「ラーメンを食べるときは、前歯の裏に麺を押し当てて舌で切って食べている」という開咬の人は少なくありません。
また、食べ物を細かく咀嚼できないため、嚥下障害(飲み込みにくい状態)を起こす原因にもなります。
嚥下障害は食べ物が誤って気管に入ってしまい、誤嚥性肺炎などの重篤な病気を招く危険性があるため注意が必要です。
このように開咬で噛み合わせが悪いままだと、咀嚼障害から嚥下障害へと負の連鎖が起きてしまうことも考えられます。
滑舌が悪くなる
開咬は前歯が噛み合わず、そのすきまから空気が抜けてしまうため滑舌が悪くなります。
具体的には、舌っ足らずな話し方になったり、サ行やタ行の発音が不明瞭になったりして、コミュニケーションに支障をきたす可能性もゼロではありません。
特に子どもの場合は発音器官の発達が未熟なため、早期治療することが重要です。
顎関節症が発症・悪化する
開咬になることで、顎関節症を発症したり悪化させたりすることがあります。
奥歯だけを使い続けると必然的に顎関節に負担がかかり、咀嚼筋が緊張を強いられるためです。
顎関節症は顎の痛みや開口障害などの不快感な症状を引き起こし、日常生活に支障をきたします。
虫歯・歯周病・口臭につながる
開咬は口が閉じにくく口呼吸になりやすいため、虫歯・歯周病・口臭のリスクが高くなります。
口の中が乾燥することで唾液量が減りその結果、唾液の自浄作用や抗菌作用が低下してしまうためです。
歯磨きの際に口腔洗浄液(マウスウォッシュ)やフロスを使うなどして、口腔環境を清潔に保ちましょう。
免疫力が低下する
開咬で口呼吸になると、免疫力低下につながるともいわれます。
口呼吸によって喉の粘膜が乾燥し、細菌やウイルスの侵入・増殖が促進されるのが理由です。
免疫力が低下すると風邪や感染症にかかりやすく、日常生活に影響が出てしまいます。
コンプレックスが生まれる
開咬は「出っ歯」や「口ゴボ」など、見た目の問題を引き起こすこともあります。
コンプレックスを感じると笑うときも口元が気になって手で隠したり、人前で話すことに抵抗を感じたり、精神的な負担になってしまいます。
そのような状態は精神衛生上よくないため、もし気になるのであれば歯科医院に相談して治療を検討しましょう。
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一般的に、開咬は歯科矯正で治療します。
開咬の治療の場合、歯を全体的に動かす必要があるため、部分矯正よりも全体矯正で治療するケースが多いです。そのため、ここでは全体矯正を前提として解説します。
治療方法の費用と治療期間を表にまとめましたので、目安として参考にしてください。(※治療期間に保定期間は含まれません)
矯正方法(全体矯正) | 費用 | 治療期間 |
---|---|---|
表側矯正 | 60〜130万円 | 1〜3年程度 |
裏側矯正 | 100〜170万円 | 2〜3年程度 |
ハーフリンガル矯正 | 80〜150万円 | 2〜3年程度 |
マウスピース矯正 | 60〜100万円 | 1〜3年程度 |
開咬の治療方法についてそれぞれ解説していきますので、一緒に確認していきましょう。
ワイヤー矯正|全体矯正
ワイヤー矯正には「表側矯正」「裏側矯正」「ハーフリンガル矯正」があり、それぞれ費用や治療期間が異なります。
また、開咬の治療で奥歯を圧下(歯を歯茎方向に押し込む動き)させたい場合には、アンカースクリューを用いることもあります。
アンカースクリューとは医療用ネジのことで、チタン製の小さなネジを歯茎の上から骨に埋め込んで歯を効率的に動かす装置です。
アンカースクリューはオプション的な治療のため、保険は適用されません。クリニックによって値段は異なりますが、アンカースクリュー1本あたりの相場は2〜3万円です。
アンカースクリューに関しては、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
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アンカースクリューを使った矯正の値段は?保険適用や医療費控除対象になるケースも解説
こ こからはワイヤー矯正の3種類について、それぞれ特徴を解説していきます。
表側矯正
ブラケットと呼ばれる矯正装置を歯の表面に装着する、一般的に知られたメジャーな矯正方法です。
また、表側矯正はワイヤー矯正の中では一番安価な矯正方法です。
そのため矯正装置が多少目立っても、費用を抑えて治療したい人におすすめです。
裏側矯正
裏側矯正は歯の裏側にブラケットを装着する矯正方法で、目立ちにくいのが魅力です。
しかし、歯の裏側は複雑で一人ひとり凹凸が異なることから、ブラケットをオーダーメイドで作製するため値段が高くなります。
また、治療に高い技術と手間がかかることも、値段が高くなる理由です。
費用が高くなっても目立ちにくい矯正治療をしたい、と希望する人に向いています。
ハーフリンガル矯正
上の歯だけ裏側矯正にして下の歯は表側矯正なのが、ハーフリンガル矯正です。
費用がかかる裏側矯正を上の歯だけにすることで、費用が抑えられています。
「裏側矯正にしたいけど予算的に高すぎる...」という人におすすめの矯正方法といえるでしょう。
マウスピース矯正|全体矯正
インビザラインを始めとするマウスピース矯正は、開咬の治療に向いているといわれます。
なぜならマウスピース矯正は、奥歯が圧下(歯全体を根の方に向かって沈めるように動かすこと)しやすい特徴を持っているからです。
ワイヤー矯正と比較すると費用も抑えられるのがメリットです。
マウスピースは透明で目立ちにくいため、気づかれずに歯科矯正したい人に向いています。ただし、マウスピース矯正の場合、1日20時間以上のマウスピース装着が必須です。
マウスピース矯正を選択する場合は、自己管理がとても重要であることを理解しておきましょう。
マウスピース矯正の Oh my teethは、マウスピースの交換時期や装着時間をLINEでお知らせ。
専属医療チームが、24時間あなたの矯正治療をサポートしますので、自己管理が苦手でマウスピース矯正を迷っている方も、ぜひ一度無料診断へお越しください。
歯列矯正の平均費用まとめ!種類別の平均相場や支払い金額の抑え方も分かりやすく解説
外科的矯正|外科手術+歯科矯正
歯科矯正だけでは開咬を改善できない症例の場合は、外科手術と歯科矯正を併用した治療方法が考えられます。
たとえば骨格性の問題が大きく、上下のあごの骨が極端にずれているなどのケースです。
外科手術ではあごの骨を切って、前歯が噛み合う位置で骨を固定する処置が施されます。
ただし全身麻酔で手術を行い1〜4週間ほどの入院が必要になるなど、大掛かりな治療になるのは避けられません。
手術前後の歯科矯正期間も含めると、トータルの治療期間は2〜3年になります。(※保定期間は含まれません)
治療にかかる費用は矯正のみの治療よりも高額になりますが、「顎変形症」と診断された場合は保険が適用され三割負担になることがあります。
保険適用になるケースはあとのセクションで詳しく解説しますので、そちらをご覧ください。