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最終更新日:2025年6月26日

過蓋咬合(ディープバイト)を矯正で治すと顔が変わる?治療法や放置するリスクについて詳しく解説

過蓋咬合 矯正 カバー画像

「過蓋咬合(ディープバイト)を治すと、しゃくれたり顔が伸びたりするのでは?」。こんな不安から、治療に踏み切れない方も多いのではないでしょうか。

過蓋咬合は、噛み合わせが深くなりすぎている状態を指し、放置すれば見た目だけでなく、歯や顎、将来的な噛み合わせにも大きな影響を及ぼします。

本記事では、過蓋咬合の原因や放置によるリスク、治療法などをわかりやすく解説します。子どもの過蓋咬合への対応や、自宅でできるチェック方法についても紹介しているので、「自分や子どもが過蓋咬合かもしれない」と気になっている方は、ぜひ参考にしてください。

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歯科矯正ブログ編集チーム

木村真由美

Oh my teethでのマウスピース矯正を経て、2021年6月に株式会社Oh my teethにジョイン。マウスピース矯正経験者としてOh my teethのオウンドメディア「歯科矯正ブログ」にて記事を更新中。ミッションは「歯並びに悩むすべての方に歯科矯正の確かな情報をお届けすること」。

過蓋咬合を治すとしゃくれる?顔が変わるのは本当?

過蓋咬合を治療しても、必ずしも「しゃくれる」ような顔つきになるわけではありません。

過蓋咬合(ディープバイト)とは、上下の歯を噛み合わせたときに、上の前歯が下の前歯を覆い隠すように深く噛み合っている状態のことをいいます。

この噛み合わせの深さを矯正によって改善すると、それまで引っ込んでいた下あごの位置が正常な場所に戻るため、人によっては「以前よりあごが出て見える」と感じるケースがあります。

しかし実際には、あごが極端に突出するような変化が起きることはほとんどありません。

むしろ、矯正によって下あごの位置が適切に矯正されることで、Eライン(鼻先・唇・あご先を結ぶライン)が整い、顔全体のバランスが良く見えるようになる場合も多くあります。

過蓋咬合になる原因は?

過蓋咬合とは?原因と放置するリスク

過蓋咬合は、先天的な要素と後天的な生活習慣のどちらによっても起こる可能性があります。

ここからは、過蓋咬合を引き起こす代表的な2つの要因、「先天的な要因」と「後天的な要因」について詳しく解説していきます。

先天的な要因(生まれつきの噛み合わせなど)

過蓋咬合は、骨格や歯の成長に関わる先天的な要因によって引き起こされることがあります。

とくに以下のような特徴が見られる場合、過蓋咬合のリスクが高まります。

  • 下あごに対して上あごが大きい

  • 上下のあごの骨の大きさがアンバランス

  • 上あごと下あごの成長に差がある

  • 遺伝的にあごの骨や位置に問題がある

  • 前歯が過剰に伸びている

  • 奥歯の成長が足りず、十分に噛み合っていない

  • 歯の位置や傾きが大きく乱れている

このような先天的な要因は、顎の骨格や歯列のバランスの乱れをもたらし、噛み合わせ全体に影響を及ぼします。

とくに成長期の段階で骨格の発達が偏ると、噛み合わせが深くなる傾向が強くなります。

後天的な要因(日常的な歯ぎしりといった癖など)

過蓋咬合は、生まれつきの骨格だけでなく、日常生活での癖や口内環境の変化によって後天的に引き起こされることもあります。

とくに次のような習慣や状況は、噛み合わせを徐々に深くする原因となります。

  • 歯を強く噛みしめるクセ(歯ぎしりや食いしばり)

  • 下唇を噛んだり吸ったりするクセ

  • 口呼吸が習慣になっている

  • 虫歯治療で奥歯を抜いたまま放置している

  • 奥歯の欠損を補わずに長期間放置している

このような生活習慣の積み重ねは、気づかないうちにあごや歯列に負担をかけ、少しずつ噛み合わせのバランスを崩していきます。

過蓋咬合を放置する5つのリスク

リスク

過蓋咬合は、見た目に大きな問題がない場合でも、放置すると口腔内や顎の健康にさまざまな悪影響を及ぼすおそれがあります。

以下では、とくに注意すべきリスクについて詳しく解説していきます。

①歯が摩耗する

過蓋咬合を放置すると、上下の前歯が常に強く接触している状態が続き、歯の表面がすり減ってしまうリスクがあります。

通常の噛み合わせでは、上下の前歯は軽く触れる程度に留まりますが、過蓋咬合では噛み込む力が過剰にかかり、食事や会話といった日常動作の中でも歯同士が擦れ合ってしまいます。

この状態が長期間続くと、歯のエナメル質が徐々に摩耗し、歯が短くなったり、知覚過敏を引き起こしたりする原因になるのです。

②噛み合わせが悪化する

過蓋咬合を放置していると、噛み合わせのバランスがさらに崩れ、症状が悪化していくおそれがあります。

噛み合わせが深い状態では、上下の歯が正常にかみ合わず、一部の歯に負担が集中しやすくなります。

その結果、歯が傾いたり、位置がずれたりして、噛み合わせのずれが徐々に広がっていくのです。

また、歯のすり減りや歯周組織への過剰な力が加わることで、周囲の歯やあごの骨にも影響を及ぼしやすくなります。

③顎関節症のリスクが高まる

過蓋咬合を放置していると、あごの関節に大きな負担がかかり、顎関節症を引き起こすリスクが高まります。

過蓋咬合では、上下の歯が深く噛み合いすぎているため、あごを開閉する動作のたびに関節や周囲の筋肉に無理な力がかかります。

これにより、関節の動きが制限されたり、あごの開閉時に音が鳴ったり、痛みを伴ったりするようになる場合があります。これが顎関節症と呼ばれる状態です。

顎関節症は進行すると、口が開けづらくなったり、食事や会話に支障をきたしたりと、日常生活の質を大きく損なう原因になります。

④歯ぐきの炎症や前歯の虫歯になりやすくなる

過蓋咬合を放置すると、前歯に過度な圧力がかかりやすくなり、歯ぐきの炎症や虫歯のリスクが高まります。

噛み合わせが深いと、下の前歯が上の前歯の根元にある歯ぐきを圧迫するような形になり、物を噛むたびに刺激が加わります。

これにより、歯ぐきが傷ついて炎症を起こしやすくなり、口内炎の原因となることもあります。

また、上の前歯だけが外気に触れやすい状態になることで、唾液による自浄作用が十分に働かず、歯の表面が乾燥しがちになります。

その結果、唾液による虫歯や歯周病の予防効果が弱まり、前歯にトラブルが生じやすくなります。

⑤食べ物が噛みにくくなる

過蓋咬合を放置していると、噛み合わせのバランスが崩れることで、食べ物をしっかりと噛めなくなる可能性があります。

通常の噛み合わせでは、上下の前歯が適度に接触しており、食べ物を噛み切る、すりつぶすといった基本的な動作がスムーズに行えます。

しかし過蓋咬合では、噛み合わせ全体のバランスが崩れることで、奥歯同士が正しくかみ合わなくなり、食べ物をすりつぶす力が弱まってしまいます。

これにより、胃腸に負担がかかる、食事に時間がかかるといった問題も起こりやすくなるのです。

過蓋咬合は自力では治せない!矯正治療で対応しよう

過蓋咬合を根本から改善するには、矯正治療が必要です。

過蓋咬合は、歯の位置や骨格の成長に関わる問題であり、自然に治ることは基本ありません。

とくに、噛み合わせの深さが目立つケースでは、成長とともにさらに悪化する可能性もあります。

矯正治療を受けることで、噛み合わせの機能を正しく整えるだけでなく、見た目のバランスが改善されるケースも多く見られます。

気になる症状がある方は、早めに専門の矯正歯科で相談してみましょう。

過蓋咬合の矯正治療2パターン

過蓋咬合の治療には、主に「マウスピース矯正」と「ワイヤー矯正」の2つの方法があります。

ここからは、それぞれの治療法について詳しく見ていきましょう。

①マウスピース矯正

過蓋咬合の中でも軽度〜中等度のケースであれば、マウスピース矯正によって噛み合わせの深さを改善することが可能です。

治療は段階的に進み、計画に基づいて複数のマウスピースを使い分けながら歯を動かしていきます。

また、装置を取り外して食事や歯磨きができるため、口腔内を清潔に保ちやすく、虫歯や歯周病のリスクを抑えられる点も大きなメリットです。

ただし、適切な装着時間(1日20時間以上)が守れない場合は、治療効果が得られにくくなるため注意が必要です。

②ワイヤー矯正

ワイヤー矯正は、歯の表面にブラケットという装置を取り付け、そこにワイヤーを通して歯を少しずつ動かしていく矯正方法です。

歯の移動を精密にコントロールできるため、軽度から重度まで幅広い過蓋咬合の症例に対応できます。

また、上下の歯の噛み合わせやあごのバランスに合わせて細かな調整が可能なため、過蓋咬合における噛み込みの深さも適切に修正できます。

ただし、装置が目立ちやすく、装着中の違和感や食事・歯磨きのしにくさがある点は、マウスピース矯正に比べてデメリットといえるで注意が必要です。

過蓋咬合についてよくある質問(Q&A)

過蓋咬合に関するお悩みや疑問は、人によってさまざまです。

ここでは、過蓋咬合に関してとくによく寄せられる質問をピックアップし、ひとつひとつ分かりやすく解説していきます。

過蓋咬合の矯正治療は保険適用になりますか?

基本的に、過蓋咬合の矯正治療は自由診療(保険適用外)となります。

歯列矯正は、見た目の改善を目的とした治療とみなされることが多く、健康保険の対象には含まれません。

過蓋咬合も例外ではなく、たとえ噛み合わせに問題があっても、「外科的処置を伴わない矯正治療」の場合は保険が適用されないのが一般的です。

ただし、以下のようなごく限られた条件を満たす場合に限って、保険が適用されるケースもあります。

①「厚生労働大臣が定める疾患」に起因した咬合異常に対する矯正歯科治療

②前歯3歯以上の永久歯萌出不全に起因した咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするものに限る)に対する矯正歯科治療

③顎変形症(顎離断などの手術を必要とするものに限る)の手術前・手術後の矯正歯科治療

出典元: 公益社団法人 日本矯正歯科学会

これらの条件に当てはまるかどうかは個人では判断が難しいため、専門の矯正歯科や口腔外科での診断を受けることが必要です。

なお、自由診療の場合でも医療費控除の対象となることがあるため、費用面が気になる方はその点もあわせて確認しておくと安心です。

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過蓋咬合の矯正費用と治療期間はどれくらいですか?

過蓋咬合の矯正治療にかかる費用と期間は、使用する矯正装置や症状の重さによって異なります。

費用の目安は以下の通りです。

  • マウスピース矯正(軽度~中等度):約60万〜100万円

  • ワイヤー矯正(中等度~重度):約80万〜150万円

  • 外科手術を伴う矯正:100万円以上(入院費など別途)

治療期間は、マウスピース矯正で1〜3年程度2〜4年かかることもあります。

また、症例によっては、部分矯正では対応できず、全体矯正が必要になるケースもあります。その分、費用も期間も増加する傾向にあるため、事前の診断が重要です。

過蓋咬合は「かわいい」と言われるので治さなくても良いですか?

過蓋咬合は下顔面が小さく見えることで小顔で幼い顔立ちになり、人によっては「かわいい」と感じる人もいます。

そのため、外見を気にして矯正をためらう方も少なくないでしょう。

しかし、過蓋咬合は見た目の問題だけでなく、歯の摩耗や虫歯、歯ぐきの炎症、顎関節への負担など、口腔内の健康を損なうリスクが高い噛み合わせの異常です。

放置することで将来的に症状が悪化する可能性があるため、たとえ見た目に愛着がある場合でも、健康面を考慮して総合的に治療を検討することが大切です。

過蓋咬合を予防することはできますか?

過蓋咬合は、生まれつきの骨格や歯の位置によって起こるケースが多いため、 完全に予防するのは難しいとされています。

しかし、後天的な要因による悪化を防ぐための習慣改善や早期対策は可能です。

とくに次のような点に注意することで、過蓋咬合の進行リスクを減らすことができます。

  • 歯ぎしり・食いしばりを避ける

  • 下唇を噛む・吸う癖をやめる

  • 口呼吸ではなく鼻呼吸を意識する

  • 早期の虫歯治療・奥歯の管理を徹底する

これらの点を意識することで、過蓋咬合のリスクを抑えることができます。

とくにお子さまの場合は、早い段階からの習慣づけが予防につながるため、注意深く見守ることが大切です。

子供の噛み合わせが深い気がするのですが、見分け方はありますか?

お子さまの噛み合わせが正常かどうかを家庭で見分けるのは難しい面もありますが、いくつかのセルフチェックポイントを確認することで、過蓋咬合の可能性を把握する手がかりになります。

では、鏡を見て歯をチェックしてみましょう。

上下の奥歯を「イー」と軽く噛みしめた状態で、上下の前歯を確認してみてください。そのとき、下の前歯が半分以上見えていれば、過蓋咬合ではありません。

対して、下の前歯がまったく見えない場合は、過蓋咬合の可能性があります。

また、以下のような状態が見られる場合も注意が必要です。

  • 下の前歯が上の前歯に覆われてまったく見えない

  • 下の前歯の先が上の前歯の根元に当たっている

子供の噛み合わせは成長とともに変化していくため、「様子を見よう」と考えがちですが、過蓋咬合は時間の経過とともに深刻化する傾向があります。

そのため、少しでも気になる症状がある場合は、早めに矯正歯科で相談することをおすすめします。

子供の過蓋咬合の矯正は何歳から始めた方が良いですか?

過蓋咬合の矯正治療は、できるだけ早い段階で始めるのが理想的です。

とくに、3〜5歳前後のタイミングで治療を開始できると、将来的な口腔トラブルの多くを未然に防ぐことができるでしょう。

噛み合わせが深い状態は、歯や歯ぐき、顎関節に過剰な負担をかけるため、放置して良いことは何一つありません。そのため、小児期にしっかりと対応することが大切です。

Oh my teethは矯正前の診断が無料!気になるところを気軽に相談

過蓋咬合は、歯の摩耗や虫歯、顎関節症などのトラブルにつながるおそれがあるため、早めの対処が重要です。

とはいえ、「治療が必要かどうかも分からない」「まずは話を聞いてみたい」と感じている方も多いのではないでしょうか。

そんな方におすすめなのが、マウスピース矯正 Oh my teeth(オーマイティース)です。

Oh my teethでは、矯正治療前の相談が無料で受けられるので、ご自身の歯並びが治療の対象となるかどうかを気軽に確かめられます。

まずは専門家に相談してみることが、過蓋咬合の不安を解消する第一歩です。気になる方は、Oh my teethの無料相談をぜひ活用してみてください。

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