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歯科矯正
最終更新日:2024年4月20日

部分矯正で前歯の重なりは治せる?可能な症例や費用相場を解説

部分矯正で前歯の重なりは治せる?可能な症例や費用相場を解説

部分矯正で前歯の重なりがなおせるかどうかは、歯並びの状態によって異なります。本記事では部分矯正で前歯の重なりをなおせるケースとなおせないケース、治療が可能な場合の矯正方法や費用相場、矯正に必要な期間と通院頻度の目安を解説します。

山地晃二先生
歯科医師

山地 晃二

2013年、福岡歯科大学を卒業九州歯科大学矯正学講座にて博士課程修了し、歯学博士を取得する。2021年よりヤマヂ歯科・矯正歯科クリニックの院長を務める。著書に『全顎矯正と部分矯正へのアプローチ』がある。

部分矯正で前歯の重なりをなおしたいと考えているものの、自身の歯並びが適応されるかわからず、悩んではいませんか。

部分矯正で前歯の重なりをなおす場合は、奥歯を動かさず、前歯に隙間を使って重なった歯を並べなくてはなりません。そのため、部分矯正で前歯の重なりがなおせるかどうかは、歯並びの状態によって異なります。

本記事では、ヤマヂ歯科・矯正歯科クリニック の山地晃二郎先生監修のもと、部分矯正で前歯の重なりがなおせるケースとなおせないケースをご紹介するとともに、詳しい矯正方法や費用相場、矯正に必要な期間と通院頻度の目安を解説します。クリニックへ相談に行く前の情報収集にぜひお役立てください。

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部分矯正で前歯の重なりをなおせるケース

部分矯正で前歯の重なりをなおせるケース

部分矯正で前歯の重なりをなおせるのは、歯並びや噛み合わせに大きな問題がない場合です。ケースとして挙げられるのは以下の通りです。

  • 軽度の歯並びの凸凹(叢生)

  • 軽度の出っ歯

  • すきっ歯

  • 真ん中の正中のズレ

  • 矯正後の後戻り

実際に治療できるかは医師に診てもらう必要がありますが、このように歯の乱れがそこまでひどくない場合は、部分矯正で前歯の重なりをなおせる可能性が高いです。

自身の歯の乱れが重度・軽度のどちらに該当するかわからない場合は、以下で紹介する症例を参考にしてみてください。

軽度の歯並びの凸凹(叢生)

軽度の凸凹(叢生)とは、"一見きれいな歯並びに見えるが、よく見ると微妙に前歯が重なっている"状態を指します。

「上の前歯2本が少し外側に開いている」「前歯が1本だけやや奥に引っ込んでいる」など、軽度の凸凹(叢生)に該当する場合は部分矯正で改善できる可能性が高いです。

軽度の出っ歯

出っ歯のみをなおしたい場合も、状態によっては部分矯正で改善可能です。抜歯の必要や噛み合わせの問題がなく、かつ上の前歯が多少出ている、口元の突出感がそこまで大きくない場合は、部分矯正で改善できる可能性が高いです。

すきっ歯

前歯の間に隙間があり、そのせいで隣の歯と重なっている場合も部分矯正でなおすことが可能です。

ただし、噛み合わせが原因のすきっ歯は奥歯の調整が必要になるため、全体矯正が適応となるケースがあります。

矯正後の後戻り

後戻りした前歯の重なりは程度にもよりますが、軽度の状態であれば、部分矯正で再びきれいな歯並びになおせます。

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部分矯正で前歯の重なりをなおせないケース

部分矯正で前歯の重なりをなおせないケース

前歯の重なりは必ずしも部分矯正でなおせるわけではありません。以下のケースに該当する場合は、部分矯正が適用外となる可能性が高いでしょう。

  • 隙間がない状態での前歯の重なり

  • 重度の歯並びの凸凹(叢生)

  • 重度の出っ歯・受け口

  • 嚙み合わせに問題がある場合

このような場合は部分矯正ではなく、全体矯正での治療が必要となる場合もあります。

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隙間がない状態での前歯の重なり

部分矯正で前歯の重なりをなおすには、歯を並べるスペースが必要です。隙間がなければ、重なり合った前歯を動かしても、きれいに並べることができません。

そのため、歯を並べるスペースがない状態で前歯が重なり合っている場合は、奥歯から後ろに下げる全体矯正をすすめられることが多いです。歯並び全体を調整できない部分矯正では改善できないケースがあります。

重度の歯並びの凸凹(叢生)

前歯だけでなく、全体的にガタガタとした歯並びになっている場合や、歯が並ぶアーチが大きく歪んでいる場合は重度の叢生と判断されます。

その場合、隙間がない状態での前歯の重なりと同じく、歯をきれいに並べるスペースが確保できないため、部分矯正が適用外となる可能性が高いです。

重度の出っ歯・受け口

骨格的な問題をともなう重度の出っ歯・受け口は、部分矯正だけでなく、全体矯正でも対応が難しいです。歯の並びを改善する歯科矯正だけでは納得のいく結果にならないため、外科手術を併用する外科的矯正治療を提案されることが多いです。

また、出っ歯の部分が隣の歯と大きく重なっている場合も、歯を並べるスペースの確保が難しいため、部分矯正が適用外となることがあります。

噛み合わせに問題がある場合

奥歯を噛みしめる癖により前歯が押し出されている場合や、前歯の噛み合わせに問題がある場合は、部分矯正での治療が難しくなることがあります。部分矯正で前歯の重なりをなおせても、根本的な問題解決につながらないからです。

軽度の叢生や出っ歯であっても、噛み合わせに問題がある場合は全体矯正をすすめられる可能性が高いでしょう。噛み合わせについては自己診断が非常に難しいため、歯科医師に必ず診てもらうことが大切です。

なお、「これからマウスピース矯正をはじめる」という方は、Oh my teethの無料カウンセリングをご利用ください。

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前歯の重なりをなおす部分矯正の『種類』と『費用相場』

前歯の重なりをなおす部分矯正の『種類』と『費用相場』

前歯の重なりをなおす部分矯正には、大きく3種類の治療方法があります。

  • ワイヤー表側矯正

  • ワイヤー裏側矯正

  • マウスピース矯正

それぞれのメリットやデメリット、費用の相場を知っておくことで、部分矯正をおこなう際にどのような治療方法が自身に適しているかを把握できます。ニーズに合った選択をするためにも、3種類の部分矯正について特徴を掴んでおきましょう。

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ワイヤー表側矯正

ワイヤー表側矯正は文字通り、歯の表面をワイヤーでつなぎ、ワイヤーの引っ張る力で歯並びを整える矯正方法です。

部分矯正で前歯の重なりをなおす場合は、治療したい歯を中心に、動かす必要がある歯の表面に『ブラケット』と呼ばれる四角い装置をつけて、それをつなぐようにワイヤーを通します。

表側矯正はほかの歯科矯正に比べ、リーズナブルな価格で行えるのがメリット。部分矯正で前歯の重なりをなおす場合の費用相場は30〜60万円です。値段はブラケットの素材によって異なり、部分矯正が目立ちにくい素材を選ぶほど、費用が高くなる傾向があります。

最も安価なのは、メタルブラケットと呼ばれる金属製のブラケットを使った表側矯正です。矯正部分が目立ってしまうデメリットはありますが、プラスチック製やセラミック製のブラケットを使うワイヤー矯正の半額程度で前歯の重なりをなおせます。

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ワイヤー裏側矯正

ワイヤー裏側矯正は表側矯正とは反対に、歯の裏側にブラケットとワイヤーを装着して歯並びを整える矯正方法です。

表側矯正と比べて目立ちにくく、見た目を気にせず過ごせるメリットがありますが、一方でブラケットを歯の裏面に合わせた形状で作る必要があるため、費用が表側矯正よりも高くなります。部分矯正で前歯の重なりをなおす場合、費用相場は40〜70万円ほど。

加えて、裏側矯正は滑舌に影響があるほか、口内炎ができやすい、歯磨きがしにくいといったデメリットもあります。治療としての難易度が高く対応できるクリニックも限られるため、治療を希望する場合は裏側矯正に対応しているクリニックを探す必要も出てきます。

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マウスピース矯正

マウスピース矯正はマウスピース型矯正装置を使って歯並びを整える矯正方法です。ひとりひとりの歯型に合わせて作られたマウスピースを装着し、少しずつ歯を動かして理想の歯並びへと改善していきます。

マウスピースといっても、スポーツで使われるマウスガードのようなものではなく、薄く透明に作られている医療用マウスピースを使用します。そのため、装着していても周囲に気付かれることはほとんどありません。取り外し可能で、結婚式や飲み会など、状況に応じて対応できるのもうれしいポイントです。

また、マウスピース矯正は費用が安いこともメリットの1つ。前歯の重なりをなおす場合の費用相場は10〜40万円程度で抑えられる場合もあります。(※ただし装置の料金に関しては地方や医院によって差があります。一般開業医などはマウスピース矯正の方が安価な傾向がありますが、矯正専門医などワイヤー矯正がシステム化されている病院ではワイヤー矯正のほうが安価なことがあります。)

一方、デメリットとしては対応できる歯並びに限界があることが挙げられます。前歯の重なりが軽度の叢生や矯正後の後戻りによるものであれば問題ありませんが、重度の叢生や出っ歯など、歯を大きく動かす必要がある場合は、適用範囲が広いワイヤー矯正をすすめられることがあります。

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部分矯正で前歯の重なりをなおす場合の『期間』と『通院頻度』

部分矯正で前歯の重なりをなおす場合の『期間』と『通院頻度』

治療期間の目安

通品頻度の目安

ワイヤー表側矯正

2ヶ月〜1年

1ヶ月に1回

ワイヤー裏側矯正

5ヶ月〜1年

1ヶ月に1回

マウスピース矯正

2ヶ月〜1年

1ヶ月~3ヶ月に1回

部分矯正で前歯の重なりをなおす場合の期間は矯正方法によって異なります。最も治療期間が短いのはマウスピース矯正で、部分矯正の場合は2ヶ月〜1年を目安に前歯の重なりを改善できます。歯の乱れが少なければ、数ヶ月で前歯の重なりを改善することも可能でしょう。

ワイヤー矯正は表側矯正のほうが裏側矯正よりも期間が短く、2ヶ月〜1年程度で前歯の重なりを改善できます。しかし、矯正装置の種類によっては期間が長くなるケースも。

裏側矯正は矯正装置の制作期間や装着に時間がかかるため、ほかの部分矯正に比べて期間が長く、目安は5ヶ月〜1年程度です。

また、部分矯正で前歯の重なりをなおす際は矯正方法によって通院頻度も変わってきます。ワイヤー矯正は表側矯正・裏側矯正ともに、1ヶ月に1回の通院が必要です。一方、マウスピース矯正はクリニックの方針にもよりますが、通院頻度が比較的少なく、1〜3ヶ月に1回程度が一般的です。

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部分矯正で前歯の重なりがなおせるかクリニックへ相談してみよう

部分矯正で前歯の重なりをなおす場合は、歯の乱れが軽度であること、嚙み合わせに大きな問題がないこと、そして歯をきれいに並べるスペースがあることが条件となります。

専門的な知識を持たない人がこれらを自身で判断するのは難しいため、治療を検討する際はクリニックで検査を受けた上で診断してもらうことが必要です。

まずは本記事で紹介した症例や矯正方法の種類、費用相場などを参考にしながら、前歯の重なりがなおせるかクリニックへ相談してみましょう。

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