logo
logo
歯科矯正
最終更新日:2024年2月19日

歯周病でも矯正できるの?同時にできない場合やリスクを解説

歯周病でも矯正できるtop

歯周病でも先に治療をすれば矯正ができます。しかし進行度合いによっては先に歯周病を治療をした方が良い場合も。本記事では、歯周病とはどんな病気か、矯正前の歯周病の治療方法、矯正中の留意点など、矯正前に知っておきたいポイントを紹介します。

万樹さんアイコン
歯科医師

西尾万樹

東京表参道矯正歯科 院長。北海道医療大学歯学部卒業。2018年歯科医師免許取得。旭川医科大学病院口腔外科にて研修後、矯正歯科勤務。2020年コスメコンシェルジュ取得。

「歯周病でも矯正はできるの?」

「歯周病で矯正するときに気をつけることは?」

と、悩んでいませんか?歯周病があっても、矯正を諦めたくない想いもありますよね。

本記事では、歯周病でも矯正ができるのか、歯周病がどんな病気か、矯正中の留意点などを解説します。歯周病があって矯正が受けられるかどうか不安な方や、これから矯正を受ける方は必見です。

歯周病だと矯正できないの?

歯周病でも矯正できる

結論から言うと、軽度の歯周病であれば、歯科矯正を受けられます。ただし、歯周病の治療をしないまま歯科矯正を始めるのはリスクがともなうため、まずは歯周病治療を終えてから歯科矯正を検討するのが望ましいです。また、重度の歯周病は矯正を受けられない可能性があります。

なぜなら、矯正治療は歯に力を加えて、歯の根っこと歯を支えている骨にある「歯根膜(しこんまく)」に炎症反応を起こして歯を動かしていくからです。重度の歯周病は歯茎の炎症が大きく、歯を支えている骨がすでに少なくなっている状態のため、無理に矯正を進めてしまうと症状が悪化する可能性があります。

歯周病は重度になるまで自覚症状がほとんどありません。ご自身が歯周病になっているのか、進行している状態なのかは、矯正前にしっかり検査してもらう必要があります。

詳しく見ていくために、まずは歯周病になってしまう要因から確認していきましょう。

矯正しても大丈夫?
CTA_無料診断

そもそも歯周病とは?歯周病の人が歯科矯正をするリスク

歯周病とは

歯周病とは、歯と歯茎の間(歯周ポケット)に歯周病菌が侵入して歯茎に炎症を起こし、歯を支えている骨が溶けてしまう病気のことです。進行すると歯を支えきれなくなり、歯が抜け落ちてしまうことも。一般的には「歯槽膿漏(しそうのうろう)」と呼ばれています。

歯周病の原因は、歯垢(プラーク)です。これは、歯の表面に付着する細菌の塊のことで、白色から黄白色をしています。よく歯の表面を爪で引っ掻くと白いネバネバした物質がつきませんか?これが歯垢で、1mgあたり1億個以上の細菌が生息しています。

歯磨きを怠ってしまうと歯周ポケットの中に歯垢が溜まり、そこに潜んでいる細菌が毒素を出して、歯茎が炎症を起こします。

歯周病の初期段階は歯茎が腫れて出血しますが、痛みといった自覚症状がほとんどなく、気付いたときには進行していることが多いです。

歯周病の治療をしないまま矯正治療を進めると、どのような影響があるのでしょうか。歯周病の方が矯正治療を受けるリスクについて、みていきましょう。

4000円-5000円持っていけば安心!初診の歯周病の治療費を医学博士が解説

歯周病の悪化

歯周病は歯茎に炎症が起きている状態のことです。歯科矯正では、歯を動かすために歯根膜に負荷をかける必要があるため、歯周病の方が歯科矯正を行うと、症状が悪化する可能性があります。

歯周病の進行が進んでいくと、最悪の場合歯が抜け落ちてしまうこともあるため、慎重に矯正を行わなければなりません。

特に、矯正中で以下のことに当てはまる方は、歯周病のリスクが高まるので注意が必要です。

  • ワイヤー矯正中で装置の周囲をしっかり磨けていない

  • マウスピース矯正中で食後歯磨きせずにマウスピースを再装着している

  • 歯科クリニックで定期的なクリーニングを受けていない

矯正治療で歯周病の悪化を招かないように、セルフケアをしっかり行い、定期的に歯科クリニックでのケアも受ける必要があります。

CTA_機能

歯茎が下がる

歯周病の方が歯列矯正をすると、歯茎が下がって歯が長く見える「歯肉退縮(しにくたいしゅく)」と呼ばれる症状が出ることがあります。歯と歯の間に黒い三角形のようなすき間ができることから、「ブラックトライアングル」と呼ばれており、見た目に大きな影響を与えてしまいます。

歯肉退縮は歯科矯正のリスクの一つに挙げられますが、歯周病の方は、より歯肉退縮が生じる可能性が高いため注意が必要です。

あわせて読みたい

歯科矯正のリスク・副作用とは?発生を抑える4つのポイントを解説

矯正の前に歯周病を治療する方法

歯周病治す3つの方法

歯列矯正の前に、歯周病の治療を行う場合、どのような治療法があるのでしょうか。

残念ながら、現時点では歯周病をなおす薬は存在しません。歯茎に炎症が起きたときの対症療法として、抗生剤を投与することがありますが、抗生剤で歯周病を完治させるのは難しいです。

歯周病治療は投薬ではなく、歯周病菌を増やさないようにコントロールすることで改善を目指します。

正しいブラッシングを毎日行う

歯周病菌を増やさないようにコントロールするには、原因となる歯垢を取り除き、溜めないことが重要です。自分では毎日正しく歯を磨いているつもりでも、実は磨けていなかったということは少なくありません。

自己流のブラッシングは、磨けない部分ができてしまうほか、歯茎を傷つけてしまうことも。正しいブラッシングを行うためにも、歯医者でドクターまたは歯科衛生士に教わるようにしましょう。

歯医者のクリーニングで歯石を除去する

歯垢はそのままにすると歯石になり、歯や歯茎の下で強固に付着します。歯石はざらざらしているため、さらに歯垢がつきやすい環境に。歯石はブラッシングで落とすことができないため、歯医者のプロフェッショナルケアを受けることが重要です。

なお、重度歯周病の場合、外科的手術で歯周ポケットを浅くしたり歯を支えている骨を再生させる手術を行ったりすることもあります。

歯周病を悪化させる生活習慣を見直す

丁寧なブラッシングや歯医者のクリーニングを受けていても、歯周病になりやすい方がいます。実は、歯周病は生活習慣に大きくかかわっているのです。

疲労やストレスは身体の免疫力が低下し、歯周病菌の活動が活発になる原因に。疲れを感じたときに「歯茎が腫れて出血した」という方は、免疫力が低下しているかもしれません。

また、歯周病を悪化させる生活習慣の中には喫煙も。タバコに含まれるニコチンは歯茎の血管を収縮させます。その結果血液の流れが悪くなり、酸素を嫌う歯周病菌が増殖してしまうのです。

ストレスの発散や睡眠時間を十分にとる、禁煙するなど、生活習慣の見直しを心がけることで、歯周病の悪化を防げます。

軽度な歯周病で矯正を始めるときの注意点

矯正するときの3つの注意点

軽度な歯周病で歯科矯正を始めた場合、矯正中に歯周病が悪化しないように、以下のポイントに気をつけるようにしましょう。

正しいオーラルケアを身につける

オーラルケアとは、虫歯や歯周病予防のために、口腔内を清潔に保つことです。特に矯正中は、装置の種類に合ったオーラルケアを身につけておくと歯周病予防につながります。

たとえばワイヤー矯正は、歯にブラケットとワイヤーがついているため歯ブラシが届きにくく、矯正前と同じブラッシング方法では、装置の周囲についた汚れを取り除くことが困難です。そこでおすすめなのが、ブラケットとワイヤーの間に歯ブラシが入るように、下から歯ブラシを斜め45°に入れて小刻みに動かしていく方法です。

正しいオーラルケアやブラッシング方法は、歯科ドクターまたは歯科衛生士から指導を受けられるので気軽に相談してみましょう。

補助清掃用具を使用する

補助清掃用具とは、フロス・歯間ブラシ・タフトブラシ(ヘッドが小さく毛先が一つの歯ブラシ)など、歯ブラシ以外の道具のことです。歯ブラシで落とせる汚れは約58%。歯ブラシとフロスを使用すると歯垢除去率は約86%に上がり、約1.5倍の差があると言われています。

歯周病のリスクを下げるためには、歯垢除去率を80%以上にすることが望ましいです。ワイヤー矯正など、歯に直接装置をつけている場合、矯正していない方よりも除去率は劣るため、補助清掃用具を上手く活用しましょう。

*出典元: 山本 昇 Interdental Brush と Dental Floss の清掃効果について 日本歯周病学会誌 17巻2号 P258-264 1975年

歯医者のクリーニングを定期的に受ける

セルフケアを丁寧に行っても落としきれない汚れはあるため、歯医者のクリーニングを受けることをおすすめします。歯医者のクリーニングでは、歯周ポケットの中の汚れを除去でき、加えて、歯の状態を確認してもらえるため、早期にむし歯・歯周病の発見もできます。

矯正で歯並びが改善すると歯周病の予防効果も期待できる

歯周病予防に期待

実は、歯科矯正で歯並びを整えると、歯周病の予防効果が期待できます。

歯並びが悪いと歯磨きが不十分になり、歯垢が溜まりやすくなるため、歯周病になるリスクが高くなってしまいます。

一方、歯科矯正で歯並びが整うと歯ブラシが届きやすくなり、日々のブラッシングですみずみまで歯垢を除去しやすくなるため、歯周病の予防につながります。

また、噛み合わせが乱れていると、一部の歯だけに負担がかかり、歯周病の進行が早まることも。歯科矯正によって噛み合わせを整えると噛む力を分散させられるため、歯周病が進行するのを防ぎます。

歯並びの悪さが原因で歯周病になっている方は、改善策として歯科矯正を検討してみましょう。

歯科矯正を受ける前に虫歯・歯周病の検査も受けよう

矯正治療を受ける際は、はじめる前に虫歯・歯周病の詳しい検査を行う歯医者に受診することをおすすめします。検査をしっかり行う歯医者では、歯周病予防に力を入れているところも多く、矯正後に歯周病が悪化してしまったという事態を避けられるでしょう。

また、歯並びが整うことで、歯ブラシが届きやすくなり結果的に歯周病予防にもつながるので、歯を守るための歯科矯正を検討してみるのはいかがでしょうか。

OMT無料診断

Oh my teethの無料歯型スキャンでは、ドクターによるレントゲン撮影と口腔内検診で歯や歯茎の健康状態をチェックできます。まずはお気軽にご予約ください。

CTA_無料診断

▶︎無料歯型スキャンご予約はこちら
▶︎無料歯型スキャンの流れ・口コミはこちら

矯正についてもっと知る

ドクター所属学会(一部)

矯正歯科治療にともなうリスクについて