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歯科矯正
最終更新日:2024年5月1日

前歯が当たらない噛み合わせは危険?原因や治し方を解説

‎噛み合わせたときに前歯が当たらないのは危険?

奥歯で噛んだとき前歯が当たらないのが気になりますか?この状態を開咬と言い、放置すると歯の寿命が短くなる可能性が。本記事では前歯が噛み合わない原因や治し方について解説します。噛み合わせチェックも紹介しているので、前歯が当たらない方は必見です。

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歯科医師

太田 吏帆子

鶴見大学歯学部卒業。卒後、東京歯科大学にて研修。一般歯科、矯正歯科勤務。

奥歯で噛み合わせたときに前歯が当たらない状態を専門用語では「開咬(かいこう)」と言います。

見た目への影響や食べ物が咬みちぎれないだけでなく、身体にも悪影響を及ぼすことが。
本記事では前歯が当たらない原因や治すべき理由、治し方を解説します。この記事を読めばあなたの噛み合わせが正常かどうか、治療を受けるべきかどうかがわかりますよ。

マウスピース矯正Oh my teethでは、歯科医師に直接歯並びのお悩みを相談できます。あなたの前歯の噛み合わせは正しいのか、治療するならばどの歯列矯正が合っているのか知りたい方はお気軽に無料診断へお越しください。

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噛み合わせたとき上下の前歯が当たらない「開咬」とは

開咬

奥歯で噛み合わせたときに前歯が当たらない状態を「開咬(オープンバイト)」といいます。

これは悪い歯並びのことを指す不正咬合の一つ。歯並びがいいか悪いかは関係なく、奥歯で噛み合わせたときに前歯が当たらなければ開咬です。

前歯が噛み合わないことで生まれる隙間の大きさはさまざまで、自分で気付く方もいれば、歯科検診でドクターに指摘されて気付く方もいます。

開咬の原因

開咬の原因は、先天的要因と後天的要因に分けられます。前者は遺伝による骨格の問題によるもので、後者は指しゃぶり・口呼吸・舌で前歯を押すなどの舌癖などが挙げられます。それぞれどのように影響するのか詳しく解説します。

先天的要因

あごの骨の形は、親から子へ引き継がれることがあります。近親者にも開咬の人がいる場合は遺伝の可能性が高いでしょう。また、あごの成長に問題があると、開咬になることがあります。

後天的要因

指しゃぶりや口呼吸、舌で前歯を押すなどの舌癖が原因で後天的に開咬になるケースも。

これらの癖は幼少期から長く続くことが多く、前歯を前方に押し出す力が持続的に歯にかけられているため歯並びに影響が出ます。また、開咬だけでなく出っ歯の原因にもなります。

指しゃぶりは赤ちゃんの成長過程で必要な癖ではありますが、3歳を過ぎても辞められない場合は骨格や歯並びに影響が出てくるため注意が必要です。

前歯の噛み合わせのチェック方法

正常な前歯の噛み合わせをチェックリストにしました。噛みあわせて「イ」とした状態で鏡を見ながらチェックしてみましょう。

  • 歯の真ん中の線が一直線に揃っている

  • 横から見たとき上の前歯が下の前歯に2〜3mmほど被さっている

  • 正面から見て噛み合わせたときに下の歯が3〜4mmほど見える

  • 顎を左右に動かしたとき、上下の犬歯同士があたっている

  • 上下の奥歯が違和感なくしっかり噛み合っている

見るべきポイントは、上下の前歯の中心線(正中)がズレなく一直線に揃っているか、上下の歯の先端同士で噛んでいるのではなく上の前歯が少しだけ下の前歯に被っているかです。

そして、奥歯が左右差なく噛めているかどうかも忘れず確認してください。

チェックリストに一つでも当てはまらない項目があれば歯科クリニックで相談してみることをおすすめします。

前歯が当たらない噛み合わせを放置する4つのリスク

前歯、奥歯を問わず噛み合わない部分があるということはその分の負担がどこかの歯や骨にかかっているということです。

噛み合わせの不具合は口腔内だけでなく全身に影響が出ることも珍しくないので早めに治すことをおすすめします。

前歯が当たらない噛み合わせを放置することでおこる代表的なリスクを4つ解説します。

  • 口呼吸で虫歯になりやすい

  • 奥歯に負担がかかる

  • 発音に影響が出る

  • 見た目に影響がある

口呼吸で虫歯になりやすい

人間は本来鼻呼吸で花粉やウイルス、乾燥から体を守っています。

しかし開咬の方は口呼吸であることが多く、いつも口が開いているため口腔内が乾きやすい「ドライマウス」状態です。

唾液には汚れを洗い流す自浄作用や口腔内の細菌の活動を抑制する働きがありますが、ドライマウスでは唾液の働きが十分に発揮されないため虫歯や歯周病、口臭が気になりやすいリスクがあります。

また、唇が切れやすかったり風邪を引きやすかったりすることもあります。

歯に負担がかかる

歯は前歯で噛みきり奥歯ですりつぶす動きをします。前歯が噛み合わない状態では常に奥歯で咀嚼するため、奥歯に負担がかかります。

人の噛む力は体重以上あり、本来は歯全体で受け止めていますが、開咬で前歯が噛み合わないと奥歯だけで受け止めなくてはなりません。

奥歯の負担が大きくなると奥歯が徐々にすり減り、噛み合わせが低くなってきたり、奥歯で噛んでいたのに前歯で噛む(前歯で噛むようになる)ことで前歯がダメージを受けてしまいます。その結果、奥歯→前歯とすり減っていく可能があるのです。

つまり前歯が当たらない噛み合わせを放置すると、奥歯だけではなく前歯など全体に影響が出て、年を取ってから折れやすく、歯を失うリスクが高くなります。

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発音に影響が出る

前歯が噛み合わないと隙間から空気が漏れたり、無意識に舌が出たりするので発音に影響が出ます。

特にサ行、タ行がはっきり言えない方が多く、コンプレックスやコミュニケーションが取りづらい問題につながります。

見た目に影響がある

前歯が噛み合わない人は口呼吸なことが多いです。

口呼吸は虫歯や歯周病のリスクが高くなるだけでなく見た目にも影響があります。

たとえば口呼吸で常に口が開いていると口周りの筋肉が育たず、ぼんやりとした印象の顔立ちになります。

また、話しているときに隙間から舌が出てきたり、前歯の隙間が気になって笑顔に自信がもてなかったりすることもあるでしょう。

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前歯の噛み合わせを治す3つの方法

上下の前歯が当たるように治すには歯列矯正と外科的矯正の2つの方法が有効です。

歯列矯正では低い歯を引き上げる「挺出(ていしゅつ)」や歯根方向へ押し込む「圧下」などを行い噛み合わせのバランスを整えます。外科的矯正は噛み合わせを整える歯列矯正と、あごの骨自体を移動させる手術を組み合わせる方法です。

どちらの方法が適しているかは、開咬の原因とドクターの判断によります。

また、矯正の進行の妨げや後戻り防止のために口呼吸や舌癖をやめる必要があります。

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正

前歯が噛み合わない状態を治す歯科矯正は、一般的にワイヤー矯正が選択されます。

なぜなら、出っ歯やガタガタの歯並びなど他の不正咬合と併発していることが多く、奥歯のバランスも全体的に整える必要があるからです。そのため多くの場合、全体矯正になります。

ワイヤー矯正期間の目安は表側矯正(全体矯正)で1〜3年程度、裏側矯正(全体矯正)で2〜3年程度。

費用目安は表側矯正(全体矯正)で60万〜130万円、裏側矯正100万〜170万円です。

ブラケットやワイヤーの見た目が気になる場合は、裏側矯正や白い装置などで目立たなくできますが、費用は別途でかかります。

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マウスピース矯正

マウスピース矯正 Oh my teethのマウスピースを装着した女性

骨格の問題がなく前歯の隙間が軽度であれば、マウスピース矯正が可能なこともあります。

適応症例が限られるためドクターの診断が必要です。

目立たずに矯正ができるメリットはありますが、1日20時間以上の装着時間が必要なためライフスタイルに合っているか確認しましょう。

全体矯正の矯正期間の目安は1〜3年、費用目安は60万〜100万 円です。

外科的矯正

外科的矯正とは外科手術と歯列矯正を併用する方法です。骨格的なズレや成長具合に問題があり歯列矯正だけでは足りない場合に選択されます。

全身麻酔による手術を行うため体に負担はかかりますが、骨格から修正するため歯列矯正だけで整えるよりも大きな変化が期待できます。

一般的な外科的矯正の流れは以下の通りです。

  • 手術前矯正(目安1年)

  • 手術(10日〜2週間入院)

  • 手術後矯正(目安1年)

  • 保定(数年)

クリニックによっては、手術を先に行う「サージェリーファースト」を採用しているところもあります。一般的な外科矯正と比べ、治療期間の大幅な短縮が期待できます。

矯正費用は通常自費ですが骨格の問題が「顎変形症」と診断された場合は保険適用が可能です。詳しくは次のセクションで解説します。

上下の前歯が当たらない噛み合わせでよくある質問

ここは、前歯が当たらない噛み合わせでよくある質問を紹介します。

開咬の矯正は保険がきく?

審美目的の意味合いが強い通常の歯列矯正は基本的に保険がきかず自費診療です。

しかし、上あごが出すぎている出っ歯や下あごが出すぎている受け口など、骨格が原因で手術が必要な場合は「顎変形症」と診断され、保険適用になります。

見た目の問題だけでなく、前歯で噛めない機能的問題がでている開咬も対象です。

外科的矯正を保険適用で受けるためには、大学病院など国が認可している医療機関で治療をする必要があります。

費用目安は3割負担の方で矯正費用と手術、入院費で約40万〜50万円です。

開咬は自分で治せる?

子供のうちに指しゃぶりや舌で前歯を押すなどの悪癖をやめれば改善が見られることもありますが、ほぼ自分で開咬を治すことは不可能でしょう。

インターネットやSNS上で自分で治す方法が紹介されていますが、歯や歯茎を傷める原因になりかねないため推奨しません。

トレーニングで開咬を予防できる?

舌の位置を正しくしたり、口周りの筋肉のトレーニング(ⅯFT)を行うと舌癖の改善や矯正後の後戻りの防止になります。

ここでは、正しい舌の位置と自宅で簡単に行えるトレーニング方法を紹介します。

正しい舌の位置

開咬を含め不正咬合のある人は、下前歯の裏に舌の先がついていたり(低舌位)舌で前歯を押して遊ぶ癖があったりします。

上前歯の裏側の根本にあるスポットに舌の先がついているのが正しい状態です。

MFTトレーニング

MFTトレーニングの内容はさまざまあり、矯正歯科クリニックでは個人に合わせて必要なトレーニング指導を受けられます。

「あいうべ体操」や「リップトレーサー」は自宅でも簡単に行えるMFTトレーニングです。

あいうべ体操

口を大きく動かしながらゆっくりと「あいうべ」と動かします。「べ」のときに舌を出し、大きくあっかんべーの状態にします。1日30回を目安に行います。

顎関節症の方や口を開けると痛む方は、無理して行うと顎関節に負担がかかることがあるため、「い」「う」のみ行いましょう。

リップトレーサー

口を開けたまま、舌先でゆっくり唇をなぞります。上唇に10秒、下唇に10秒かけるイメージです。1日3セットを目安に行います。

前歯が当たらない噛み合わせは早めに治療しよう

奥歯で嚙み合わせたときに前歯が噛み合わないのは「開咬」といわれる不正咬合です。

そのままにしておくと見た目だけでなく機能的にもリスクがあるため、早めに治療を始めた方がいいでしょう。

前歯の隙間治療にも歯列矯正が有効です。自分の前歯の噛み合わせ治療にはどのような矯正方法が合っているのか、まずはカウンセリングでドクターに相談してみましょう。

前歯の噛み合わせが気になるあなたへ

噛み合わない前歯は歯列矯正で改善できる可能性があります。しかし、歯列矯正だけで改善するのか、外科手術も必要なのかどうかは歯科医師による診察が必要です。

マウスピース矯正 Oh my teeth 導入クリニックの無料診断では、歯科医師に直接、矯正に関する疑問や歯並びの悩みを相談していただけます。

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「自分は開咬なのかな?」
「気になるのは前歯だけだから、部分矯正でできないかな?」

こんな疑問もぜひお気軽に投げかけてみてくださいね。

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