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最終更新日:2025年6月26日

八重歯を抜くと顔はどう変わる?抜歯して後悔しないためにメリット・デメリットを解説

八重歯 を抜くと アイキャッチ

見た目の印象や噛み合わせに影響を与える八重歯は、矯正治療の一環として抜歯を勧められることもあります。

しかし実際には、八重歯は基本的に抜かないほうが良い歯として知られており、慎重な判断が必要です。

一方で、「抜いたら口元がすっきりした」「横顔のラインが整った」といった声もあり、判断に迷う方も多いでしょう。

本記事では、八重歯を抜いたときに起こりうる顔の変化や、後悔につながるリスク、抜歯が必要なケースや矯正方法の選び方までを丁寧に解説しています。

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歯科医師

西尾万樹

東京表参道矯正歯科 院長。北海道医療大学歯学部卒業。2018年歯科医師免許取得。旭川医科大学病院口腔外科にて研修後、矯正歯科勤務。2020年コスメコンシェルジュ取得。

目次

八重歯を抜くと顔はどう変わる?期待できる良い変化

八重歯を抜くと口元のバランスが変わります

八重歯を抜いて歯並びを整えることで、口元や横顔のバランスが変わり、見た目に大きな変化が現れるケースもあります。

以下では、八重歯を抜いたことによって期待されるポジティブな変化を具体的に紹介します。

唇の盛り上がりがなくなる

八重歯を整えることで、口元の盛り上がりがすっきりし、唇の突出感が目立たなくなることがあります。

もともと、八重歯は本来の歯列から外側に飛び出していることが多く、無意識のうちに唇を内側から押し上げる原因になっています。

しかし、矯正によって八重歯を正しい位置に整えることで、歯列のアーチが滑らかになり、唇にかかる圧力が軽減されます。

その結果、口元のボリューム感が落ち着き、横顔の印象がシャープになることもあるのです。

ほうれい線がなくなる

八重歯を整えることで、ほうれい線が薄くなったように見えるケースもあります。

八重歯が前方に飛び出していると、周囲の頬の筋肉や皮膚が歯に引っかかり、口元に深いシワが出やすい状態になります。

こうした状態を、八重歯を矯正して歯並びを整えることで、噛み合わせや口元のバランスが改善され、表情筋が均等に動かしやすくなるようになるのです。

横顔(Eライン)が整う

八重歯を矯正することで、横顔の輪郭が整い、理想のEライン(横顔の美しさの指標。鼻先とあご先を結んだ線上に上下の唇が収まると理想的とされている)に近づくケースもあります。

八重歯があると、口元が前に突出した印象になりやすく、鼻先とあごを結ぶEラインから唇がはみ出してしまうことがあります。

しかし、歯列を整えることで前に出ていた歯や唇が自然と内側に収まり、顔全体のバランスが整うようになります。

とくに横顔の印象を気にしている方にとっては、すっきりとしたラインに近づいたと実感できるでしょう。

顔の歪みが改善されて笑いやすくなる

八重歯を整えることで、左右の筋肉のバランスがとれ、笑顔が自然になったと感じる人もいます。

八重歯があると噛み合わせに偏りが生じ、無意識のうちに片側ばかりで噛んだり、片側の筋肉ばかり使ったりするクセがついてしまいます。

このような状態が続くと、顔の左右差が目立つようになり、笑ったときの表情にも歪みが出ることがあるのです。

しかし、八重歯を矯正して噛み合わせが整うと、咀嚼や表情筋の動きが均等になり、顔のバランスが整いやすくなります。

その結果、「笑ったときの表情が左右対称になった」「笑いやすくなった」と感じることも少なくありません。

八重歯を抜いた後に後悔するケースも?注意したい3つのリスク

リスク

八重歯を抜くことで見た目がすっきりするなどの変化が期待できる一方で、抜歯によって後悔してしまうケースもあります。

ここからは、八重歯を抜くことで生じる可能性のある3つのリスクについて具体的に紹介します。

①たるみ・シワが目立つようになる

八重歯を抜いたことで、顔全体のボリュームが減り、頬や口元のたるみが気になるようになったという声もあります。

歯には、内側から皮膚や筋肉を支える役割がありますが、八重歯があることで支えられていた部分が抜歯によって空間ができたり歯列が内側に下がったりすることで、皮膚がたるみやすくなることがあるのです。

その結果、頬がこけて見えたり、年齢以上に老けた印象になることもあります。

②ほうれい線が目立つようになる

八重歯を抜いたことで、かえってほうれい線が目立つようになったと感じる人もいます。

これは、歯を支えていた骨や歯列のボリュームが減少し、口元を支える力が弱くなってしまうことが原因です。

とくに、頬の脂肪や皮膚を内側から押し支えていた八重歯がなくなると、その部分の皮膚がしぼみ、シワとして現れやすくなるのです。

③あごや奥歯に負担がかかる

八重歯を抜くことで、噛み合わせのバランスが乱れ、特定の歯に過度な負担がかかってしまうことがあります。

本来、上下の歯は全体で力を分散しながら噛む仕組みになっていますが、八重歯を失うことでそのバランスが崩れると、噛むたびに奥歯やあごに集中して負荷がかかるようになるのです。

その結果、奥歯のすり減りや、歯ぎしり・食いしばりなどのクセが強まり、顎関節にまで影響を及ぼすこともあります。

八重歯は基本的に抜かないほうがいい理由

見た目の印象や歯並びを整えたいという理由で、「八重歯は抜いたほうがいいのでは?」と考える方も多いかもしれません。

しかし、実は八重歯は“抜かずに活かす”方が良いとされるケースが圧倒的に多いのです。

以下では、八重歯をなるべく抜かないほうがいいとされる理由について、機能面・構造面・役割の観点から詳しく解説していきます。

咬み合わせを支える「ガイド役」の歯だから

八重歯(犬歯)は、噛み合わせの誘導や歯全体の動きをコントロールする「ガイド役」として重要な役割を担っています。

たとえば、左右に顎を動かすとき、犬歯が最初に接触することで、奥歯同士の強いぶつかり合いを防ぎ、歯への負担を軽減する働きをしてくれます。

この働きは「犬歯誘導」とも呼ばれ、歯のすり減りや顎関節への負担を抑えるうえで欠かせない機能です。

しかし、八重歯が抜かれてしまうと、この犬歯誘導がなくなり、他の歯が代わりに衝撃を受けるようになるため、奥歯の摩耗や顎の不調につながるリスクが高まります。

見た目の印象だけで抜歯を決めるのではなく、こうした機能的な重要性も考慮して判断することが大切です。

根が深く強いため、「長く使える頼れる歯」と言われているから

八重歯にあたる犬歯は、歯の中でも特に根が深く、構造的に強いのが特徴です。

そのため、虫歯や外的な衝撃にも耐えやすく、ほかの歯と比べても長く使えることが多いとされています。

とくに高齢になると、歯周病や加齢によって歯を失いやすくなりますが、犬歯は歯根がしっかりしているため、最後まで残りやすい“頼れる歯”として重宝される存在です。

しかし、安易に抜歯をしてしまうと、その強い歯を失い、将来的に噛み合わせや義歯の設計に支障をきたすリスクもあります。

矯正の都合や見た目の改善を優先したくなる気持ちは理解できますが、口の中で果たしている役割や、長期的な安定性を踏まえて慎重に判断することが大切です。

前歯と奥歯の“つなぎ役”として全体のバランスを保っているから

八重歯(犬歯)は、前歯と奥歯の間に位置することで、歯列全体の形状やバランスを支える“つなぎ役”を担っています。

とくに、歯並びの自然なカーブは、犬歯が“支点”となって保たれており、この1本があることで歯列のゆがみや崩れを防いでいるのです。

もし犬歯を抜いてしまうと、この支点がなくなり、歯列全体のバランスが不安定になってしまうおそれがあります。

このように、犬歯は単に“前に飛び出た歯”ではなく、歯列全体を安定させる要となる歯である大切な存在なのです。

八重歯を抜かないほういい代表的な症例5つ

八重歯が気になるからといって、すぐに抜歯が必要というわけではありません。

歯科矯正の現場では、抜歯を避けながらスペースを確保し、歯列を整える方法も多く用いられています。

ここでは、八重歯の抜歯を回避する代表的な症例を5つ紹介します。

①小臼歯を抜歯することでスペースが確保できる場合

八重歯があっても、小臼歯(4番目の歯)を抜歯してスペースを確保できる場合は、抜歯をしません。

八重歯が歯列から飛び出す原因のひとつに、歯の生えるスペースが不足していることが挙げられます。

そこで、八重歯の後方にある小臼歯を抜くことで、前方のスペースに余裕が生まれ、飛び出た八重歯を自然に歯列に収めることが可能になります。

また、小臼歯は犬歯(八重歯)に比べて歯根が短く、寿命もやや短いとされているため、抜歯対象としてのリスクも低く抑えられます。

②歯と歯の間を削ることでスペースが確保できる場合

歯列に少しのスペースさえ確保できれば、八重歯を抜かずに矯正できるケースも多くあります。

そのひとつが、「ディスキング」と呼ばれる方法です。

ディスキングとは、歯の表面(エナメル質)を0.2〜0.5mm程度だけ削って、歯と歯のあいだにわずかな隙間をつくる処置のことです。

歯全体で見ると、合計で数ミリのスペースが確保でき、そのスペースを活かして飛び出た八重歯を正しい位置へと誘導することが可能になります。

③奥歯や親知らずを後方に移動できる場合

矯正治療の中には、八重歯のスペースを確保するために奥歯や親知らずを後方に移動させる方法もあります。

本来、八重歯が歯列におさまらない原因は「前方のスペース不足」です。

そのため、後方の歯(特に第一大臼歯や親知らず)を少しずつ後ろに移動させていくことで、前方に空きスペースを生み出すことが可能になります。(「遠心移動」と言います。)

また、親知らずが生えている場合は抜歯してスペースを確保することもあり、犬歯を抜くことなく歯列を整えられる可能性があります。

④歯列を側方に広げてスペースを確保できる場合

八重歯を抜かずに矯正できる方法のひとつとして、歯列全体を横に広げてスペースを確保する方法があります。

これは「歯列拡大」と呼ばれる処置で、歯が生えるためのアーチ(歯列弓)そのものを広げて、歯が並ぶ余地をつくる治療法です。

とくに、上あごの歯列が狭い方や、顎の発育が未成熟な10代の患者さんに適しており、成長期のタイミングを活かして無理なくスペースを確保できます。

⑤顎関節症を患っている場合

顎関節症を抱えている方の場合、八重歯の抜歯には特に慎重な判断が求められます。

顎関節症は、あごの関節や周囲の筋肉に痛みや違和感が出る症状で、噛み合わせのわずかなズレが症状を悪化させることがあります。

とくに犬歯(八重歯)は、噛み合わせの誘導役として非常に重要な役割を担っており、この歯を抜くことで上下の歯の接触バランスが崩れ、顎関節に余計な負担がかかる可能性があるのです。

このように顎関節症の既往がある場合は、口腔外科や顎関節治療の知見がある歯科医師による診断のもと、「犬歯を残す矯正方針」が優先されるケースがほとんどです。

それでも八重歯を抜歯したい場合、後悔しないために知っておきたいメリット・デメリット

八重歯は基本的に抜かないほうが良いとされていますが、症例によっては抜歯が必要になることもあります。

そうしたケースで八重歯を抜歯する場合でも、あらかじめそのメリットとデメリットをしっかり理解しておくことが大切です。

ここでは、後悔しない治療選択のために、どんな変化が起こる可能性があるのかを具体的に確認しておきましょう。

八重歯を抜くメリット:スペースが確保できて矯正がスムーズになる

犬歯(八重歯)を抜歯することで、矯正治療の期間を短縮できる可能性が高いです。

通常、八重歯は歯列から飛び出した位置に生えており、他の歯との位置関係も複雑なため、そのまま残して矯正するには長い時間と繊細な歯の移動が必要になります。

しかし、犬歯を抜歯することで治療計画がシンプルになり、歯の移動距離が短くなるため、全体の矯正期間が短縮されるケースもあります。

八重歯を抜くデメリット①:噛み合わせの崩れにより他の歯や顎に負担がかかる

犬歯(八重歯)を抜いてしまうと、噛み合わせのバランスが崩れ、他の歯や顎に負担がかかるリスクがあります。

犬歯には、噛み合わせをコントロールする役割があり、これが失われると奥歯や顎関節への過剰な負担につながる可能性があります。特に、歯ぎしりや顎関節症のリスクが高まることが懸念されます。

また、犬歯は歯の根が深く、長く使える安定した歯とされているため、将来的な噛み合わせや歯の寿命にも影響するおそれがあります。

目先の治療のしやすさだけでなく、長期的な口腔全体のバランスを考慮して判断することが重要です。

八重歯を抜くデメリット②:一度抜歯すると元に戻すことはできない

八重歯を抜いてしまうと、当然ながら元に戻すことはできません。

矯正治療は基本的に、歯をなるべく抜かずに歯列全体を整えることが第一選択とされており、抜歯は“最後の手段”として位置づけられています。

しかし、最初から「見た目が気になるから」「抜けば早く治るから」といった安易な理由で八重歯を抜いてしまうと、後から「抜かなければよかった」と後悔するケースもあります。

「本当に抜歯が必要なケースなのか」を慎重に見極めた上で判断することが大切です。

八重歯を改善するための3つの矯正法

八重歯は抜かずに、矯正治療で整えることが可能です。
近年では治療方法の選択肢も広がっており、目立ちにくく快適な方法も選べるようになっています。

ここでは、八重歯の改善に用いられる代表的な3つの矯正方法をご紹介します。

①マウスピース矯正

マウスピース矯正は、八重歯のように歯並びが部分的に乱れているケースにも適応されることが多く、歯列全体をコントロールしながら、徐々に理想の位置に導いていく方法です。

取り外しができるため、食事や歯みがきの際のストレスが少なく、衛生的に治療を続けられる点も大きなメリットといえるでしょう。

一方で、自己管理が必要な治療法でもあります。マウスピースは1日20時間以上の装着が推奨されており、指示通りに装着しないと計画通りに歯が動かず、治療が長引いたり効果が出なかったりする可能性もあります。

軽度〜中等度の八重歯であれば、マウスピース矯正でも十分に対応できるケースが多く、自己管理ができて見た目を重視する方におすすめの選択肢です。

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②ワイヤー矯正

ワイヤー矯正は、歯に「ブラケット」と呼ばれる装置を取りつけ、ワイヤーで力をかけて少しずつ歯を動かしていく方法です。あらゆる歯並びの乱れに対応可能で、特に歯の移動距離が大きい八重歯の矯正にも高い効果が期待できます。

また、治療計画に応じて微細な調整がしやすいため、より正確に歯をコントロールしたい方に向いています。

ただし、ブラケットやワイヤーが見えるため、見た目が気になる方にはややハードルが高い方法といえるかもしれません。

しかし最近では、白や透明の目立ちにくい装置も登場しており、審美性の面も改善されているため、さまざまな症例にもマルチに対応できる方法と言えるでしょう。

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③セラミック矯正

セラミック矯正は、歯を削って形を整えた上にセラミック製の被せ物(クラウン)を装着し、短期間で理想の歯並びや白さを実現する方法です。

歯を物理的に動かすわけではないため、矯正器具を長期間つける必要がなく、見た目重視の方や短期間で仕上げたい方に向いています。

一方で、健康な歯を大きく削る必要があることや、八重歯が大きくズレている場合には適応が難しいケースがあるのがデメリットです。

審美性を重視したい方にとっては魅力的な選択肢ですが、適応症例が限られるため、事前に専門医としっかり相談することが大切です。

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八重歯は抜かずに歯科矯正を検討しよう

カウンセリングをする医師

八重歯は見た目や噛み合わせに影響するものの、多くのケースでは「抜かずに矯正できる」ことが一般的です。

とくに、八重歯は噛み合わせや歯の寿命においても重要な役割を担っているため、安易に抜歯を選ぶべきではありません

そして「歯を抜かずに治せるかどうか」は、歯並びや顎のスペース、噛み合わせの状態などを総合的に診断した上で判断されます。

そのため、まずは矯正歯科でしっかりとカウンセリングを受け、自分にとって最適な治療方法を相談することが重要です。

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