マウスピースの効果とデメリット| 歯ぎしり用から矯正用までタイプ別に解説
夜間の歯ぎしり用や歯科矯正用など、用途に合わせてマウスピースを利用する人が増えてきています。しかし、本当にこんなプラスチックのような素材で効果があるの?と不安になる方もいるのではないでしょうか?
実は、手軽なマウスピースですが使い方によっては症状を悪化させてしまうこともあります。
この記事では、目的に応じたマウスピースの効果について解説します。使い始める前の注意点も逃さずチェックしましょう!是非あなたに合ったマウスピースで日常の悩みを解決してくださいね。
目次
マウスピースと言っても、目的によって形状も装着時間も異なります。
ナイトガードとは、夜間の歯軋りから歯を守るためのマウスピースで睡眠時に違和感がない程度に分厚く作られています。一方で歯科矯正用のマウスピースは、1日20時間ほど装着するため、薄く目立ちにくい作りになっています。
スポーツ用マウスピースは接触があるスポーツで歯を守ったり、食いしばることで力を込めたりといった効果があります。
歯ぎしり用のマウスピースは「ナイトガード」と呼ばれ、その名の通り、夜間寝ている間に装着し歯を守ります。
歯ぎしりは歯やあごの痛みにつながったり、歯が割れてしまったりなどさまざまな悪影響を及ぼすので、歯を保護するためにもマウスピースが有効です。
歯ぎしり用マウスピースには3つの効果があります。
①歯のすり減りを防止する
歯ぎしりでギリギリと横にスライドする動きをすると歯がすり減ります。歯がすり減ると歯が短くなり、知覚過敏が起きやすかったり噛み合わせが変わったりする原因に。
マウスピースをつけると歯ではなくマウスピースが削れて歯を守ります。使い続けるとマウスピースに穴があくことも。
穴があいたところは歯が強く当たっているところなので、マウスピースの高さを調整したり、その歯を削って噛み合わせを調整することもあります。
②歯やあごにかかる負担を分散させる
人間の噛む力は体重以上といわれています。寝ている間、無意識に行っている歯ぎしりや食いしばりであれば、その力は相当なものです。食いしばりを続けていると歯にヒビが入ったり、歯根が割れて抜歯になるケースも。
マウスピースをつけると特定の歯だけに力がかかるのを防ぎ、歯全体で力を受けられます。また、被せ物が欠けたり詰め物がとれるのを防止したり、顎関節症の予防や軽減の効果も期待できます。
③歯の位置を固定する
歯周病などで揺れている歯は、歯ぎしりによって位置がズレる可能性があります。マウスピースをつけると歯が固定されるため、位置がズレて噛み合わせが変わるのを防ぐ効果があります。
ここまでマウスピースの効果について解説しましたが、マウスピースをつけても歯ぎしりはなくなりません。なぜなら、歯ぎしりをするのはストレス発散の一つだと考えられているためです。この場合、ストレスの原因が解消されない限り、歯ぎしりもし続けてしまうでしょう。
マウスピースは、あくまでも歯やあごの負担を減らすことを目的として使用します。
マウスピースの種類について
歯ぎしり用マウスピースはシリコンで作る「ソフトタイプ」とレジンで作る「ハードタイプ」の2種類があります。
ソフトタイプは、柔らかいマウスピースでつけたときの違和感が少ないのが特徴です。
しかし、「耐久性がなく穴があきやすい」「食いしばりの力が強くなる恐れがある」「虫歯になりやすい」という理由から、ソフトタイプ は取り扱っていないドクターも多いです。
ハードタイプは硬い分耐久性もよいですが、装着時の違和感が強く、噛み合わせなどの調整が難しいデメリットがあります。
歯ぎしりから歯を守る目的に対してソフトタイプよりメリットが多いことから、ハードタイプをおすすめしているドクターも多いです。
マウスピース矯正は、1~2週間ごとにマウスピースを交換し少しずつ歯を動かしていきます。
1日に20時間ほどの装着が必要なので、違和感が出ないよう0.5mmほどの薄い素材でできています。またマウスピースは透明なので、装着していても目立ちません。
ワイヤー矯正に比べて適応する歯並びの種類は少ないですが、出っ歯やガタガタな歯並びを矯正することができます。
以下に症例を紹介します。
出っ歯が引っ込み、横顔の印象も変わっていますね。こちらのマウスピース矯正では、週に1度マウスピースを交換し少しずつ歯を動かすためワイヤー矯正に比べて痛 みも少なく矯正をする事ができます。
以下からぜひ気軽に相談してみてくださいね。
スポーツ用マウスピースは接触が伴う競技などで、歯や顎を守るために用いられます。そのため、今回紹介したマウスピースの中でも最も分厚い作りとなることが多いです。
怪我防止だけでなく、噛み合わせが安定すると重心も安定しスポーツパフォーマンスの向上に効果があると言われています。
競技によっては、使用できるマウスピースの形状や色に指定がある場合があるので、そちらも確認してから使い始めましょう。
とはいえ、マウスピースも万能ではありません。以下の注意点をきちんと把握した上で使用を開始しましょう。
①慣れるまで時間がかかる
異物を口に入れたまま寝ることになるので、慣れるまでに時間がかかります。特に最初の2、3日は眠りにくいです。
また、効果を実感する前にあごの痛みや口の渇きを感じることもあります。これはマウスピースを入れることで普段よりも噛み合わせが高くなっていること、唇が閉じにくくなっていることが原因です。
マウスピースに慣 れてくると症状は緩和していきます。
②費用がかかる
歯ぎしり用マウスピースは保険適用で約5,000円程度です。穴があいたら作り直しが必要になることもありますが、保険のルール上、半年以内の作り直しだと自費になります。
耐久性はソフトタイプもハードタイプも1年が目安ですが、半年で穴があく方もいれば2~3年もつ方もいます。
③メンテナンスが必要
使用後は洗浄し、清潔に保つ手間がかかります。
また、マウスピースを使用していて噛み合わせやあごに異常がないか、マウスピース自体が変形や破損していないか定期的に歯科クリニックでチェックしてもらう必要があります。
ナイトガードでマウスピースを上にだけつける理由とは?
マウスピースは上下どちらでも作ることができます。歯と歯の間に緩衝材としてマウスピースがあれば歯を守る目的を果たしているので、どちらでもいいのです。
しかし、多くのドクターが基本的に上のマウスピースを作ります。
あごの構造上、上あごは動かず下あごは自由に動きます。個人差はありますが、動かない上あごに装着する方が違和感が少なく、下あごはフリーに動く方が自然だからです。
筆者はソフトタイプのマウスピースを上下で作ったことがあります。寝ている間に無意識に外していることも多かったですが、比較すると上のほうが違和感が少なかったです。下のマウスピースは気になって舌で遊んでしまい、すぐにパカパカになってしまいました。
しかし、歯周病など歯の位置がズレる心配のある歯が下にあるときや、被せ物が多く歯を守りたいときなどは、歯の固定も兼ねて下のマウスピースを作ることもあります。
ドクターの治療方針や判断によるところが大きいので、マウスピースを下に装着したい場合は申し出るようにしましょう。
マウスピースのお手入れ方法は?
口に入れるものなので清潔に保つことが大切です。また、紛失にも注意しましょう。
マウスピースのお手入れの注意点は以下の通りです。
煮沸消毒や熱湯消毒はしない
歯磨き粉は使用せずハブラシでこすり洗い
マウスピース用の洗浄剤を使う
専用のケースに入れて保管する
マウスピースは熱に弱く変形してしまうので煮沸消毒や熱湯消毒は避けましょう。
普段は水かぬるま湯を使い、やわらかい歯ブラシで軽くこすって汚れを落とします。細かいところは毛先が小さなワンタフトブラシが便利ですよ。
このとき、歯磨き粉は使わないようにしましょう。研磨剤が入っていないものなら使用しても問題ありませんが、研磨剤が入ったものでこするとマウスピースに傷がつき細菌の温床になってしまいます。
普段はこすり洗いで、週一回程度はマウスピース用洗浄剤を使うなど、併用するのもおすすめです。ただ、つけ置きするタイプは、長時間つけるとマウ スピースの劣化する可能性があるため、使用上の注意をよく読み洗浄時間を守ることが大切です。
お手入れのあとはしっかり水分をふき取り、専用のケースに入れて保管します。間違って捨ててしまったり、ペットが遊ばないよう安全な場所に置きましょう。
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