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マウスピース矯正
最終更新日:2024年4月20日

インビザライン中は虫歯になりやすい?予防方法や矯正中に虫歯になった時の対処法

インビザライン中は虫歯になりやすい?予防方法や矯正中に虫歯になった時の対処法

インビザライン中は虫歯になりやすい口腔環境になるため徹底した虫歯予防が重要です。本記事では虫歯予防の方法や矯正中に虫歯になった時の対処法を解説します。インビザライン中の虫歯が心配で矯正の決心がつかない人は必見です。

土黒 さくら
歯科医師

土黒 さくら

2014年に鹿児島大学歯学部を卒業し、同年に東京医科歯科大学 臨床研修歯科医として従事する。2015年に大型医療法人グループ歯科医院に勤務し2016年に分院長就任。2018年港区赤坂の歯科医院に勤務し、2020年赤坂さくら歯科クリニックを開院。2023年 医療法人社団 桜麗会を設立。日本口腔インプラント学会日本歯周病学会日本顕微鏡歯科学会に所属。

「インビザライン矯正中は虫歯になりやすい?」
「虫歯になったら矯正中断?」

インビザライン矯正中の虫歯について、このような疑問はありませんか?

インビザラインの矯正期間は、1年半〜3年と長期に渡ることから、矯正中に虫歯になったらどうしようと心配になってしまいますよね。

確かにインビザラインは、取り外しが可能で歯磨きしやすい矯正方法ですが、誤って装着すると虫歯のリスクが高まります。

そこで本記事では、インビザライン矯正中に虫歯になる原因やなったときの対処法について解説。矯正中の虫歯予防についても紹介しているので、インビザライン矯正中に虫歯になりたくない人はぜひ参考にしてください。

また今回は、インビザラインと虫歯に関する専門的な情報をお届けするために、赤坂さくら歯科クリニックで院長を務める土黒さくらさんにご監修いただきました。

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インビザライン中に虫歯になる原因

虫歯

ワイヤー矯正と異なり、矯正器具(マウスピース)が取り外せるインビザラインは、比較的虫歯予防がしやすい矯正方法です。

しかし、22時間という長時間マウスピースを装着しなければならないインビザラインも、通常よりは虫歯になりやすい口腔環境になっています。

インビザライン中に虫歯になるのは主に3つの理由があります。

唾液が歯に届きにくくなるから

インビザラインのマウスピースを装着すると、「口の中が乾燥しやすくなる」「歯がマウスピースで覆われる」などの理由から唾液が歯に届きにくくなります。

でも一体なぜ、口の中が乾燥しやすくなるのでしょうか?

理由は、インビザラインのマウスピースの厚さが関係しています。

インビザラインのマウスピースの厚さは0.5mm。上下を合わせると1mmの厚さにまでなるため、装着すると通常時よりも唇が閉じにくく、口の中が乾燥しやすくなります。

さらに、マウスピースが歯をカバーしているため、より唾液が届きにくい状況に。

唾液には虫歯を予防するための、自浄作用(食べかすや虫歯菌を洗い流す)・抗菌作用・際石灰化作用(虫歯菌によって溶け始めた歯を補修する)などがあるため、歯に届きにくくなることで虫歯のリスクを高めてしまいます。

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アタッチメントが歯磨きの邪魔をするから

アタッチメントは、インビザラインの働きをサポートする重要な役割を持っています。

アタッチメントは直接歯につけているものなので、取り外しはできません。

このアタッチメントの周りや歯との段差に汚れが溜まりやすく、小さな突起状の形が歯磨きの邪魔をするため、丁寧にブラッシングしないと虫歯になりやすいです。

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インビザライン矯正中に虫歯になった場合の治療方針は、虫歯の進行状態によって以下の3つに分かれます。

  • インビザラインで矯正をしながら治療(軽度の虫歯)

  • 応急処置にとどめ、矯正を優先(中度の虫歯)

  • 矯正を中断して虫歯治療を優先(重度の虫歯)

インビザラインは最終の歯並びの状態までまとめて製作されているので、そのマウスピースが使えるように虫歯治療を考慮します。

しかし、矯正を中断しなければならないほど大きな虫歯の場合は、マウスピースの作り直しが必要になるケースも。

治療に時間がかかる可能性が高く、新しいインビザラインが出来上がるまでにも1ヶ月ほど必要です。

矯正期間が延びてしまわないためにも、冷たいものや甘いものがしみるなどの違和感があったらすぐに歯科医師に報告して、小さな虫歯のうちに治療しましょう。

保定中(インビザライン矯正後)に虫歯になったら?

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保定中に虫歯になったときも、基本的には矯正中の虫歯と同じように3つの治療方針に沿って治療します。

保定は後戻り防止のために「リテーナー」を装着しておく大事な期間です。

「作り直しのリテーナーを待っている間に後戻りした!」ということのないように、矯正が終わった後も虫歯予防は続けましょう。

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インビザライン中の虫歯予防8選

部分矯正が終わったら保定装置(リテーナー)を装着する

インビザラインは取り外して普段通りに歯磨きできます。

しかし、口の中が渇きやすいなど、虫歯になりやすい口腔環境になるため、丁寧な虫歯予防が必要です。

スムーズに矯正を進めるためにも、インビザライン中は以下の虫歯予防法を試してみてください。

1.フッ素入りの歯磨き粉を使う

最も手軽な虫歯予防法は、フッ素入りの歯磨き粉で歯磨きすることです。

フッ素には歯を強化したり、再石灰化(溶けたエナメル質を治そうとする力)を促進する効果など歯を守る働きがあり、虫歯予防に最適な成分です。

ドラッグストアやスーパーでも購入できるので、「フッ素配合」と書かれた商品を選ぶようにしましょう。

特に就寝時は唾液の量が減って虫歯になりやすい時間なので、寝る前は念入りな歯磨きが大切です。

フッ素濃度について

これまで市販の歯磨き粉に配合できるフッ素濃度は1,000ppmまでと決められていましたが、現在は1️,500ppmまでの配合が承認されています。

フッ素濃度は高ければ高いほど虫歯予防効果があるとされていて、大人の虫歯予防には1,000ppm以上の歯磨き粉がおすすめです。

ただし、子どもには強すぎる濃度なので家族で共有する場合は要注意!

歯の表面が白濁する「フッ素症」になる可能性があります。

子ども用には500〜1000ppm以内のものを用意しましょう。

2.糸ようじ(デンタルフロス)や歯間ブラシを使う

歯ブラシだけで取れる汚れは全体の60%ほどといわれています。

歯ブラシと併用して糸ようじ(デンタルフロス)や歯間ブラシを使うと、除去率は80%程度まで上がると報告されています。

歯並びが悪く重なっているところや歯と歯の間、抜歯をした両サイドの歯など、矯正中の磨きにくい部分は、これらのものを使うと虫歯リスクをかなり軽減できるでしょう。

3.虫歯になりやすい歯を丁寧に磨く

インビザライン矯正中は以下の部位が虫歯になりやすいので、丁寧に歯磨きをしましょう。

  • 歯並びが悪いところ

  • 歯と歯の隙間

  • 親知らず

  • 詰め物や被せ物の隙間

  • アタッチメント周り

歯ブラシは一方向だけでなく、向きや角度を変えて磨くと磨き残しが少なくなります。

また、糸ようじ(デンタルフロス)や歯間ブラシ、毛先が小さい歯ブラシなどの補助用具を使えば歯ブラシでは届きにくい部分も磨けます。

細かい部分ばかりですが、入念に磨くようにしましょう。

4.インビザラインのマウスピースも清潔にする

歯だけでなくインビザライン矯正で使用するマウスピースも清潔に保つことが大切です。

マウスピースにも汚れがつくので、歯ブラシでこすって汚れを落としましょう。

マウスピースを磨く際は、研磨剤による傷を防ぐため、歯磨き粉なしでこするのがポイント。

週に1度くらいの頻度でマウスピース専用の洗浄剤を使うのも効果的です。

また、外したマウスピースを保管するケースの汚れチェックも忘れずに。

清潔なものを口に入れるようにしましょう。

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5.食べ物や飲み物に注意する

甘い食べ物や飲み物が、虫歯の原因になることは多くの人が知っているでしょう。

インビザライン矯正中は唾液の量が減り、虫歯になりやすい口腔環境になるため、通常よりも気をつけなければなりません。

また、オレンジジュースのような酸性のものも歯を溶かす原因になるので控えましょう。

インビザライン矯正中は水や無糖のものを飲むようにすると安心です。

もし甘いものや酸性のものを飲むときは、ストローを使うと歯の表面に触れる心配が少ないですよ。

6.飲むときもインビザラインを外す

食事のときはマウスピースを外さなければなりません。

しかし、ちょっと飲み物だけを飲みたいとき、外すのが面倒で「まあいいか」とマウスピースをつけたまま飲んでしまう人も見られます。

水なら問題ないですが、ジュースやスポーツ飲料など砂糖が入ったものはマウスピース内に残って虫歯になってしまいます。

また、コーヒーなど色の濃いものはマウスピースや歯の着色汚れの原因になります。

面倒でも、外して飲む習慣をつけましょう。

7.水を積極的に飲む

インビザライン矯正中は口が渇きやすいので、積極的に水を飲むようにしましょう。

乾燥による虫歯菌の増殖を防ぎ、水が食べかすや虫歯菌を洗い流す効果があります。

水であればインビザラインをつけたまま飲んでもOKなので、水を飲むたびにマウスピースを外す手間もありません。

8.定期検診に行く

インビザライン矯正中は1〜3ヶ月ごとに定期検診があります。

定期検診では、歯並びの進行具合やマウスピースのチェック、計画とのズレを確認するため、歯科医師の指示通りに通院することが大切です。

その際、虫歯チェックもできるので、甘いものがしみるなどの違和感があれば歯科医師に伝えましょう。

早期発見できれば、インビザライン矯正に影響なく虫歯治療ができます。

矯正終了後の定期検診もお忘れなく。

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虫歯があってもインビザラインはできる?(矯正前の虫歯)

インビザラインのマウスピースとマウスピースケース

矯正前に虫歯があった場合、虫歯治療をしてからインビザライン矯正をはじめます。

マウスピース作製後に、「被せ物が入る」「大きく詰める」など、歯型が変わってしまう虫歯治療をすると、作ったマウスピースが合わなくなるからです。

マウスピースの作り直しもできますが、費用や時間が追加でかかり、矯正期間が延びてしまいます。

虫歯の状態によっては、何回か通院が必要な治療もあります。

そのため、虫歯の数や状態によっては、すぐに矯正をはじめられないことも知っておきましょう。

虫歯を抜歯することもある

歯並びを整えるのにスペースを確保する必要がある場合、抜歯をしてスペースを作る「抜歯矯正」というものがあります。

抜歯矯正は前から4番目、もしくは5番目の小臼歯を抜くのが一般的です。

しかし、根っこにまで届いているような重度の虫歯がある場合は、その歯を代わりに抜くこともあります。

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虫歯の治療

インビザラインは虫歯になりやすい口腔環境になるので、徹底した虫歯予防が必要です。

丁寧な歯磨きや食べ物を意識すると虫歯リスクは軽減できます。

虫歯の進行度合いによっては、矯正中でも治療できるのもインビザラインのメリットの一つ。

矯正に影響ない軽度の虫歯で治療できるように、違和感を感じたら早めに歯科医師に伝えましょう。

  • 本記事の監修医師のクリニックはこちら(インビザライン対応クリニック)

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