マウスピース矯正中に虫歯になりやすいって本当?原因や対処法を解説
「マウスピース矯正中に虫歯になったら中止?」「虫歯にならないための予防方法はある?」
など、マウスピース矯正中の虫歯について疑問や不安はありませんか?
そもそもマウスピース矯正は1日20時間以上の装着が必須。唾液が歯に届きにくくなるため自浄作用(虫歯菌を洗い流す働き)の影響が小さくなり「磨き残しがある状態で装着」「食後の歯に装着」などをしてしまうと、虫歯になるリスクが高まります。
そこで当記事では「マウスピース矯正中の虫歯」になる詳しい原因や「なってしまった場合の流れ・対処法」をご紹介。最後にマウスピース矯正中に虫歯にならないための予防方法もご紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
マウスピース矯正中の虫歯は、清掃不足が原因
マウスピース矯正中の虫歯予防には丁寧なブラッシングとマウスピースのお手入れが大切
目次
マウスピース矯正 Oh my teethの無料診断にお越しいただくと、矯正に関する疑問やお悩みを歯科医師に直接ご相談いただけます。まずはお気軽にご予約ください。
そもそも虫歯の最大の原因は、お口の中の「虫歯菌」です。虫歯菌は炭水化物(砂糖)を使って 酸を生産し、歯を溶かす働きがあります。
この虫歯菌の働きを防ぐのが、「唾液」です。唾液には再石灰化という歯を強くする働きがあります。ですが、唾液が虫歯菌との戦いに負けると、歯が溶けて虫歯がどんどん進行していくわけです。
ではマウスピース矯正中、上記のように虫歯が進行してしまう原因はどこにあるのでしょうか。以下の3点を紹介します。
歯磨きせずにマウスピースを再装着する
マウスピースの洗浄不足
誤ったブラッシング
歯磨きせずにマウスピースを再装着する
歯磨きをせずにマウスピースを装着すると、虫歯のリスクが高まります。
リスクが高まる理由について順番に見ていきましょう。
歯磨きしない(虫歯菌が集まるプラークがべったり)状態で、 マウスピースを装着
歯がマウスピースで覆われているため、虫歯予防に効果がある唾液が届かなくなる
マウスピースの中で虫歯菌が歯を溶かし、虫歯ができる
そのため食後はしっかり清掃を行って、虫歯の原因であるプラークを除去してから、マウスピースを装着しなければなりません。
マウスピースの洗浄不足
上記とは逆に、きちんと歯磨きをしていてもマウスピースが汚れていると虫歯になることがあります。
マウスピース矯正中は、歯磨きで口腔内をきれいにするのはもちろん、マウスピース自体も清潔に保ちましょう。
間違ったブラッシング
マウスピース矯正中、一生懸命歯を磨いているつもりでも、虫歯になってしまうことがあります。虫歯を予防するためには唾液の作用はもちろん、正しいブラッシングを行って、虫歯菌を除去することが大切です。
矯正中は歯が動くことで隙間ができたり、歯並びが変わったりします。矯正前と同じ磨き方では磨き残しができ、虫歯になってしまうことも。
普段からの正しいブラッシングはもちろん、フロスや歯間ブラシを使って、歯と歯のあいだまでくまなく清掃することを心がけましょう。
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ここからは、マウスピース矯正の開始前、あるいは矯正中に虫歯になったが場合 について解説します。
マウスピース矯正開始前に虫歯がある場合
マウスピース矯正前に虫歯が発見された場合、虫歯の治療を行ってから矯正を開始します。矯正途中で虫歯治療をすると、詰め物や被せ物で歯の形が変わってしまい、マウスピースが入らなくなる恐れがあるからです。
マウスピース矯正では、マウスピースが歯にぴったりと密着することで矯正力が働きます。歯型の再スキャンが必要になると、そのぶん矯正期間が長引く原因になるため、矯正開始前に虫歯がある場合には先に治療しておきます。
マウスピース矯正中に虫歯になった場合
マウスピース矯正中に虫歯になった場合、虫歯の進行度合いによって虫歯治療を優先するか、矯正を優先するか判断されます。
ごく初期の虫歯であれば、経過を見ながらマウスピース矯正を進めることも。一方で大きな虫歯の場合は、マウスピース矯正を中断し虫歯治療が優先されることが多いです。
「矯正で歯が動く痛みとは異なる」「ズキズキした痛みがある」などの場合、虫歯の可能性があります。なるべく虫歯が小さなうちに治療をした方がマウスピース矯正に影響が出にくいため、違和感があれば早めに歯科医師に相談しましょう。
マウスピース矯正は痛い?理由や対処法5つとNG行為【歯科医師解説動画付き】
「マウスピース矯正でキレイな歯並びを手に入れたい」という強い想いも、虫歯になっては台無しです。虫歯にならないためには、以下の予防法を頭に入れておきましょう。
丁寧なセルフケアを行う
マウスピースのお手入れをする
歯科医院でメンテナンス・フッ素塗布を受ける
丁寧なセルフケアを行う
唾液には自浄作用があり、虫歯菌を洗い流してくれる効果がありますが、マウスピース矯正中は歯全体を覆ってしまうため、その作用が働きにくくなります。
そのため、虫歯の原因となる歯垢(虫歯菌の集まり)を取り除けるかが、虫歯予防のポイントです。
そして歯ブラシだけでなく、フロスやタフトブラシ、歯間ブラシなどの補助道具も使用して、歯間部の清掃までしっかり行いましょう。
筆者のおすすめは、仕上げにデンタルリンスでゆすぐこと。
デンタルリンス自体も殺菌作用がありますし、歯ブラシと補助道具で歯磨きをした後にデンタルリンスでゆすいでからマウスピースを装着すると、爽快感が長持ちするのでおすすめですよ。
正しいブラッシング方法については以下の動画を参考にしてください。
マウスピースのお手入れをする
歯のケアだけでなく、マウスピースのお手入れもとても大切です。
ワイヤー矯正とは異なり、マウスピース矯正は装置を外して洗えます。マウスピースにもプラークや歯石が溜まりやすいので、毎日お手入れして清潔に保ちましょう。
マウスピースは、以下の手順で洗浄しましょう洗浄。
流水下で、柔らかい歯ブラシで汚れを落とす(このとき、歯磨き粉は使わない)
マウスピース洗浄剤につける
詳しくは以下の記事も参考にしてください。
【歯科医師監修】おすすめマウスピース洗浄剤4選!代用品の注意点も解説
歯科医院でメンテナンス・フッ素塗布を受ける
マウスピース矯正中の虫歯予防には、歯科医院でメンテナンスを定期的に受けることも大切です。
セルフケアにはどうしても限界があり、100%キレイに歯垢を除去することは難しいからです。
普段からももちろんですが、マウスピース矯正中も定期的にメンテナンスを受けて、お口の中のクリーニングや虫歯チェックを行ってもらいましょう。
そして、クリーニングに加えてフッ素塗布を行ってもらうと、歯質強化(歯が強くなる)になるのでおすすめですよ。
他にも歯やマウスピースを磨く以外、砂糖が大量に入った菓子を控える、フッ素入りの歯磨剤を使うなども虫歯予防に効果的ですので、口の中が不潔になりやすい歯科矯正中にぜひ試してくださいね。
*マウスピース矯正「Oh my teeth」のユーザーさんの中には、矯正中に甘い食べ物を控えるようになった方もいらっしゃいます。歯科矯正は健康志向にもなれるチャンスです。
マウスピース矯正中に虫歯になってしまうと、歯型を再スキャンする必要が出てきます。その理由を、虫歯の進行度合いとともに解説します。
▲虫歯の進行ステージ。左(C1)から右(C4)に行くほど重度
C1 (エナメル質う蝕)
歯の表面のエナメル質だけに虫歯がある状態です。初期虫歯で黒ずんでいるだけのことも多く、痛みを感じません。
C2(象牙質う蝕)
エナメル質の下の象牙質に虫歯が進行。見た目も穴が空いていることが多く、痛みを感じることもあります。
C3(歯髄う蝕)
象牙質の下の歯の神経(歯髄)に虫歯が進行し、強い痛みが出ることも多いです。歯の神経を取る治療が必要で、治療期間が長くなります。
C4(残根う蝕)
歯の頭の部分(歯冠)が全部無くなって、歯の根っこだけ残っている状態です。歯の根っこに炎症がみられることも。ここまで虫歯が進行すると、抜歯することがほとんどです。
C2〜の虫歯になると歯型の再スキャンが必要
マウスピース矯正中の虫歯で再スキャンになる可能性が高いのは、C2やC3の虫歯です。保険診療ではC2の虫歯(左イラスト)を銀歯(右イラスト)やプラスチック(コンポジットレジン)で修復することが多いです。
虫歯が大きくなると被せ物の治療が必要になるために歯を大きく削ることになります。被せ物をすると元々の歯の形と大きく変わり、マウスピースがはまらなくなることも十分考えられるでしょう。
C1は削らないことが多いので、マウスピース矯正には支障は出ません。C4は歯の冠がないので、まずは治療を優先してから歯科矯正することが多いでしょう。
マウスピース矯正中に虫歯にならないようにするには、まずは虫歯菌をしっかり除去すること。そのためには、徹底したセルフケアと、メンテナンスを定期的に受けることが大切です。
そして虫歯になってしまった場合は、矯正を続けるか、矯正を一旦中断し虫歯治療後に再開するかは、虫歯の大きさによって歯科医師が判断します。
しかし矯正中の虫歯は、痛みの原因になったり、予定通りに矯正が進まなかったり、ストレスになりかねません。
マウスピース矯正は装置の取り外しができるので、このメリットを活かして丁寧な歯磨きと、清潔なマウスピースで矯正中の虫歯予防に努めましょう。
矯正を乗り越えてきれいな歯並びになると、清掃しやすくなるので、虫歯のリスクも下がりますよ。本記事に書かれている内容は一般的なものです。
患者さんの口腔内の状況により歯科医院の対応が変わる可能性があります。きちんと担当医師からメリット・デメリットについての説明を受けるようにしましょう。